人生とは決断の連続である。だが、自分の行動は全て自分の考えで決めていると思っているなら、もう1度考え直したほうが良さそうだ。
何を着るか、何を食べるか、さらに歩き方まで、思っている以上に周りに影響されていることが多い。脳が「同調」を求めているのだ。
人にはどれくらい「同調」したいという欲望が備わっているのか?そんな社会実験動画が公開されていたので見てみよう。
この動画を見ると、自分で決めたと思っていることでも、実は群衆の一部と化していることが分かる。
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Question the Herd | Brain Games
司会者「ここに描かれている長さの異なる3本の線の中から、左のボードに描かれている線と同じ長さの線を選んでください」
image credit:youtube Question the Herd | Brain Games
では、さっそく自分の目で2つのボードを見比べてみよう。さあ、君はA、B、C、どの線を選んだかな?答えを明かす前に、列に並んでいる人たちの回答を見てみよう。
女性1「Aだと思う」
男性1「Aだね」
女性2「Aよ」
女性3「Aでしょ」
男性2「Aにする」
最後の女性は迷ったようだが時間切れで皆が選んだAを選んだようだ。
image credit:youtube Question the Herd | Brain Games
もしかして、このボードには何かトリックがあるのだろうか?
では、もう一度ボードを見てみよう。
image credit:youtube Question the Herd | Brain Games
正解はC。
きっと多くの人が最初に見たときにCを選んでいるだろう。しかし、みんながAを選んでいるのを見て、わざと間違った答えを選んでしまうこともある。
司会者「質問があるんだ。本当は最初に見たときに答えはCだと思っていた?」
被験者A(女)「ええ。でも、みんながAを選んでいたから… 私もAを選ばないといけないと思って」
司会者「みんなの意見に合わせたんだね」
image credit:youtube Question the Herd | Brain Games
実は列に並んでいる先頭から9人目までは実験の協力者たち。予め、彼らにはAを選ぶよう指示が出されていた。
みんながAを選ぶ状況で、最後に残された人は自分の考えを信じるか、多数意見の圧力に屈するか、難しい選択をしないといけない。
中には自分の意見を貫き通した人たちもいた。
image credit:youtube Question the Herd | Brain Games
被験者B(女)「私はCだと思う」
司会者「みんなAを選んでるのに?君は群衆の知恵を信じないのかい?」
被験者B(女)「自分の直感を信じてるの」
被験者C(男)「正直に言うと、Cだと思う」
司会者「つまり、みんなが間違えていると?」
被験者C(男)「そうだね」
みんなの考えに流されたとしても、自分を責めないでほしい。それは、君だけじゃないから。
司会者「選んだかな?」
被験者D(男)「Aみたいだから、Aにするよ」
司会者「Aにするのかい?」
被験者D(男)「ああ」
司会者「では、どうぞ」
司会者「なんでAにしたんだい?」
被験者D(男)「実は、正解はCだと思ったんだ」
司会者「でも自分の判断に疑問を持ってしまった?」
被験者D(男)「そうなんだ。1人だけ間違えてバカに見られたくないし、目立つのもイヤだったから、みんなと同じ答えを選んだ」
image credit:youtube Question the Herd | Brain Games
多数意見に合わせるため、自分の考えを変えたことがある人はけっこういるようだ。
しかし、もし...これが線を使った実験ではなかったら?例えば、殺人事件の証拠を審議している時など、多数意見が何であれ、自分の意見を貫き通すことができるのだろうか?
image credit:youtube Question the Herd | Brain Games
人は生存本能として多数意見に合わせようとする
グループ内で1人だけ異なる意見を持つと、脳にある意思決定などを司る前帯状皮質がエラー信号を出すことが研究により分かっている。
そして、このエラー信号が出されると、多数意見に合わせることでエラーを消去しようとする。たとえ、それが自分が納得いかない意見や、間違っている答えだとしても。
なぜこのような信号が出されるのかというと、進化上で大きな利点があったためだ。つまり「生存」するためだ。安全を求めるなら群れと一緒にいた方がいい、ということだ。
脳の「従う傾向」という働きは自分を守るために役立っていて、成功を導いてくれる助けになるかもしれない。ただし皆が間違った方向に進んでしまうと取り返しがつかないこととなる。
「いじめ」がなかなかなくならないのも同調圧力が一つの原因かもしれない。人間の脳が安全を求めるため、本能的に多数意見に合わせてしまうのであるのなら、加害者の暴走をとめられないどころか、助長させてしまうのだ。
via:Question the Herd | Brain Games/ translated melondeau / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
素でCじゃね?と思ってしまった人はどう慰めてくれるんだ…
2. 匿名処理班
孤立しようとも、実際はそんな実害が出ないから自分の考え方を選びますね。
口汚く罵られようと、それは一時的な事なんで。それが元で後々縁遠くなったとしても、そういう事を平気で出来る人と友好的に振る舞うなんて器用な事も出来ないから却って都合が良いかな?って。
3. 匿名処理班
また古典的な実験を。
一方で、みんなが同調する中、自分の意見を貫き通す人があくまでも自分の意見を変えなかったりすると、全体の同調の影響が次第にグラつきだすって結果もある。
ちなみに自分の意見を貫き通す人が、集団から排除されやすい理由のひとつでもある。
4. 匿名処理班
思ったことを言ってしまうADHDだと、前帯状皮質のエラーっていうのが出ないのかな?
職場でのポジションが「裏表無しで素直なバカ」みたいな扱いで可愛がられてるよ。
同調圧力がもたらす怖さを考えてみると、私みたいな奴がいる意味もあるのかもね?
5. 匿名処理班
やはり日本人以外でもあるんだね。
顕著というだけで。
6.
