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千歌
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1: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2017/02/14(火) 00:29:39.32 ID:wJVl1+fb.net
善子「」

 

千歌「善子ちゃああああん!!」

梨子「うっ・・・・・・よっちゃんが倒れたところに、血だまりが・・・・・・」オエッ

ガチャガチャ

千歌「駄目だ、鍵がかかってて入れない!」

曜「千歌ちゃ~ん! 体育館側の入口も、内側から鍵がかかってて入れないよ!」

2: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2017/02/14(火) 00:31:15.32 ID:wJVl1+fb.net
梨子「部室の鍵は誰が持ってるの!?」

千歌「普段は私だけど・・・・・・今日の昼休み、善子ちゃんが貸してほしいっていうから貸したんだ」

曜「あ! ふたりとも、あれ見て!」

梨子「あの、テーブルの上にあるのって・・・・・・部室の鍵!?」

千歌「しかもここの部室の鍵は鞠莉さんが作った電子キーで、スペアは無いって聞いたよ」

梨子「他に金かけるべき所がある気がするけど」

曜「他の窓は、全部内側から施錠されてるし」

千歌「内側から鍵のかかった部屋・・・・・・唯一の鍵は、部屋の中にある・・・・・・」

千歌「つまりこれは・・・・・・密室殺人!!」カッ

3: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2017/02/14(火) 00:32:27.91 ID:wJVl1+fb.net
果南「ん? 千歌? 曜と梨子も」

ダイヤ「部室の前にたむろして、一体何を・・・・・・」

ルビィ「ピギャアアアアアア!? 善子ちゃん!?」

鞠莉「善子が死んでるDE~TH!!」

花丸「南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏・・・・・・」

ダイヤ「鍵がかかってますの!?」ガチャガチャ

果南「よーし、こうなったら扉をぶっ壊して・・・・・・!」

千歌「待って、果南ちゃん! 果南ちゃんが扉を破ったら部室もろとも粉微塵になるよ!」

千歌「現場は、保存しておかないと!!」

果南「現場? それって・・・・・・」

千歌「これはっ・・・・・・不可能犯罪!! 密室殺人なんだよ!!」バァーン

4: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2017/02/14(火) 00:33:36.13 ID:wJVl1+fb.net
ダイヤ「密室殺人っ・・・・・・!!」

曜「かくかくしかじか」

果南「なるほど。千歌たちが発見した時、部室の出入口は全て内側から施錠されてたんだね」

鞠莉「そしてオンリーワンのキーは、テーブルの上にある・・・・・・」

ルビィ「た、確かに密室殺人ですぅ・・・・・・!!」

千歌「許せないよ。堕天使ぶってるけど根はいい子の善子ちゃんの、命を奪った犯人が・・・・・・」

千歌「こうなったら、私たちが密室の謎を解いて、犯人を探し出して警察に突き出そう!!」

7人「おー!!!」

5: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2017/02/14(火) 00:35:24.06 ID:wJVl1+fb.net
花丸「まずは現場の状況を確認するずら」

果南「現場はスクールアイドル部の部室。中庭側、体育館側、それぞれに扉があり、窓もついている」

梨子「現場の扉と窓は、全て内側から鍵がかかっている。扉は電子キーで、唯一の鍵は中のテーブルの上」

ダイヤ「人の出入りは不可能ですわね・・・・・・」

曜「善子ちゃんは、部室の中、テーブルの横の床の上に、頭を中庭側に向けて、うつ伏せで倒れてるね」

ルビィ「そして、善子ちゃんの伏せた頭から上半身を中心にして、床に血だまりが・・・・・・」

鞠莉「プロブレムなのは、現場の中に入れない以上、善子の死因が特定できないことね・・・・・・」

8: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2017/02/14(火) 00:37:05.54 ID:wJVl1+fb.net
千歌「あれだけの血なんだから、きっと刃物でグサっと・・・・・・!!」

梨子「う・・・・・・やめてよ、千歌ちゃん」

ダイヤ「他に何か手がかりはありませんの?」

曜「ええっと、他に見えるのは・・・・・・」

曜「――あ! あれ、見て! 善子ちゃんのそばの床に落ちてるもの!!」

ダイヤ「あれは――!」

鞠莉「――ナイフ!?」

花丸「柄に、なんか気味悪い悪魔みたいなレリーフが彫ってあるずら・・・・・・」

千歌「きっと、あれが凶器だよ!!」

9: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2017/02/14(火) 00:38:52.24 ID:wJVl1+fb.net
ルビィ「あとは、テーブルの上に・・・・・・善子ちゃんのスクールバッグ、かな?」

