【アクティヴレイド】File??? 甘い良薬が運ぶ物
エミリア「…うん、ちゃんと溶けてる」
エミリア「ええと…次は冷蔵庫に、と」バタン
エミリア「……よし、これで固まったら、後はコーティングして……」
エミリア(……黒騎さん、喜んでくれるといいな)
エミリア(もしかしたら、今日が何の日なのかも、ガサツな黒騎さんのことだから忘れてたりして……)
エミリア(それはそれで……あの人らしいから、いいかな)クスクス
エミリア「おはようございます」シュッ
瀬名「ああエミリアくん。おはよう」
まりも「おはようございます、エミリアさん」モグモグ
エミリア「はい。…って、あれ? 何を食べてるんですか?」
瀬名「エミリアくんも一つ、よければもらってくれ。毎日、君もあのガサツのせいで苦労しているし」
エミリア「あ、これ……え、もしかして瀬名さんが?」
瀬名「うん。今日はバレンタインというやつだろう? 日ごろ世話になっている人に感謝の印を渡すのもいいだろうと思ってね」
瀬名「うん。ここの菓子はチョコに限らず実によくできてる。最近は取引先に出す茶菓子はここで買うことにしてるくらいさ」
エミリア「へぇー。そうなんですね、では私も……わぁ、すごく美味しいです!」
瀬名「そうかい。ならよかったよ」ニコリ
まりも「でも参っちゃいましたよー…こんなに美味しいのを出されちゃうと、こっちも出しづらいというか……」
瀬名「いやいや、こういうのは気持ちだよ。それだけで同じくらい美味しくなるものさ」
まりも「あ、エミリアさんも用意したんですか? 私、普通の市販品をちょっと溶かして型に流しただけのものなんですけど……」
エミリア「私も似たようなものですよ。ほら、せいぜい軽く粉を塗しただけで…」
瀬名「ああ、トリュフチョコレートというやつか。いいじゃないか、美味しそうで」
まりも「そうですかー? ……そう言っていただけると幸いです」
はるか「おはようございまー…わ、皆もうチョコ出してる!」シュッ
瀬名「おはようはるかくん。君も一つどうだい?」
はるか「あら瀬名さんも用意されたんですか? ありがたくいただきますよー。…あっと、そうそう。そういうことなら、私も一つ…」ガサゴソ
まりも「これ……」
エミリア「都バス型、ですか…」
はるか「や、だって、普通じゃおもしろくないしー。ほら、かわいいでしょー?」
瀬名「コメントは控えておくよ…まぁ、ありがたくいただこう」
舩坂「やぁ皆さんおはようございます」シュッ
凛「おはよう、皆」シュッ
瀬名「あ、協会さん、舩坂さんに室長も。おはようございます」
舩坂「おやおや、皆さん何だかすごいことになっていますねぇ」
協会さん「本当、バレンタインらしい絵ですねぇ」
エミリア「室長たちもお一つよければどうぞ。こっちは瀬名さんの用意されたものと、こっちがまりもさん、それで、こっちが――」
瀬名「…何で時間通りに来るんだ」フー
黒騎「あんだよ、時間通りに現れてなんで文句言われなきゃならねーんだ」
瀬名「ガサツな貴様に用意したチョコを全部食べられては困るからな」
黒騎「へ? チョコぉ? ……ああ、そっか、バレンタインか」
凛「あはは、やっぱり黒騎くん忘れてるんだー」
黒騎「そういう室長だって、どーせ忘れてたんじゃないっすか?」
凛「違うよー、私は食べ専だもん」
黒騎「あ、そっすか……」
黒騎「お、サンキューなエミリア。いやー、どっかのトウヘンボクにも見習ってほしい気遣いだぜ」
瀬名「…ふん、バレンタインのことすらも頭の中から飛ぶような粗忽者に、エミリアくんの優しさはもったいないな」
黒騎「あぁん?」
舩坂「まぁまぁ。ほら皆さん、せっかくの日です、紅茶でも淹れましょうか」
はるか「そうそう。さ、チョコ食べながら仕事しましょ」
黒騎「お、いいねぇ。…ん、うまいなこれ」
瀬名「おい、全部食べるなよ」
エミリア(……うーん。どのタイミングで渡しにいこうかな。別に部屋まで取りにいくのは時間もかからないし…)
黒騎「♪」モグモグ
エミリア(……まぁ、帰りでいいかな)
凛「――とりあえず上からの連絡は以上。何か質問はある?」
黒騎「いえ、特には。…しっかし、こんな日にウィルウェア犯罪なんて起きますかねぇ」
瀬名「何をのんびりしたことを言うんだか…ウィルウェア犯罪に日にちなど関係ないだろう」
舩坂「そうですねぇ。カップルに嫉妬した若者が……なんてこともありそうです」
はるか「あー確かに。そういうのありそうですねー」
まりも「その場合はやはり、大手デパートとかが狙われるんでしょうか」
瀬名「どうだろうな。もしかしたらデート中のカップルを狙って繁華街の真ん中で起きるのもありえそうだが」
協会さん「何にせよ、そういうことならよく整備しておきましょうかね」シュッ
凛「うん。お願いね、協会さーん。……ありえそう、で終わってくれるといいんだけどねぇ」
黒騎「おう、荷物受け取りごくろうさん……って、何だそのでかい箱二つ」
エミリア「いえ、それが…」フラフラ
黒騎「貸せよ、危ないし」ヒョイッ
エミリア「あ、すみません……ありがとうございます」ニコリ
瀬名「どこからだ? そんな、二つも……!?」
凛「? どうかしたの瀬名くん」
黒騎「何言って……あー、なるほどなぁ。でも、これ捨てると後が怖いぞ? たぶん」
舩坂「ああー彼女ですか。いい加減に覚悟を決めて話し合えばどうですか?」
瀬名「そ、そうは言いますが…その、聞く耳を持たなくて」
黒騎「まったく…何が入ってんだー?」ガサガサ
瀬名「ば、バカ! 開けるな! ……うわぁ」チラッ
黒騎「こりゃまた熱烈な愛だな」ケラケラ
『今日は部屋で待ってるから。これ、鍵ね。送ったチョコ、食べずに持ってきてね。……必ずよ? 凡河内みほ』
黒騎「『追伸――逃げたら必ず明日あなたの職場に――って、おい」
瀬名「」ビリビリ!
