加蓮ちゃんは服を脱ぎます
※独自設定あり、キャラ崩れ注意
「加蓮ちゃん。突然で申し訳ないんですけど服を脱いでもらっていいですか?」
事務所でぼんやりとポテトチップスを食べていた加蓮は自分の正気を疑った。
あの緒方智絵里が、突然、服を脱いでほしいと言ってきたのだ。自分がおかしくなったのか、或いは世界がおかしくなったのか、もしくは両方なのか。
いや、智絵里でなくても突然服を脱いでほしいと頼まれる状況は明らかにおかしいものであり、それだけで既に正気を疑えるというのに、まさかそれを言ってきたのが智絵里だということがより状況理解できなくなるものであった。
それはそれで意味不明じゃない?
動揺のあまりに袋の中のポテトチップスを粉々に砕いてしまっている。
「えっと、智絵里、ごめん。もう一回言ってくれる?」
「服を脱いでもらっていい?」
「……ごめん、もう一回」
「服を脱いでください」
「あはは、なんか耳がおかしくなってるみたい。ごめん、もう一回だけお願い」
「加蓮ちゃんは服を脱ぎます」
「うん、勝手に決めないでね」
何かおかしいことを言っただろうかと言わんばかりにきょとんとした表情を浮かべながら首を傾げる智絵里。可愛い、と同時に恐ろしいほどの無垢である。
何かがおかしい、智絵里がこんな突拍子もなく、意味もなく、服を脱げと迫ってくるはずがない。きっとどこかに隠しカメラでも仕込んであるに違いない。
しかし、どうにもカメラが隠してあるようには見えない。いや、少し見渡すくらいで見つかるような隠し方をするはずもないかと思い直した。
──まあ、いいか。アイドルとして芸の幅を広げる必要もあるかもね。
やるからには本気だ。本気で騙されてやる。加蓮のアイドルへの高い意識の持ちようが、たとえこのようなことであったとしても全力を注ぐことを是とした。
なぜなら──北条加蓮は、あの人(プロデューサー)が育てたアイドルなのだから。
……うーん、ドッキリにしても設定が意味不明過ぎて、逆に違う気がしてきたぞ、と加蓮は意気込んでいたものがすぽりと抜けていくような気がした。
訝しげな加蓮の表情にようやく気付いたのか、智絵里はあわあわし始めた。
「す、すみませんっ、主語が足りていませんでした……り、理系なんです!」
「あはは……大丈夫だよ。たいして気にしてないから、謝らなくても」
唐突に脱いでくださいという国語力に関しては果たして理系だからという問題なのかは気にしないでおくとして。
「それで、服の交換だっけ。それ自体は別に構わないけど、それなら一緒に服を見に行ったほうがいいんじゃない? 見立てて選んであげるよ」
いつだったかMasque:Radeでのユニット活動中に美穂の服を見立てたこともあったが、やっぱり可愛い女の子の服を選ぶということは楽しいものだ。
着せ替え人形で遊ぶ童女と或いは根幹に似たものがあるのかもしれない。
三つ子の魂は百まで変わらないというように多くの女性は幼い頃に着せ替え人形で遊ぶことで洋服を着せ替えるということに楽しみを見出だすものなのかもしれない。
やはり智絵里に似合うものを、いやいやしかし自分の服装と交換したいと言ってきたぐらいなのだから敢えて完全に自分の趣味に合わせてやるべきか──
加蓮の考えは既に着せ替える方向へとシフトしていたが、しかし当の智絵里はと言うとそうではなかった。
物凄く図々しかった。
友人の服をまさか自分の勝負服だと言う人間がまさかいるとは思わなかった。
「ええっと、それなら私も智絵里の服を選ぶだけでよくないの……?」
「加蓮ちゃんを探していたら時間がもうギリギリになっちゃって……うう、めちゃくちゃなこと言ってるのはわかっているけど、お願い……!」
自らに非があることもちゃんと理解していて、言っていることがめちゃくちゃだということも自覚していて、それでもこうして智絵里は頼んできているのだ。
ならば、意固地になる必要はない。
そもそも意固地になるようなことでもない。
ふふ、と加蓮は笑う。こんなめちゃくちゃなこと、面白くて笑うしかない。
「──わかった。今回だけだからね?」
目をごしごし。あれ見えない。
どうやら気のせいだったようだ。
「カレールー……?」
「はい、カレエルっ」
もしかして私ってカレーのように美味しいのかな、と思った加蓮は自分の指を舐めてみるけれども、やはりほんのり塩気とネイルの味がするだけだった。
閑話休題。
幸いにもプロデューサーは今日ここへ戻らず自宅へ直帰であるとボードにも書いてあるし、ここへ寄る者がいるとすれば同じアイドルの女の子くらいだ。
それにしても、と加蓮は思う。別に智絵里の服装は酷いというわけではない。むしろ智絵里によく似合った、可愛らしい格好であるとすら同僚アイドルという贔屓目を抜きにしても思う。
結局服装の交換に応じるのが、ベストではないにしてもベターなものだ。
それに正直、智絵里のキュートらしい洋服を着るというのもいいなというのも少しばかりないわけでもない。
そんなことを考えながら上に着ていたものはすべて脱ぎ、加蓮は生まれた姿に下着だけを着た状態となっていた。
あとは智絵里の洋服と自分の服を交換するだけだ──って、ちょっ、ま。
「智絵里!? な、なんで──なんで下着まで脱いでるのよ!?」
加蓮が驚愕したように、智絵里は躊躇いもなく、まるでそうすることが当たり前であり必然であるとでも言わんばかりに下着を脱ぎ捨てて生まれたてそのままの姿になろうとしていではないか。
薄い桜色の、飾り気よりも質素な魅力を追求した下着。水玉模様がアクセントとなっていて可愛らしい、上下ともにデザインの揃ったセットとなったものだ。それを智絵里は脱ごうとしていた。
慌てる加蓮を尻目に智絵里はというとやはりきょとんと首を傾げる。ああ下着姿でもやっぱり可愛いなキュート属性めちくしょうと思うが、それどころではない
コメント一覧
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- 2017年02月22日 22:17
- 女の子って友達同士で服の交換とかするもんなの?
気持ち悪いよ?
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- 2017年02月22日 22:20
- Bサイズ合わんだろ(マジレス)
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- 2017年02月22日 22:25
- そして俺はパンツを脱ぎます
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- 2017年02月22日 22:28
- 智絵里ちゃん79 57 80
加蓮83 55 81
無理をすればなんとかなる……なる?
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- 2017年02月22日 22:39
- それから俺が※4のassにアナログスティックを突きたてます(ボロン)
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- 2017年02月22日 23:04
- 加蓮が天使なのは同意だけど語呂悪いなw
ちなみに、いちばん天使なのは奈緒
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- 2017年02月22日 23:17
- え、智恵理って理系なん?
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- 2017年02月22日 23:23
- ※8 大松「ただの言い訳だぞ」
表紙と本編で乳の形状が微妙に違ったような気がしたよ