ダイヤ「見たところ、他に手がかりになりそうなものはありませんわね」

花丸「・・・・・・スクールバッグ?」

ルビィ「どうしたの、花丸ちゃん?」

花丸「あ・・・・・・ううん、なんでもないずら」

花丸(善子ちゃんは、普段は鞄を持ち歩いてるはず・・・・・・)

花丸(なんで今日に限って、大きなスクールバッグを・・・・・・?)

10: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2017/02/14(火) 00:40:23.55 ID:wJVl1+fb.net
梨子「ひとまず、ここまでわかったことをもとに、ノートに現場の見取り図を書いてみたんですけど・・・・・・」

 

http://i.imgur.com/i6nATZP.jpg

 

千歌「もと美術部の割には絵心ないね」

梨子「それは死に設定だから」

ダイヤ「やはり最大の謎は、犯人がどのようにしてこの密室を作り上げたかですわね」

11: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2017/02/14(火) 00:42:06.90 ID:wJVl1+fb.net
ルビィ「ねえ、花丸ちゃんはわかる? 花丸ちゃん、ミステリ小説とかもたくさん読んでるんだよね」

花丸「勿論ずら。密室ものもいっぱい読んでるよ」

花丸「じゃあ、そんなマルの知識をもとに、いくつかの可能性に分けて考えてみるずら」

曜「お願いします」

花丸「過去、ディクスン・カーは『三つの棺』で、江戸川乱歩は『類別トリック集成』の中で密室殺人のトリックの分類を試みてるずら」

千歌「花丸ちゃんが言ってることが全くわからない」

梨子「黙って聞いてようね、千歌ちゃん」

13: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2017/02/14(火) 00:43:20.24 ID:wJVl1+fb.net
花丸「ただ、マルはもっとシンプルに密室トリックの分類をしてみるずら」

花丸「すなわち、」

 
①不完全な密室

②完全な密室

③錯覚で密室に見せかけられていただけ

 
花丸「この3つずら」

14: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2017/02/14(火) 00:44:45.22 ID:wJVl1+fb.net
鞠莉「どーゆーイミ?」

花丸「まず『①不完全な密室』は、『抜け穴が存在するもの』または『機械的なトリックで密室を作り上げたもの』のことずら」

千歌「抜け穴!? そんなのインチキじゃん!」

ダイヤ「お待ちなさい千歌さん。今は、あらゆる可能性について議論しなければなりませんわ」

曜「つまり、この部室の中に、秘密の抜け穴があるかもってこと? う~ん、それは・・・・・・」

梨子「・・・・・・待って。鞠莉さんは、この部室の鍵を電子キーに変えるほどの権力があるんだよね?」

梨子「それなら、鞠莉さんが理事長の権力を使って、こっそり部室に秘密の抜け穴を作ることも可能なんじゃ・・・・・・!」

鞠莉「――!!」

千歌「まさか、鞠莉さんが犯人――!?」

ダイヤ「どうなのですか、鞠莉さん!」

16: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2017/02/14(火) 00:46:17.23 ID:wJVl1+fb.net
ルビィ「あ・・・・・・たぶん、それは、ない・・・・・・と思う」

曜「ルビィちゃん、どういうこと?」

ルビィ「この間、ルビィ、部室の中で飴を袋いっぱい落としちゃって、部室中を探したの」

ルビィ「その時、部室の中をくまなく調べたけど、抜け穴みたいなものはなかったよ」

鞠莉「当たり前よ! 抜け穴なんて、果南の部屋に作ろうとしたことがあるくらいよ!」

果南「ちょっと待て」

ダイヤ「まったく、飴を部室の中にぶちまけるなんて、だらしがありませんよ、ルビィ!」

ルビィ「うゅぅ!? ごめんなさい、おねぃちゃ・・・・・・」

17: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2017/02/14(火) 00:47:55.29 ID:wJVl1+fb.net
梨子「『機械的なトリックで密室を作り上げたもの』っていうのは?」

