花粉症の少女「口をガムテープで塞がないでぇ!」誘拐犯「黙れ……!」
- 2017年02月11日 23:10
- SS、神話・民話・不思議な話
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花粉症の少女「ひっ……!」
誘拐犯「大人しくしていれば危害は加えない……! わかったら大人しく――」
花粉症の少女「いやぁ!!! 殺さないでぇ!!!!!」
誘拐犯「だから、黙っていれば危害は無いと言ってるだろう……! なんでわざわざ騒ぐんだ……!? お前、死にたいのか……!?」
花粉症の少女「ひぃ……! し、死にたくない……! 死にたくないっ!!!」
誘拐犯「だったら……悪いことは言わないから、大人しくこのガムテープで口を塞ぐんだ……! いいな……?」
花粉症の少女「死ぬぅ!!!! 殺されるぅ!!!!!!」
誘拐犯「おい……! だから黙れって……! おまえ、いい加減にしないと本当に……!」
花粉症の少女「だ、だって……抵抗しないと口を塞ぐじゃないですかっ! く、口を塞がれたら……私……! い、息ができません……!」
誘拐犯「鼻ですればいいだろう……! お馬鹿さんか……!?」
花粉症の少女「花粉症なんです!!! 私……か、花粉症で、鼻が詰まってるんです……!!!」
誘拐犯「……!」
花粉症の少女「えっと……私、重度のスギ花粉アレルギーで……。2月に入るともう、お薬を飲まないことには……」
誘拐犯「薬はどうしたんだ……! 朝ご飯の時に飲まなかったのか……!?」
花粉症の少女「飲み忘れちゃって……」
誘拐犯「もう……! わかった……じゃあガムテープはやめだ……! ただし、絶対に騒ぐなよ……!」
誘拐犯「今からお前の両親に身代金受け渡しの指示をする……! 妙な気、起こすんじゃないぞ……! 絶対だからな……!」
花粉症の少女「は、はい」
ピピピ プルルルル カチャ
父親『も、もしもし! もしもし! 娘は……娘は無事なんだろうな!』
誘拐犯「何度も言わせるな……お前たちが俺の要求を守れば、無事に返す……!」
誘拐犯「ただし……俺に背くようなことがあれば……! わかるな……!?」
父親『わ、わかった。君の要求は絶対だ。でもその前に、娘の声を聞かせてくれ……! 娘の無事を確認したいんだ! 頼む!』
誘拐犯「……疑り深いな……! いいだろう……少し待て……!」
ピッ
誘拐犯「おい……!」
花粉症の少女「ズズッ、ズ~! あい? ……んぐっ、ケホっ……なんでずが?」
誘拐犯「うわあ……! お前……鼻水で口元グッシャグシャじゃないか……! 汚いな……! 鼻をかめばいいだろう……!」
花粉症の少女「だっで……手が縛られでるじ……」
花粉症の少女「ぁい……あぁ、でもこれ……エリエール……」
誘拐犯「エリエールならなんだ……! エリエールだと駄目なのか……!?」
花粉症の少女「わだじ…………コホッ、鼻セレブじゃないと……駄目なんでず……んぐっ」
誘拐犯「ちょっと待ってろ……! たしか鼻セレブもあったはずだ……!」
ゴソゴソ
誘拐犯「あったぞ、ほら……! 鼻セレブだ……!」
花粉症の少女「ありがどうございます。あれ、でもこれ……」
誘拐犯「今度は何だ……!」
花粉症の少女「パッケージがうさぎ……」
誘拐犯「何がいいんだ……! ヤギか……!? アザラシか……!?」
花粉症の少女「アザラジ」
誘拐犯「ほら……! もういいから、はやく口を拭え……! 見てるこっちが気分悪くなる……!」
花粉症の少女「ふあぁい……ありがとうございまぁす……ふぅ」フキフキ
花粉症の少女「お父さん! お母さーん!」
父親『ああ……! その鼻声、間違いない!』
母親『無事なのね!? よかった……! まだ大丈夫なの……? 辛くない?』
花粉症の少女「一度殺されかけたけど、私は大丈夫だよ! ほとんど室内だし、頑張れば明日の夕方まではもちそう!」
父親『殺されかけた……!? おい! 約束が違うじゃないか!』
誘拐犯「誤解だ……! お前、いい加減なことを言うな……! 電話をよこせ……!」
花粉症の少女「は、はい……」
誘拐犯「さあ、お前の娘は聞いたとおり、無事だ……! これで満足だろう……!」
父親『あ、ああ……。それで、用意した金はどこへ持っていけばいいんだ……?』
誘拐犯「理解が早くて助かる……! 身代金の受け渡し場所は……○○公園だ……! 明日正午、お前ひとりで来い……!」
父親『しょ、正午だな……わ、わかった』
誘拐犯「まさかとは思うが……サツに通報などしていないだろうな……!」
父親『え? 警察に通報? してないですけど? え? なんでそんなこと聞くんですか? え? やめてください』
誘拐犯「そうか……! サツに通報してなければ、それでいい……! 約束したからな……!」
父親『わかった……』
ピッ
誘拐犯「順調だな……!」
誘拐犯「……? おい、やけに元気が無いじゃないか……! どうした、花粉症はそんなに辛いのか……?」
花粉症の少女「いえ、それもありますけど……受け渡し場所が……」
誘拐犯「○○公園がなんだ……!?」
花粉症の少女「○○公園には何度か行ったことがありますけど……酷い目にあいました……」
花粉症の少女「あそこ……杉のオンパレードですよ……? 私、今回もまともでいられるかどうか……」
花粉症の少女「あの場で二足歩行する自信が無いです……」
誘拐犯「そんなにか……!」
花粉症の少女「身代金の受け渡しの前に、死んじゃうかも……うっ、ひっく」グスン
誘拐犯「泣くな……! マスクでどうにかならないか……?」
花粉症の少女「鼻はなんとか……でも、眼が……」
誘拐犯「眼も駄目なのか……!」
花粉症の少女「昔、痒みに耐えられなくて……目ん玉を抉り出しそうになったんです……」
誘拐犯「そういう話やめてくれ……! 眼に関する痛い系の話は苦手なんだ……!」