瀬名「な、何も見なかった…いいな?」ギンッ!
黒騎「お、おう……」
黒騎「あさみぃ?」
まりも「こっちの箱もずいぶんと大きいですけど…こっちもクール便ですか。あ、手紙が入ってますよ」
はるか「あら本当」
『皆さん!去年は皆さんに大変お世話になりました! これは私からのささやかなバレンタインのチョコです! どうぞ皆さんでお召し上がりください! 花咲里あさみ』
舩坂「なるほど…こないだお歳暮をもらったばかりですけどねぇ」
凛「明石のタコ人数分ね…まだ家の冷凍庫に残ってるわ」
黒騎「俺もこないだ次郎に全部たこ焼きにして食わせてようやく無くなりましたよ……」
瀬名「何でもいいが……それで? 中身は?」
エミリア「ありました。ええと…人数分の、チョ、コ……?」
真っ黒な煙を出す物体「」コンニチハー
凛「……ええ、っと」
瀬名「これは…」
はるか「ちょーっと冗談キツイかなー…?」
舩坂「そ、そうですねぇ…いや、しかし、せっかく花咲里くんが送ってくれたわけですし」
黒騎「……」モグモグ
瀬名「おい貴様、私の分のチョコを食べるな!」
黒騎「うっせ、あさみのやつを代わりにやるから食えよ」
瀬名「いるか!」
まりも「いくらお気持ちでも…これは、ちょっと…」
凛「うーん。困ったねぇ……」
舩坂「……」ジー
凛「? 舩坂さん?」
はるか「わ、ふ、舩坂さん!? 無茶しないでください!」
舩坂「い、いえ! 花咲里くんがせっかく心を込めて作ってくれたんです! これまで彼女の面倒を見てきた身として、男として、ここは引き下がるわけにもいかないでしょう!」モグモグ
黒騎「す、すげぇ…どんどん無くなってくぜ」
舩坂「」モグモグ…ゴクン
舩坂「…………」ピタッ
凛「ふ、舩坂さん? 大丈夫ですか?」
舩坂「……」
舩坂「ご…」
まりも「ご?」
舩坂「ごちそう、さまでした…」ニコリ
舩坂「」バタン
エミリア「きゃあ! 舩坂さん!?」
凛「す、すぐに救急車! いや、ええと、何か薬!」
瀬名「わ、私が見ます! 防衛大で毒物に対する応急処置くらいなら…!」
黒騎「おい瀬名! 何か必要なもんあるか!? いや、ここは走って近くの病院まで舩坂さんを医者に…」
瀬名「…おそらくその必要はない! それよりもスポーツドリンクか何かをたくさん買ってきてくれ! 脱水症状を起こしかけてる!」
黒騎「分かった! ついてこい、エミリア!」ダッ
エミリア「は、はい!」タタッ
凛「! 舩坂さん大丈夫ですか? しっかりしてください、舩坂さん!」
舩坂「し、室長、花咲里くんに、伝えて、いただけますか…?」
はるか「そんなの本人に直接伝えてください! さぁしっかり!」
舩坂「い、いえ。もう、私はダメです。……花咲里くんに、こう言っておいてください…もっと、ちゃんと材料とレシピを確認して、それと、味見をするように、と…」ガクッ
凛「ふ、舩坂、さん?」
舩坂「……」
瀬名「くっ……」
コメント一覧
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- 2017年02月07日 23:12
- 結局、黒騎の人格乗っ取りは匂わせるだけの思わせぶりで終わったな…
アレが絡んで来るかと思ったが
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- 2017年02月07日 23:18
- アクティブレイドのSS初めて見たー。
黒崎×エミリアは仄かに本編でも匂わせてたから読んでてニヤニヤしました!
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- 2017年02月07日 23:21
- 記憶移植は三期に大量のバードコピーを出す伏線だよ(適当)
しまじろうの妹関連が未回収だから、その辺絡めて作れんかねえ
例えば、スリ子がしまじろうの妹でバードがしまじろうの妹と知った上でスリ子利用してた説
最終的にしまじろうvsスリ子で戦わせるまで絵図を描いて二期ラストであえてバードは捕まった感じ
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- 2017年02月07日 23:29
- アクティヴレイド劇場版やってほC
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