花丸「例えば、糸なんかを使って外から掛け金をかけたり・・・・・・」

花丸「隙間から被害者を凶器で狙ったり、遠隔操作で室内の被害者を殺すような装置を作ったりする・・・・・・」

花丸「いわゆる、機械的トリックのことずら」

曜「コナンでよくあるやつだ」

果南「確かに、部室の窓はサッシだし、糸なんかを使って中のクレセント錠をかけることは出来るかも」

千歌「よーし、外から鍵をかけたような跡がないか、調べてみよー!」

18: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2017/02/14(火) 00:49:22.37 ID:wJVl1+fb.net
~10分後~

 

曜「駄目だぁ・・・・・・サッシ窓っていっても、隙間なくビッチリ閉まってる」

果南「とても、糸が通せるような隙間は無いね・・・・・・」

ダイヤ「窓枠をくまなく調べましたが、糸や針金でこすったような跡もありませんでしたし」

梨子「体育館側にも、手がかりは何もありませんでした・・・・・・」

鞠莉「とはいえ、隙間が無い以上、外からボウガンやピストルなんかを使って、中の善子をキルするのも無理ね」

ルビィ「部室の中にも、目立って手がかりになりそうなものもないし、『遠隔殺人装置』みたいなのもなさそうだよ・・・・・・」

ダイヤ「とすると、まず『①不完全な密室』の可能性はなさそうですわね」

19: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2017/02/14(火) 00:50:53.71 ID:wJVl1+fb.net
花丸「じゃあ次は、『③錯覚で密室に見せかけられていただけ』の可能性を考えてみるずら」

果南「錯覚で密室に見せかける、って言っても、調べてわかった通り、この部室は正真正銘の密室だし・・・・・・」

曜「錯覚で密室に見せかける、っていうのはないんじゃない?」

花丸「そうとも限らないよ。そもそも、なんでみんなは、この部室が『密室』だと思うの?」

鞠莉「それは勿論、全てのキーがロックされてるからで・・・・・・」

花丸「外からは、かけられないずら?」

ダイヤ「何を言っているんですの? 鍵をかけようにも、肝心の1つしかないキーが部室の中に・・・・・・」

ダイヤ「――ああっ!!」

花丸「気づいたみたいずらね」

20: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2017/02/14(火) 00:53:09.25 ID:wJVl1+fb.net
花丸「この密室を密室たらしめているのは、『①全ての鍵がかかっている』『②唯一の鍵が部屋の中にある』この2点があるから」

花丸「では、この前提そのものが、無くなってしまったとしたら・・・・・・?」

曜「①は、私たち全員で確認したから、覆ることはない」

梨子「でも、②は・・・・・・?」

花丸「そう。もし、②という前提が否定されたら――」

花丸「つまり、『鍵が部屋の外にあった』としたら、この部室は密室でもなんでもなくなるずら」

ダイヤ「ここから見える、あの部室の中の鍵が――偽物だと言うんですの!?」

21: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2017/02/14(火) 00:54:15.62 ID:wJVl1+fb.net
鞠莉「そうか――電子キーそのものを、コピーすることは出来ない」

鞠莉「でも、見た目だけそっくりなキーを作ることは出来る――!」

ルビィ「とすると、それが出来るのは」

ダイヤ「普段から、そのキーを持っている人物――!」

千歌「・・・・・・・・・」

千歌「・・・・・・・・・え?」

22: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2017/02/14(火) 00:55:35.69 ID:wJVl1+fb.net
千歌「ま、まさかチカ!? チカが疑われてるの!?」

ダイヤ「ですが、貴方ならそれが可能ですわ」

ダイヤ「貴方は善子さんを殺害したのち、見た目だけそっくりな偽物のキーを、部室の中に残し、外から普通に鍵をかけた」

ダイヤ「そして、周りの人には『善子さんに鍵を渡した』と嘘をつき、」

ダイヤ「死体発見時に部室に突入したどさくさで、偽物のキーと本物のキーをすり替えてしまえば――!」

千歌「ち、違うっ・・・・・・チカ、そんなことしてないよ!!」

曜「あ・・・・・・あのー・・・・・・」

梨子「たぶん、それも・・・・・・ないと、思います」

鞠莉「Why? どーゆーコト?」

23: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2017/02/14(火) 00:57:19.50 ID:wJVl1+fb.net
曜「えー、実はですね。昨日、部室に入るために、千歌ちゃんにキーを借りた時・・・・・・」

