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水・風・土・火。自然界の4つのエレメントにより命を落とす可能性がある地域 : カラパイア

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 天気天候、天災はまさに天の気の向くまま。予想もしてなかった事態に巻き込まれることが誰にだってある。

 そしてそれは時として、命を奪われかねない危険も存在する。台風から火山の噴火まで、脅威はそこかしこにある。そうした脅威を構成するのは、水・風・土・火の4つのエレメントである。

 ここでは自然災害で命を落とすかもしれない地域を、4つのエレメントに分けて紹介しよう。
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水の脅威


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ノルウェー、サルツトラウメン海峡の渦潮 image credit:Cephas Picture Library

 人間は水中の環境に適応していないのだから、水が危険なのは当然だ。船の技術が発達しているにも関わらず、国際海事機関は2012年に1,051名が海で死亡したと発表している。だが波で直接命を落とした人はごく一部だけだ。

 とは言え、地理学的な特徴のためにより危険な波もある。ノルウェーのサルツトラウメン海峡の海流は地球上で最も強いと言われる。しかし、その渦潮は十分に研究が進んでおり、観光客は経験豊富なガイドと一緒にゴムボートに乗ってここを横断することもできる。

 水の力が本当に危険になるのは陸上においてかもしれない。海岸沿いで暮らす人々にとって、海の氾濫は特に危険だ。インド洋に浮かぶモルディブは”短命の島”と呼ばれている。海面レベルの上昇に脆弱なのである。気候変動が続く限り、そのリスクは毎年増大するばかりだ。

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2004年、インド洋で起きた津波によって壊滅した街 image credit:Mark Pearson

 水の危険がピークに達するのは、津波や高潮による突然の水位の上昇であろう。

 アメリカ国立気象局によると、津波の71パーセントが太平洋で発生している。しかし地震に起因する津波は、あらゆる沈み込み帯で発生しうる。

 こうした人々の命を危険にさらす出来事が発生した際、それを警告し、被害を防止する世界的なシステムが存在する。場所によっては、津波発生から20分以内に警報を発することが可能だ。それでも数多くの人命が津波によって奪われている。

 2004年、スマトラ島沖地震によって発生した史上最悪の津波では、15か国で28万人が亡くなったと伝えられている。これは想像を絶する犠牲者の数であるが、さらに多くの人々が河川の洪水によって亡くなっている。

 1931年、中国の長江大洪水では数百万人が死亡したと推測されている。その年は積雪が多く、雪解け水による増水が著しかったことに加え、例年にない大雨にも見舞われた。その結果が記録史上最悪の自然災害である。

 長江に沿った氾濫原には今日でも大勢の人々が暮らしている。気象パターンは変化しており、洪水への懸念が強まっている。

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カメルーンのニオス湖。危険な二酸化炭素が吹き出す image credit:jbdodane


風の脅威


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ハイチは台風に最も脆弱な地域 image credit:NASA

 アフリカにはいくつもの”殺人湖”が存在する。だが問題なのは水ではない。

 カメルーンのニオス湖やコンゴ民主共和国とルワンダにまたがるキブ湖には、見えない危険が潜んでいる。湖は火山活動地帯にあり、一帯の地下からは二酸化炭素が漏れ出しているのである。

 淡水湖沼噴出と呼ばれる現象では、湖の底から二酸化炭素が大量に噴出し、雲を形成する。このガスは空気よりも重いために降下して、酸素を押しのけてしまう。結果、辺り一帯の生き物は窒息する。1980年代に起きた2度の噴出では、1,700人と3,500頭の家畜が犠牲になった。これを受けて、この地域ではパイプとサイフォンを利用した脱ガスが定期的に行われるようになった。

 他方のキブ湖ではメタンガスが漏れ出している。そこで、メタンガスを吸い上げて、数百万人分の発電を行おうというプロジェクトが進行している。

 命を奪うのは何もガスだけではない。単なる風も暴風の域に達すれば十分危険なものになる。

 南極のデニソン岬は、年平均で最も風が強い場所である。当然、ここに人が住むことはできない。しかし一定の季節に発生する台風は、人が暮らす世界各地で甚大な被害をもたらしている。

 最強の台風は赤道の北および南の暖かい海の上で発生する。ここでは貿易風が気圧の変化によって加速し、コリオリ効果によって回転を始める。こうして台風、ハリケーン、サイクロンと呼ばれる回転する気象システムが作られる。

 ハイチはカリブ地域で台風に最も脆弱な島だと考えられている。台風の通り道であるのみならず、貧困国であるために回復することができないからだ。住居は氾濫原の上に建てられており、森林のような天然の堤防も劣化している。また経済的に不安定で、堤防や警報システムを整備することもできない。

 このことは、最大の台風が必ずしも最も危険だとは限らない理由を説明する。

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1906年、サンフランシスコ地震の後の風景 image credit:Glasshouse
 
 ドイツ、シュトゥットガルト大学の自然災害リスクの専門家イェルン・ビルクマンは、台風の危険性は予測不能性にあると語る。

 台風が通過した跡は分布様式を変えてしまう。つまり、それまでほとんど台風が見られなかった地域でも発生することがあるということだ。こうした地域では台風に対する備えがほとんどないため、特にリスクが高くなる。

 国連大学が作成した世界リスク報告書(World Risk Report)の2016年度版では、自然災害に最も脆弱な地域としてバヌアツが1位になった。この島国では毎年、人口の3分の1が自然災害の影響を受けている。2015年、わずか数週間の間に地震、火山噴火、サイクロン・パムと続けざまに見舞われ、公式発表によれば11名が死亡した。

