386 名前:恋人は名無しさん[sage] 投稿日:04/02/22 12:36
俺は煙草は嫌いだ。
でも、俺の部屋には一個のジッポがある。
ハートをあしらったシルバーのデザインは俺の部屋にはちぐはくだけど
俺はこのジッポを捨てる事は無いだろう。
1年前。いわゆる合コンというヤツで俺と彼女は出会った。
あまり合コンの雰囲気に馴染めなかった俺は静かに飲んでいたんだが、
彼女も同じようで結局二人で2次会も3次会もずっと隣に座り話していた。
その後、メールや電話で連絡を取り合い、いつの日か、お互い意識しなくても
恋人と呼べるような関係になっていった。
彼女は煙草を吸う。いつも同じマルボロのメンソールだ。
俺は正直煙草が嫌いだったが、ゲーセンに入り浸っていた事もあり
煙や匂いに耐えられなくは無かったし、彼女と何度も会うようになって
慣れていったのもあるだろう。いつも俺にふざけて吸わせようとするのだけは止めて欲しかったけど。
彼女が時折俺にふざけて吹きかける紫煙のスーッとした匂いが少し好きだった。
俺も彼女も学生でそう裕福ではなかったが、いつも池袋のデパートに行って
高そうな商品をウィンドウショッピングするのが二人のデートのお決まりコースだった。
彼女が見るのはいつも同じ。時計とジッポ。服にはあまり興味が無いらしい。
もう何度も訪れたジッポ売り場、彼女は決まってハートをあしらった銀色のジッポが一番いいと
言っていた。わざとぶりっ子して俺にねだる仕草もいつも忘れなかった。
でもジッポは3万円もする代物だった。とても買える値段ではないし、
彼女も「これじゃあ買えないよね」とため息をつくばかりだった。
387 名前:恋人は名無しさん[sage] 投稿日:04/02/22 12:36
彼女の誕生日の1ヶ月前になり、俺はプレゼントを考え始めた。
あまり煙草が好きではない手前、煙草用品を渡すのはイヤだと彼女に言い
結局時計を渡す事に決めた。
通常のバイトに加え、内緒で短期の夜間バイトも入れて必死にお金を稼いだ。
結局俺は時計とジッポの両方を買った。煙草が好きでないのに、ジッポを渡すのは
少しシャクだったけど彼女が一番喜ぶのはきっとこのジッポだろうと思ったから。
代わりに時計は少し安物になってしまったけど、時計をすぐ無くすヤツだからいいよな。
買ったのは誕生日の1週間前。ジッポと時計の入った箱を見る度幸せな気持ちになれた。
でも、彼女は21歳になることなくこの世を去った。
誕生日の3日前に交通事故で即死だった。
葬式、彼女の死に顔、あんまりはっきりと思い出せることは無い。
ただ呆然としていたんだろう。涙が出なかったことだけはよく覚えている。
部屋に帰って、プレゼントの箱を見た瞬間に涙が溢れて止まらなくなった。
ふと見上げると、彼女が俺の部屋に来た時に忘れていったマルボロのメンソールが
目に入った。震える手で箱を開けジッポを取り出して、たどたどしい手つきで火をつけてみた。
初めて吸う煙草はやっぱりまずかった。アイツに言われた通り、肺まで煙を吸ってみたけど
むせて咳が止まらない。それでも泣きながら、咳き込みながら、最初で最後の煙草をギリギリまで吸った。
ふとマルボロのメンソールを買ってしまう事がある。
そういう時は決まってジッポの隣に置いておくんだ。
完全に吹っ切れたとは言わないけど、それでも少しづつ前に進めてる気がする。
これからも煙草を好きになることは無いだろうけどね。
下手な文章なのに長文ですまん。
俺は煙草は嫌いだ。
でも、俺の部屋には一個のジッポがある。
ハートをあしらったシルバーのデザインは俺の部屋にはちぐはくだけど
俺はこのジッポを捨てる事は無いだろう。
1年前。いわゆる合コンというヤツで俺と彼女は出会った。
あまり合コンの雰囲気に馴染めなかった俺は静かに飲んでいたんだが、
彼女も同じようで結局二人で2次会も3次会もずっと隣に座り話していた。
その後、メールや電話で連絡を取り合い、いつの日か、お互い意識しなくても
恋人と呼べるような関係になっていった。
彼女は煙草を吸う。いつも同じマルボロのメンソールだ。
俺は正直煙草が嫌いだったが、ゲーセンに入り浸っていた事もあり
煙や匂いに耐えられなくは無かったし、彼女と何度も会うようになって
慣れていったのもあるだろう。いつも俺にふざけて吸わせようとするのだけは止めて欲しかったけど。
彼女が時折俺にふざけて吹きかける紫煙のスーッとした匂いが少し好きだった。
俺も彼女も学生でそう裕福ではなかったが、いつも池袋のデパートに行って
高そうな商品をウィンドウショッピングするのが二人のデートのお決まりコースだった。
彼女が見るのはいつも同じ。時計とジッポ。服にはあまり興味が無いらしい。
もう何度も訪れたジッポ売り場、彼女は決まってハートをあしらった銀色のジッポが一番いいと
言っていた。わざとぶりっ子して俺にねだる仕草もいつも忘れなかった。
でもジッポは3万円もする代物だった。とても買える値段ではないし、
彼女も「これじゃあ買えないよね」とため息をつくばかりだった。
387 名前:恋人は名無しさん[sage] 投稿日:04/02/22 12:36
彼女の誕生日の1ヶ月前になり、俺はプレゼントを考え始めた。
あまり煙草が好きではない手前、煙草用品を渡すのはイヤだと彼女に言い
結局時計を渡す事に決めた。
通常のバイトに加え、内緒で短期の夜間バイトも入れて必死にお金を稼いだ。
結局俺は時計とジッポの両方を買った。煙草が好きでないのに、ジッポを渡すのは
少しシャクだったけど彼女が一番喜ぶのはきっとこのジッポだろうと思ったから。
代わりに時計は少し安物になってしまったけど、時計をすぐ無くすヤツだからいいよな。
買ったのは誕生日の1週間前。ジッポと時計の入った箱を見る度幸せな気持ちになれた。
でも、彼女は21歳になることなくこの世を去った。
誕生日の3日前に交通事故で即死だった。
葬式、彼女の死に顔、あんまりはっきりと思い出せることは無い。
ただ呆然としていたんだろう。涙が出なかったことだけはよく覚えている。
部屋に帰って、プレゼントの箱を見た瞬間に涙が溢れて止まらなくなった。
ふと見上げると、彼女が俺の部屋に来た時に忘れていったマルボロのメンソールが
目に入った。震える手で箱を開けジッポを取り出して、たどたどしい手つきで火をつけてみた。
初めて吸う煙草はやっぱりまずかった。アイツに言われた通り、肺まで煙を吸ってみたけど
むせて咳が止まらない。それでも泣きながら、咳き込みながら、最初で最後の煙草をギリギリまで吸った。
ふとマルボロのメンソールを買ってしまう事がある。
そういう時は決まってジッポの隣に置いておくんだ。
完全に吹っ切れたとは言わないけど、それでも少しづつ前に進めてる気がする。
これからも煙草を好きになることは無いだろうけどね。
下手な文章なのに長文ですまん。