もともとSpaceXは、無人宇宙船Red Dragonを2022年に火星へ送ると言われていましが、2016年4月にCEOイーロン・マスク氏が2018年を目標にするとツイートし、予想より4年も早い月への到達が期待されていました。しかし2月18日のCRS-10打上げ開始前に、ショットウェル氏は「2018年の実現に向けて集中してきましたが、Falcon Heavyロケットの開発と飛行士育成にさらなる資源の集中が必要だと考えました」と発言、「2020年の打上げを新たな目標とする」としました。
2016年9月1日に発生したFalcon 9ロケット打ち上げ直前の爆発事故によって、SpaceXのロケット打ち上げが数か月中断することになったのはご存知のとおり。原因はロケットの燃料タンク構造の問題だったと判明し、ひとまず燃料注入方法の変更といった運用面でカバーすることで打ち上げ再開には漕ぎつけたものの、来年2018年内の火星到達実現には、さすがに時間が足りないと判断した模様です。
なお、ハーバード・スミソニアン天体物理学センターのジョナサン・マクドウェル氏は昨年4月「SpaceXの計画は不可能ではないものの、それはFalcon Heavyの開発がまったくノートラブルならばの話。実際のところは2020年ぐらいになる思っておくのが良いだろう」と発言していました。
ちなみにSpaceXは、発表のあとに行われたISSへの補給物資輸送のためのロケット打ち上げを、離陸13秒前に中断しました。原因は2段目ロケットの推力ベクトル制御システムが異常を示したため。イーロン・マスクCEOは「99%は打ち上げに支障はなかったと思うけど、念のために中止した」としています。
仕切り直しの打ち上げは今夜、日本時間で2月19日23時38分ごろの予定。
All systems go, except the movement trace of an upper stage engine steering hydraulic piston was slightly odd. Standing down to investigate.
— Elon Musk (@elonmusk) 2017年2月18日