独Fraunhofer研究機構が、ISS外側の宇宙空間に530日間露出したあと回収、地上へ持ち帰ったいた藻(Sphaerocystis:粒状緑藻の一種)が生存していたと発表しました。この藻はマイナス20度から47度という温度変化と、厳しい紫外線の長期にわたる暴露にも耐えることができたとのこと。
藻は2014年7月にISSへと持ち込まれ、乾燥状態にしたうえで船外に出されました。この藻は乾燥状態におくと成長や代謝を行わない休眠状態になることが知られています。ただ、それが宇宙空間でも有効かはわかっていませんでした。ESAのRené Demets氏によると、「通常は地上で生息している植物が、まず乾燥のストレスに耐え、空気もない宇宙空間で何か月も生き延びられるということを実験は示している」としています。
またこの結果には、生物の存在しない惑星に、隕石や彗星に付着した有機物が生命をもたらしたというパンスペルミア説を後押しするとの指摘も。さらに火星のような惑星での植物栽培の可能性についての研究材料にもなるとされています。
ちなみに、ISSでずっと宇宙にでていた藻は、地上に降りてからは数日のうちに通常の状態にもどったとのこと。しかし、まだ調査検証は全て済んでいるわけではなく、今後は藻のDNAへの宇宙放射線の影響などを確認する予定とのことです。