海外の有名なエミュレータ開発者Byuu氏に悲劇が舞い込んだ。
ドイツの協力者が送ってくれた100本ものSNESソフト(海外のスーパーファミコン)が1か月以上も届いてないというのだ。そのソフトの中には非常に希少なものも含まれており、その市場価値は
7500~1万ドルになるという。日本円にしておよそ100万円前後である。
Byuu氏の目標は
世界中のスーパーファミコンソフトを完全にアーカイブ化することだった。
彼の開発するエミュレーターは完全な再現を目指している点で他のものと異なっていた。すでに北米725タイトルのSNESソフトを入手し、データはもちろん、カートリッジ、パッケージ、説明書などをスキャン画像をできるかぎり保存しデータベースを完成させているという。
次のステップとしてByuu氏は、ヨーロッパ(PAL)のソフト、さらには日本のスーパーファミコンソフトの完全制覇を目指していた。
そんなとき協力してくれたのがドイツのコレクターだ。まず初めにドイツからDHL(国際輸送会社)経由で100本のソフトが彼の元へ届いた。さっそくそれらをアーカイブ化しドイツへ送り返した。2週間ほどかかったそうだが1回目のやりとりはうまくいったようだ。
しかし2回目の100本が1か月経っても届かない。彼はまずDHL社に連絡をした。するとすでにUSPS(アメリカ郵便公社)へ渡したという回答を得た。次に彼はUSPSに問い合わせたが、満足いく回答は得られなかったという。
※image:wikipedia cc 1月、Byuu氏は盗難を疑い、ツイッターなどSNS上で情報を呼びかけた。これをネットニュースが取り上げたことによって情報がより拡散されていった。
Byuu氏はその間もむなしい努力を続けた。何度も郵便局へ足を運んだがとくに成果は得られなかった。SNSからも有力な情報は得られない。やがて彼はドイツのコレクターに1万ドル以上の賠償金を払うことを決意する。それは彼が13年間ものあいだ行ってきた「世界中のスーパーファミコンを完全にアーカイブ化する」というプロジェクトの頓挫を意味した。
Byuu氏は
SNS上でカンパを呼び掛けた。詐欺を疑う声もあったが、それなりに寄付が集まっていたという。
※サムネイル画像:Lost Package(byuu.org) すると2月14日、Byuu氏はUSPSから一通の手紙を受け取った。それは
「郵便物を包んでいたラッピング紙が見つかった」というものだった。しかしそれは彼に新たな疑問を与えた。フランクフルトからニュージャージーへ輸送される間に、その
貴重なヴィンテージゲームたちはどこへ消えたのだろうか。謎は深まるばかりだった……
そもそも、それらのゲームがなぜ貴重なのか。
Eurogamer.Netによると、そもそも世に出回っているエミュレータデータのほとんどは、何らかの手が加えられており完全なオリジナルとは言い難いという。それはバーチャルコンソールなど、
任天堂が公式に出しているものですら事情は同じなのだ。
Byuu氏に朗報が届いたのは2月23日のこと。いや、それは正確にいうと朗報どころではなかった……
彼の元へ届いたのは紛失したと思われていたゲームソフトそのものだったのだ。
Byuu氏の解説によると、まず1回目のやり取りの際、彼は100本のSNESソフトを2つの箱に分けてドイツへ送り返したという。その理由は100本をひとつの箱にすると保険限度額を越えてしまうためだったという。しかし彼のその行動が悲劇を生んだのかもしれない。ドイツのコレクターが2回目の発送時にByuu氏が送った
2つの箱を再利用したのだ。
そのとき、2つの箱をラッピング紙で包んで発送したらしい。しかしUSPSの機械を通る際、不幸にもそのラッピング紙がはがされてしまった。中からできてたのは使用済みの2つの箱。現場が混乱したのは想像に難くない……
Byuu氏は言う。この時点でこの2つの箱を「料金不足の郵便物」として私に返却するのは可能だったはずだと。彼は盗難を疑ったことについてはUSPSに謝罪したが、ラッピング紙がはがれたあとの対応については改善を願った。なお、集めてしまった寄付につちては全額、返金するということ。
なにはともあれ、見つかってよかったですね!
情報元:
Lost Package(byuu.org)
- 関連記事
-