曜「なんか、変にテンションが上がっちゃって」

曜「その・・・・・・キーの金属板の部分に、『チカちゃんLOVE』って彫っちゃったんだよね」

ルビィ「どんなテンションなの」

梨子「後から私がそれを見て、負けじと『チカちゃんスキ♥♥』って彫っちゃって・・・・・・」

果南「・・・・・・あ、確かに! よく見ると、キーに小さく彫ってある!」

果南「視力5.0の私が言うんだから間違いないよ!」

ダイヤ「マサイ族ですか」

24: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2017/02/14(火) 00:58:35.92 ID:wJVl1+fb.net
曜「見た感じ、私たちが彫った文字と寸分変わらないし」

梨子「あの文字を彫ったのが昨日ってことを考えると、あの文字も含めてそっくりなコピーを作るのは不可能だと思う・・・・・・」

千歌「なんだー! なんか変な引っかき傷があるかと思ったら、文字だったんだー!」

ダイヤ「なんで貴方は気づかないんですの」

鞠莉「ともかく、これでキーが偽物って線もなし・・・・・・」

ルビィ「『③錯覚で密室に見せかけられていただけ』の可能性も無いってことだね」

25: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2017/02/14(火) 01:00:03.37 ID:wJVl1+fb.net
花丸「残る可能性は、『②完全な密室』のパターンずら」

ルビィ「どういう意味?」

花丸「そのままの意味だよ。疑問を差し挟む余地も無い、完全な密室」

花丸「つまり、部屋の中の人が内側から鍵をかけた、それによって成立する密室ずら」

曜「要するに、善子ちゃん自身が鍵をかけたってこと?」

花丸「何も、『中の人』というのが『被害者』だけとは限らないずら」

27: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2017/02/14(火) 01:01:34.47 ID:wJVl1+fb.net
梨子「そ、それって、つまり・・・・・・」

鞠莉「犯人が――内側から、鍵をかけた?」

ルビィ「で、でも、今も鍵はこうしてかかってる・・・・・・」

千歌「じゃあ・・・・・・鍵をかけた、犯人は・・・・・・」

ゾクッ

千歌「今も、部室のどこかにいて――隠れてる、ってこと!?」

28: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2017/02/14(火) 01:02:44.67 ID:wJVl1+fb.net
ダイヤ「こ、この中に、今も犯人が!?」

果南「みんな、私の後ろに隠れて。いざとなったら、私のCQCで叩きのめすから」

曜「新たな被害者が出ちゃいそうだけど」

鞠莉「だけど、隠れるっていっても、どこに? 隠れられそうなプレイスなんて、なさそうだけど?」

梨子「テーブルの下には、誰もいないし・・・・・・」

ルビィ「ホワイトボードの裏にも、誰もいません」

千歌「本棚・・・・・・は、無理だよね」

梨子「後は、部屋の中にあるものといったら、隅に積んである段ボールぐらいしか・・・・・・」

曜「――ああっ!」

29: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2017/02/14(火) 01:03:53.43 ID:wJVl1+fb.net
千歌「どうしたの、曜ちゃん?」

曜「犯人は、あの段ボールの中に隠れてるんじゃないかな!?」

ルビィ「段ボールの中に!?」

梨子「でも、あの段ボール、1つ1つはとても人が入れる大きさじゃないし・・・・・・」

千歌「犯人はエスパー伊藤ってこと!?」

曜「確かに、ぱっと見た感じ、あの積んである段ボールの1つ1つは、人が隠れられそうな大きさじゃない」

曜「でも、『積んであるように偽装』して、その実、中のフタとか底がぶち抜いてあれば・・・・・・!」

梨子「そっか! 立って、あの中に隠れることも出来るんだ!」

果南「あー、えっと・・・・・・」

果南「それも、ないかな?」

ダイヤ「どういうことですの?」

30: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2017/02/14(火) 01:06:04.16 ID:wJVl1+fb.net
果南「実は、あの段ボールの中・・・・・・」

果南「大量のくさやが入ってるんだよね」

曜「くさや!?」

ダイヤ「何考えてますの貴方は!?」

果南「いや、自家製なんだけど、作りすぎちゃって・・・・・・」

果南「でも、とっても美味しいから、みんなにおすそ分けしようと思ってさ!」

曜(ありがた迷惑だ・・・・・・)