 こうした比較的少ない犠牲者数は、自然災害から人々を守るために払われた国際的努力の証拠であろう。比較のために例を挙げると、最大の犠牲者を出した台風は、1970年11月にバングラデシュを襲ったボーラ・サイクロンで、50万人が亡くなった。

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カリフォルニア州に走るサンアンドレアス断層の一部 image credit:Nik Wheeler


土の脅威


 世界の最も危険な行き先をつなぎとめているものがあるとすれば、それはテクトニクスだ。

 地球の地殻は移動するプレートで構成されている。そして、それがお互いに向かって移動するような場所ではエネルギーが蓄積される。このエネルギーが解放されるとき、地震波が放たれ、地震となって地表を震わせる。
 
 記録に残る史上最悪の地震は、1556年に中国で発生した華県地震で、80万人が犠牲になったと推測されている。地震によって津波も発生するのだからタチが悪い。

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エチオピアのダナキル砂漠に広がる不毛な風景 image credit:AGF Srl

 カリフォルニア州に沿って伸びるサンアンドレアス断層は、太平洋プレートが北アメリカプレートに滑り込む場所で、最も有名なプレート境界だろう。近くにあるハリウッドでは同名の映画作品まで作っている。

 だが台風の例と同じく、地震の被害に最も脆弱なのはこうした場所ではない。地震が多いロサンゼルスや東京では、建築物に先端の耐震構造を採用して住民を守っている。

 だが大地震の81パーセントが集中する”環太平洋火山帯”沿いのすべての地域でこうした対策が講じられているわけではない。

 2015年度自然災害リスクアトラス(Natural Hazard Risk Atlas)によると、自然災害に最も脆弱な10都市のうち、8都市までがフィリピンであった。フィリピンは環太平洋火山帯だけでなく、台風ベルトにも位置している。

火の脅威


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2010年に噴火したインドネシア、ムラピ山 image credit:Reuters

 テクトニクスのコインの表裏のような存在が火山活動である。プレートがお互いから離れて移動する場所では、地球の表面から熱いマグマが吹き出し、隙間を埋めようとする。

 “地球上で最も非情な場所”と言われるのが、エチオピアのダナキル砂漠である。ここには3枚のプレートが集まっており、おそらく世界で最も火山活動が活発な地域だろう。

 年間の平均気温は34.4度。地球で最も暑い場所の1つである。降水量は少なく、火山性の亀裂、熱水フィールド、塩田という風景が点在する。とてもじゃないが住めそうにない場所だが、アファル人はここを故郷と呼ぶ。

 実際、人間には不安定な地質学的特徴がある土地の付近に定住する習慣があるようだ。その例の最たるものが、ヴェスヴィオ火山の溶岩によって埋もれてしまった古代イタリアの都市ポンペイだ。現在においても活火山の側に築かれた都市がある。ナポリはヴェスヴィオ山から10キロも離れていないし、メキシコシティもポポカテペトル山から70キロの距離だ。

 世界火山モデルネットワーク(Global Volcano Model network)が2015年に発表した研究によると、過去400年で20万人以上が火山による直接の犠牲となった。同研究において、火山活動のリスクが最も高い地域と判断されたのはインドネシアである。

 スンバワ島のタンボラ山は、1815年に7万人を殺し、北半球に夏のない年をもたらした。しかも噴火によって気候が変わったということは、飢餓や疫病でさらに多くの犠牲者が出ていたということだ。

 より最近では、2010年にムラピ山が甚大な被害をもたらし、爆発と火山灰による窒息で350人以上が亡くなった。それでも数万人が無事避難することができている。

 将来的に溶岩は、熱源としてそれほど危険視されなくなるかもしれない。2003年、ヨーロッパ全土で7万人が熱波による熱中症で亡くなった。都心部は特にリスクが高いため、都市化が進むほどに、熱波が以前にも増して危険な自然災害として大勢の命を危険にさらす恐れがある。

 自然災害の専門家は、私たちの安全を守るために全力を尽くしている。しかし最大の問題を作り出すのは、人口増加と経済発展という、私たち自身の成功なのかもしれない。

via:The places on Earth where nature is most likely to kill you/ translated hiroching / edited by parumo
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コメント

1

1. 匿名処理班

  • 2017年02月17日 21:18
  • ID:OI40MzwX0 #

なんか全部日本に当てはまってる気がする・・・

2

2. 匿名処理班

  • 2017年02月17日 21:41
  • ID:Qaxzz9Ji0 #

地震雷火事おやじってね

3

3. 匿名処理班

  • 2017年02月17日 22:05
  • ID:DW85wAzu0 #

昔はオヤジではなく地震雷火事大風(おおやじ)と言われてたと甥っ子が言ってた!

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4. 匿名処理班

  • 2017年02月17日 22:20
  • ID:P56eeM4J0 #

マジか!?
オヤジはそんなに強かったのか!?

5

5. 匿名処理班

  • 2017年02月17日 22:29
  • ID:fS4o2zSX0 #

地震、津波(海面上昇も主要都市のほとんどが沿岸部に
集中する日本では将来的には大問題)、火山、台風

日本はフルコンプですなw
ところで、箱根の火山警報の件はどうなったんだろうか。

6

6. 匿名処理班

  • 2017年02月17日 22:31
  • ID:OpXZZvS30 #

本当だ。日本って全てが起きるね
地震、台風、(森林)火災、津波

よく住んでいるな私達

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7. 匿名処理班

  • 2017年02月17日 22:43
  • ID:IcBW2d0V0 #

結局最も過酷なのはどこなのよ

8

8. 匿名処理班

  • 2017年02月17日 23:17
  • ID:jXDSNRYt0 #

光と闇は?(ソシャゲ脳)

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