7. 匿名処理班
いじめにあったお陰で同調圧力ナニソレ精神がついた事は、ある意味不幸中の幸いだと思う。
間違っているのに合わせないとまたいじめに合うとは思ったけど、それはそれで腹が立ったから静かに抗っていたら、助けてくれる友達が増えた思い出。
8. 匿名処理班
※1
いや、だからCで合ってるんだけど、それを同調圧力によって…
うん、まあなんだ…いずれわかるよ…
9.
10. 匿名処理班
パニックムービーでは同調圧力で間違った方向に
逃げるモブ群衆は全員命を落として
自分を貫く主人公たちだけ生き残るよね。
11. 匿名処理班
これよくある難破船からそれぞれ特徴ある理由を船員が言い各国民を海に飛び込みさせていたけど日本人には「皆さん飛び込んでますよ」と言えとかあったけど日本人だけじゃなかったんだな
12.
13. 匿名処理班
「働かないアリ」と一緒で、群れの中に同調圧力に「屈しない」というより
「反抗する」ほうを選ぶ個体が自然に生まれるような仕組みになっているのじゃないかな
全体が誤った決断に従っても遺伝子が残るように
14. 匿名処理班
※4
発達障害者の「空気が読めない」って特性は、時に長所にもなるからな。
読んではいけないような危険な「空気」に場が支配されてしまった時、
それに平然と異を唱えることができるのは一種の才能とも言える。
15. 匿名処理班
さすがにこれは流されない自信がある
16. 匿名処理班
同調圧力が嫌いだから集団とは距離を置きます。
決断は教えないし、聞かない。
他人が何をしていても気にしない。
17. 匿名処理班
つまるところ
これが陪審員制度の実態ということだな
18. 匿名処理班
米3
これな、俺は自分のまわりのあらゆるところでこれを狙ってる
つまり集団の意見をぐらつかせること
19. 匿名処理班
AでもBでもCでも我を通すほど大事な質問じゃないでしょ、
誰も選ばなくて可哀想だからBにしとくよ
20. 匿名処理班
衝突はしない程度に自分の意思は主張する
そうすると異分子として当たらずさわらずの距離を置かれる
それが楽でいいやね
21. 匿名処理班
これで勘違いしてはいけないのは、少数派こそ正義みたいなこと思い込むやつ
22. 匿名処理班
結局誰がどれくらい得するかが大事よね
23. 匿名処理班
>>3
何かを生み出した偉大な人たちは、みんな自分を貫いて来たんだな。同調もあるけど、同調を生む種についても考えてみても良いかもしれない。同調させたい種だって誰かの思想なわけだから簡単に導くことができる。情報社会の全盛期とも言えるような現代では、当たり前にある気がする。ある種の宗教のようだけど、受け入れる方が意識をしていないことにも問題がありそう。ある意味では「個」がなくて、逆に自由がない。何に対しても選ぶ権利がありながら、誰かの思想に従い続けてる。それは、同調の核でもある気がするよ。
24. 匿名処理班
同調
一番嫌いな言葉だ
クソみたいな人間が選んだ事象とはことごとく逆をついて生きてきたわ
25. 匿名処理班
※10
そら主人公が死んだら話が続かないからな
26. 匿名処理班
どうでもいいものなら周りに合わせるけど
曲げてはいけない重要なものだとやっぱ曲げない
場所や環境にも変わるな
27. 匿名処理班
12人の怒れる男達
28. 匿名処理班
※21
少数派が間違ってる場合は排除されて終わりだけど、
多数派が間違ってる場合はそのまま通っていってしまうからな
リスクが違い過ぎる
29. 匿名処理班
艦載機の方が気になるw
30. 匿名処理班
若い時は同調するようにしてたけどおっさんになってからは自分の感じる正しさを通すことが多くなってきたな
老いて空気が読めなくなってきたとも言える
31. 匿名処理班
「問い」に対する答えと「身の振り」に対する答えは違うっってことだな。
無難な方を選ぶ、これは身の振り方としてはある意味正解。
危険度が上がるほど同調しやすくなるだろうな。
ちなみに俺はCと答えたけど。
32. 匿名処理班
どう見たって答えが明確な質問やクイズで同調って
ちょっとあり得ないと思うんだけど
全くわからない場合は着いて行くかもしれないが
こんな時は悠々とCに行くで
33. 匿名処理班
※31
そりゃ今お前は部屋にひとりきりで、「皆と違う答え」を出しても
バカにされたり責められたりする危険性はないからな。
現実の人間集団の中で少数派の立場に追いやられた時に
どうなるかはまた別の話よ。
34. 匿名処理班
※5
アメリカはものすごいよ
マイノリティーとか社会的弱者に批判的な意見には特に強い圧力がある
35. 匿名処理班
「自分ならCを選ぶ」
…そりゃあ、こうして同調圧力という前提での設問があって
身構えた姿勢で答えてる時点で正しい答えを選ぶだろうよ
36. 匿名処理班
大学院の心理学の講座でやったな
こういう「正答を選ぶ」形式の実験だと、一人だけでも流されず正解を選ぶ人は間間居た
ただ「誤答を選ばない」形式だと最後まで貫いた人間は稀だった
たとえば、「次の実験を行いますので待機してください」と言った直後に被験者以外(40人くらい)隣の部屋に移動させると被験者はみんなノコノコついて行った
隣の部屋とは一言も言ってないのに
37. 匿名処理班
こういうゲーム形式なら普通に答えられそう、ただネットの数学問題とかで、こういう状況になると大抵自分が間違ってるんだよな、
38. 匿名処理班
俺も目立ちたくないからCだと思っても全員Aに行ったらAに行くな・・・