果南「臭いもすごいんだ。だから、もし仮に犯人が中のくさやを処分して、中に入ってるんだとしても・・・・・・)

果南「段ボールに染み付いた臭いに耐えて、中で長時間じっとしてるのは、無理かなん、って・・・・・・」

鞠莉「よくわかんないけど、果南がくれるものなら、喜んで食べるわ、私!」

ダイヤ(鞠莉さんが実物を前にしたら卒倒しますわね・・・・・・)

31: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2017/02/14(火) 01:07:13.01 ID:wJVl1+fb.net
花丸「犯人が部室の中に隠れてる可能性も無い」

花丸「『②完全な密室』を構成する上で、『犯人が中から鍵をかけた』可能性を除外すると、」

花丸「残りのパターンは2つ。『密室内での事故死』と、『被害者が中から鍵をかけた』可能性」

梨子「事故死、っていうのはどうなんだろ」

ダイヤ「見たところ、大きな事故があったような、室内が大きく乱れた形跡もありませんし・・・・・・」

千歌「善子ちゃんが、滑って転んで頭打った、とか?」

曜「床に頭を打っただけで、あんなに大量の血は出ないんじゃないかな」

32: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2017/02/14(火) 01:09:11.15 ID:wJVl1+fb.net
梨子「事故死じゃない、とすると」

ダイヤ「残された可能性は・・・・・・」

果南「『被害者が中から鍵をかけた』――」

ルビィ「被害者って、善子ちゃん自身が、鍵を・・・・・・?」

曜「それって、まさか――」

曜「『自殺』、ってこと!?」

33: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2017/02/14(火) 01:10:30.94 ID:wJVl1+fb.net
鞠莉「確かに、密室殺人よりも自殺と考えた方が、はるかに可能性としては高いデース」

果南「そう、だね・・・・・・そっちの方が、トリックとか関係なく、一番無理なく納得できるし」

ルビィ「だけど、善子ちゃんが自殺なんて・・・・・・!!」

曜「そうだよ、自殺するそぶりなんて、全然なかったよ!?」

花丸「そう。自殺と考えると一番簡単なんだけど、善子ちゃんにはそれをする動機が無い」

花丸「そうすると、考えられる可能性はただひとつ」

花丸「『自殺でも事故でもない』――だけど、『被害者が中から鍵をかけた』可能性」

34: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2017/02/14(火) 01:11:47.25 ID:wJVl1+fb.net
梨子「つまり、殺人なのに、被害者のよっちゃんが中から鍵をかけたっていうこと?」

千歌「わ、訳わかんない・・・・・・」

ダイヤ「そんなこと、ありえますの?」

花丸「この可能性について、議論する前に・・・・・・」

花丸「もう一度、善子ちゃんの『死因』について考えてみるずら」

曜「死因?」

ルビィ「ナイフで刺された、じゃないの?」

35: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2017/02/14(火) 01:13:14.86 ID:wJVl1+fb.net
花丸「もう一度、善子ちゃんのそばに落ちてる、ナイフをよく見てほしいずら」

曜「あのナイフが、一体・・・・・・」

果南「――あっ!! あのナイフ、よく見ると・・・・・・!」

果南「刃の部分に、血が全然ついてない!!」

ダイヤ「本当ですの!?」

花丸「あれが凶器だとすると、こうして現場に残してある以上、犯人がわざわざ血をぬぐったとも考えにくい」

花丸「とすれば、あのナイフは凶器じゃなかった、と考えるのが自然ずら」

鞠莉「ナイフが、凶器じゃなかった・・・・・・!」

千歌「じゃあ・・・・・・善子ちゃんの、本当の死因はなんなの!?」

36: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2017/02/14(火) 01:15:26.62 ID:wJVl1+fb.net
花丸「大量に血が出る、というのは、何も刺殺に限ったことじゃないずら」

花丸「考えられるのは――吐血」

ルビィ「吐血・・・・・・血を、吐いた・・・・・・!?」

鞠莉「まさか・・・・・・毒殺、ってこと!?」

花丸「その通り」

梨子「だけど、よっちゃんの本当の殺害方法が刺殺じゃなくて毒殺だったとして・・・・・・」

梨子「それが、密室に関係あるの?」

花丸「大有りずら。もしこれが、刺殺でなく毒殺なのだとすると――」

花丸「『犯人の犯行時刻』が、大きく変わる可能性があるずら」

37: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2017/02/14(火) 01:16:39.66 ID:wJVl1+fb.net
曜「犯行時刻が変わる――!?」