花粉症の少女「すいません……うぅ」
誘拐犯「ゴーグルをつけるしかないか……! 探してくる……!」
花粉症の少女「スイミングのゴーグルなんて……目立っちゃいますよ……?」
誘拐犯「目立つのはまずいな……! ならやっぱり我慢しろ……! 受け渡しはすぐに終わる……!」
花粉症の少女「無理です! もし○○公園へ無理やり連れて行くなら……ガムテープを口に貼って、ここで窒息死しますっ!」
花粉症の少女「その方がまだマシです……死に尊厳があります……!」
誘拐犯「……わ、わかった……! 手荒な真似はよせ……! 命を粗末にするんじゃない……! やめだ……!」
誘拐犯「身代金の受け渡し場所を変更する……! どこがいいんだ……?」
花粉症の少女「杉が無い場所なら、どこでも……」
誘拐犯「なら××公園だな……! 変更の連絡を入れないと……!」
ピピピ プルルルル カチャ
父親『もしもし! ああ、良かった……! こ、こちらからも連絡を入れたいと思っていたんだ!』
誘拐犯「なに……? どういうことだ……!?」
父親『身代金の受け渡し場所なんだが……その、なんと言ったらいいか……』
誘拐犯「そのことか……! 可愛い娘を苦しませたくないらしいな……! 場所の変更についてはこちらも同意だ……!」
誘拐犯「新しい指定場所は××公園だ……! お前ひとりで来い……!」
誘拐犯「もう一度確認しておくが……サツには知らせてないんだろうな……!」
父親『え? 警察に? 知らせてませんけど? なんですか? 何度も何度も。やめてください』
誘拐犯「ならいいんだ……! 何度も聞いて悪かったな……!」
花粉症の少女「はい」ゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシ
誘拐犯「わあ……! な、なにをしているんだ……!?」
花粉症の少女「杉の話をしてたら……目がかゆくなっちゃいまして……」ゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシ
誘拐犯「やめろ……! そんなに目を擦ったら、赤くなるぞ……! それに、眼球が傷ついたら大変だ……!」
誘拐犯「若いうちは目を大切にしないと、歳を取ってから後悔するんだ……!」
花粉症の少女「でも……」ゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシ
誘拐犯「そのペースで目を擦り続けたら……明日の朝には顔が半分無くなってるぞ……!」
花粉症の少女「わかってるんですけど……止められないんですっ」ゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシ
誘拐犯「ど、どうすれば止まるんだ…………!?」
花粉症の少女「目薬を……目薬をさせば……あるいは……」ゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシ
誘拐犯「わ、わかった……一緒に買いに行こう……!」
誘拐犯「足の縄も解いてやる……! だが、妙な気は起こすんじゃないぞ……! いいな……!」
花粉症の少女「はい……あの、行きつけの目医者さんじゃないと駄目ですからね……」ゴシゴシry
誘拐犯「……もう……! ジャンパーとサイフ取ってくるから……先に外で待ってろ……!」
誘拐犯「どうだ……目薬をしたらおさまったか……!」
花粉症の少女「なんとか」
誘拐犯「これで万全の態勢で身代金の受け渡しに行けるな……!」
花粉症の少女「はい」
誘拐犯「ところで……まさか医者に言ってないだろうな……!」
花粉症の少女「え……? な、なにをですか?」
誘拐犯「俺のことだ……! 誘拐されたなんて、言ってないだろうな……!」
花粉症の少女「あっ!」
誘拐犯「……!? な、なんだ……! 言っちゃったのか……!?」
花粉症の少女「言えばよかった……普通に診察を受けて、処方箋を受け取って出てきちゃいました……」
誘拐犯「お、驚かせやがって……それでいいんだ……!」
誘拐犯「……? 誰だ……!」
花粉症の少女「あの、誰か来たみたいですけど」
誘拐犯「わかってる……! 居留守を使うぞ……!」
花粉症の少女「は、はい……」
誘拐犯「……」
花粉症の少女「……へ」
誘拐犯「……?」
花粉症の少女「へ…………へっ…………へぇっ…………!」
誘拐犯「お、おい……どうし――」
花粉症の少女「へぇ~~~~~っくしょいっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」ブシュッ
誘拐犯「お、おい……!」
花粉症の少女「す、すいません……花粉症だと、くしゃみも……」
???「すいません。どなたか、いらっしゃいませんか」
???「いますよねー? あのー、居留守とかしないでくださいよー。聞こえちゃってますからねー」
誘拐犯「…………!」
花粉症の少女「ご、ごめんなさい……」
コメント一覧
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- 2017年02月11日 23:15
- さあ、福本伸行の絵で脳内再生してみよう!
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- 2017年02月11日 23:49
- ワシじゃよ
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- 2017年02月11日 23:57
- ところがどっこい・・・・・・・
夢じゃありません・・・・・・・・!
現実です・・・・・・!
これが現実・・!
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