果南「どういうこと?」

花丸「今までマルたちは、犯人が善子ちゃんを部室の中で殺害したと思っていたずら」

花丸「でも――犯人が犯行に及んだのが、『もっと前』だったとしたら?」

花丸「犯人が善子ちゃんに毒を盛った後に、善子ちゃんが自分で部室に来て、鍵をかけたんだとしたら――?」

鞠莉「ああっ!!」

38: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2017/02/14(火) 01:18:34.72 ID:wJVl1+fb.net
花丸「そう。犯人が遅効性の毒薬――例えば、カプセルに入った毒薬か何かを、なんらかの手段で善子ちゃんに飲ませたとする」

花丸「カプセルが溶けて、善子ちゃんが中毒を起こすまで、タイムラグが生まれる」

花丸「善子ちゃんは、自分が毒薬を飲んだことに気づかず、千歌ちゃんに部室のキーを借り、部室に入って、鍵をかける」

花丸「善子ちゃんが部室の中にいる時に、体内のカプセルが溶け、善子ちゃんが吐血して中毒死すれば――」

花丸「不可思議な『密室』の出来上がりずら」

ダイヤ「そんな・・・・・・そんなことが・・・・・・!!」

39: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2017/02/14(火) 01:20:21.52 ID:wJVl1+fb.net
花丸「だけど、あらゆる可能性を排除して考えていくと、この可能性しか残らないずら」

花丸「おそらく、犯人にしても、こうして偶然『密室』が出来上がってしまったのは、計算外だったんじゃないかな」

千歌「でも、善子ちゃんに毒を飲ませて、殺害した犯人って・・・・・・?」

ルビィ「・・・・・・・・・・・・」

花丸「・・・・・・ルビィちゃん」

ルビィ「!!」ビクッ!

花丸「さっきから、顔色が悪いずらよ?」

ルビィ「・・・・・・ぇ・・・・・・その・・・・・・」

花丸「何か・・・・・・知ってるんじゃない?」

ルビィ「あ・・・・・・う・・・・・・」ガタガタ

40: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2017/02/14(火) 01:22:06.43 ID:wJVl1+fb.net
ダイヤ「・・・・・・ルビィ!? 貴方、どうしたというのです!?」

ダイヤ「一体、何を知って・・・・・・!!」

ルビィ「あぅ・・・・・・おねぃちゃ、ご、ごめ、なさ・・・・・・!!」ビクッ

ルビィ「る、ルビィ・・・・・・実は、見ちゃって・・・・・・」

梨子「見たって、何を!?」

ルビィ「今朝、登校してきた善子ちゃんが、具合が悪そうだったから、保健室に連れて行ってあげて・・・・・・」

ルビィ「その途中で、善子ちゃんが、洗面所に寄って・・・・・・そこで、カプセル錠みたいなのを、飲んで・・・・・・!」

曜「カプセル錠!?」

41: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2017/02/14(火) 01:23:28.28 ID:wJVl1+fb.net
千歌「まさか――それが、毒薬だったの!?」

ルビィ「うう・・・・・・もしあれが、毒薬だったなら・・・・・・!! ルビィが気づいて、止めてれば、善子ちゃんは・・・・・・!!」

ルビィ「うぅ・・・・・・うわあああぁぁぁん!!」

果南「どういうこと!? やっぱり自殺だったってこと!?」

曜「でも善子ちゃんには、自殺する動機がないって・・・・・・!!」

鞠莉「そう。自殺じゃないとしたら――」

鞠莉「誰かが、その錠剤を――毒薬のカプセルと、すりかえた」

鞠莉「――違う? ルビィ」

ルビィ「!?」ビクッ!

42: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2017/02/14(火) 01:25:20.73 ID:wJVl1+fb.net
ダイヤ「何を言ってるんですの、鞠莉さん!!」

ダイヤ「ルビィが犯人だと言うのですか!? 貴方といえども、許しませんわよ!!」

鞠莉「だけど、これが他殺なら、誰かが薬をすり替えたと考えるのが普通じゃない」

鞠莉「そして、それが出来たのは――ひとりで、善子を保健室に送り届けた、ルビィだけ」

ルビィ「あ・・・・・・あぅ・・・・・・」ガタガタ

果南「ルビィ・・・・・・!?」

梨子「まさか、本当に・・・・・・!?」

43: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2017/02/14(火) 01:27:02.81 ID:wJVl1+fb.net
鞠莉「ね、ルビィ――私だって、貴方が犯人だなんて思いたくない」

鞠莉「だから、違うなら反論して。自分が犯人じゃないって、証明して――!」

ルビィ「うぅ・・・・・・る、ルビィは・・・・・・!」ガタガタ

ルビィ「ほ、本当に・・・・・・!」グスッ

ダイヤ「ルビィ・・・・・・!!」

鞠莉「ルビィ、お願い・・・・・・!!」

花丸「待って、鞠莉さん!」

花丸「大量に吐血する程の危険な毒薬を女子高生が手に入れて、さらにそれをカプセルに詰めるなんて作業は、簡単には出来ないずら!」

花丸「もう一度、他の可能性も考えて――!」

 

 

ガタッ

44: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2017/02/14(火) 01:28:14.90 ID:wJVl1+fb.net
善子「・・・・・・あんたら」

善子「さっきから、部室の外で、何騒いでるの?」←血まみれ

 

 

 

8人「」

45: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2017/02/14(火) 01:30:23.60 ID:wJVl1+fb.net
千歌「ぎゃあああああ!!? 善子ちゃんが生き返ったぁぁぁぁ!!?」

ダイルビ「「ピギャアアアアアア!!??」」

鞠莉「ゾンビぃぃぃぃぃ!!?」

曜「ああああ悪霊退散悪霊退散~~!!!」

梨子「・・・・・・」ヘタッ

果南「くっ、みんな私の後ろに隠れて!! かわいそうだけどゾンビ化したなら退治しなきゃ・・・・・・!!」

 

善子「何、訳わかんないこと言ってるのよ!!」

善子「それに、善子じゃなくてヨハネ!! 私は生きてるわよ!!」

 

花丸「よ、善子ちゃん・・・・・・!」

花丸「本当に、生きてるずら・・・・・・!?」ジワッ

46: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2017/02/14(火) 01:32:33.48 ID:wJVl1+fb.net
~部室に入って~

 

8人「気を失ってたぁぁぁ!?」

善子「そ、そうよ。文句ある?」

千歌「でも、一体どうして・・・・・・」

善子「そ、それは・・・・・・///」モジモジ

花丸「?」

善子「ほ、ほら・・・・・・今日は、その・・・・・・『あの日』じゃない」

善子「漆黒の甘美な悪魔の欠片を、人間に渡す日・・・・・・」

曜「それって、要するに・・・・・・」

梨子「バレンタインデー・・・・・・ってこと?」

善子「そ、そうとも言うわねっ!///」

47: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2017/02/14(火) 01:33:59.85 ID:wJVl1+fb.net
善子「それで・・・・・・あの・・・・・・普段の感謝を込めて、っていうか・・・・・・///」ゴニョゴニョ

千歌「え、何?」

花丸「声が小さくて聞こえないずら」

善子「ああー、だからぁー!! Aqoursのみんなに、このヨハネ様が、手作りチョコをあげようと思ったのよ!!///」

ダイヤ「手作り・・・・・・」

鞠莉「・・・・・・チョコ?」

善子「そう!! だから昨日、家で作ってたのっ!!」

善子「だけど、ヨハネの不幸体質が炸裂しちゃって・・・・・・」

善子「作ってる最中に、焦げるわ、火をふくわ、爆発するわで」

曜(・・・・・・爆発?)

花丸(不幸体質っていうか、単に下手なだけじゃ・・・・・・)

48: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2017/02/14(火) 01:37:06.72 ID:wJVl1+fb.net
善子「何度も失敗したから、味見だけで、ものすごい量のチョコを食べることになっちゃって・・・・・・」

善子「チョコの食べすぎで、今朝から体調が悪かったの」

ルビィ「じゃあ、あのカプセル錠は・・・・・・」

善子「決まってるじゃない。ただの胃腸薬よ」

鞠莉「胃腸薬・・・・・・」

善子「それで、放課後の練習の時に、みんなに渡そうと思って・・・・・・」

善子「先に部室に行って、ラッピングしようと思ったの。誰かが入ってきたら嫌だから、鍵をかけて」

曜「あの、落ちてたナイフは・・・・・・」

善子「ああ、これはヨハネ持参のペーパーナイフ! ラッピング用品が入ってた袋を切ろうと思って」

善子「ほら、柄がデーモンの彫刻になってるのよ♪」

梨子「じゃあ、あのスクールバッグは・・・・・・」

善子「あの中に、みんなのチョコと買ってきたラッピング用品を入れて持ってきたの」

花丸「だから、普段の鞄じゃなかったずらか・・・・・・」

49: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2017/02/14(火) 01:38:49.74 ID:wJVl1+fb.net
千歌「で、で、でも!! だったら、あの血はなんだったの!?」

千歌「チカたち、びっくりしたんだよ!! 善子ちゃんが死んじゃってるって思って!!」

善子「そ、それは・・・・・・その・・・・・・///」モジモジ

善子「この部屋入って、作業してたら・・・・・・なんか、すごく臭いにおいが漂ってきて・・・・・・」

果南「臭いにおい? 何かなぁ?」キョトン

ルビィ(くさやだ)

曜(くさやだ。果南ちゃんの)

ダイヤ(まだ、残り香がありますし・・・・・・)

善子「それで、気持ち悪くなっちゃって・・・・・・チョコ、食べ過ぎてたし・・・・・・」

善子「そしたら・・・・・・吹いちゃったの」

50: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2017/02/14(火) 01:40:14.97 ID:wJVl1+fb.net
千歌「吹いちゃった?」

花丸「何を?」

善子「鼻血」ボソッ

花丸「・・・・・・え?」

善子「だから、鼻血っ!! 吹いちゃったのよ、大量に!! チョコの食べすぎで!!」

善子「それで、貧血で倒れて気を失っちゃったのっ!! 文句ある!?///」

8人「」

8人「    」

51: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2017/02/14(火) 01:42:02.87 ID:wJVl1+fb.net
曜「・・・・・・ギャグかよ」

曜「ギャグじゃんかよぉぉ・・・・・・!!」プルプル

千歌「あはははっ! そっか、鼻血かぁ! 納得したよっ!」

梨子「ま、でも、確かに真相は、『②完全な密室』の中の『被害者が中から鍵をかけた』パターンだった訳だから――」

梨子「花丸ちゃんの推理も、当たってたってことなのかな?」

花丸「オラも・・・・・・まだまだ、修行が足りないずら・・・・・・」ガクッ

ダイヤ「鞠莉さぁぁぁん!! こんなギャグオチだというのに、貴方はルビィを犯人扱いしたのですかぁ!?」

鞠莉「アイムソーリーベリベリソーリー、ルビィ、ダイヤ~!! ぐえぇ、許してぇ~!!」

果南「ま、何はともあれ一件落着したみたいだし、私もチョコ代わりに、みんなにくさやをあげようかな?」パカッ

ダイヤ「くさっ!!」

 

善子「・・・・・・ね、つまり、みんな私が死んだと勘違いして、助けるでもなく推理ごっこしてたってこと?」

善子「私、泣いていい?」

ルビィ「ご、ごめんね・・・・・・善子ちゃん・・・・・・」

52: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2017/02/14(火) 01:43:40.85 ID:wJVl1+fb.net
ルビィ(私は、自分も含めたことながら・・・・・・)

ルビィ(ツッコミが不在となってしまった時の、Aqoursの恐ろしさを再認識したのでした)

ルビィ(善子ちゃんは結局、ただのいい子でした)

ルビィ(私は、善子ちゃんからもらった、ちょっぴり鼻血とくさやの香りのするチョコを受け取りながら――)

ルビィ(ホワイトデーには、全力でお返しすることを、心に固く誓ったのでした)

ルビィ(・・・・・・ごめんね、善子ちゃん)

 

Aqours「「「ハッピー☆バレンタィィィィンッッ!!!」」」

53: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2017/02/14(火) 01:45:03.80 ID:wJVl1+fb.net
おしまい

今日はバレンタインデーなのでそれっぽいお話を書いてみました!
鼻血がそんな大量に出るかというツッコミはギャグSSということでご勘弁を
ハッピーバレンタイン!(σ`・∀・´)σ