問題:缶コーヒー vs 焙煎から淹れた本格コーヒー…勝つのはどっち?
缶コーヒーと丁寧に淹れたコーヒー、どちらが美味しいかと問われたら、缶コーヒーを選ぶ人はまずいないのではないでしょうか。
しかし缶コーヒーも今や大きく進化し、モノによっては 「 缶コーヒーの一線を超えた 」 なんて言われるものも。…でもさすがにそれは大げさなのでは?
もし本当に缶コーヒーの一線を超えたのであれば、その上の喫茶店レベルのコーヒーとも競えるはず。そこで 缶コーヒー vs 焙煎から淹れた本格コーヒー 、どちらが美味しいのか検証してみました。
キリンの缶コーヒー、ファイアが凄いらしい
キリンいわく、ファイアは17年間鍛え続けた火入れ技術と度重なる改良を積み重ね、独自の『焦がし焼き』製法を確立。ファンに「缶コーヒーの一線を超えた」と言わしめるほどの、エクストリームなうまさと香ばしさを実現したのだそう。
もし「缶コーヒーの一線を超えた」というのを言葉通り受け止めると、喫茶店クラスのコーヒーと真っ向から勝負できるはず(…できるのかなぁ?)。
そこで ファイアと丁寧に淹れた本格コーヒーを目隠しで比べて、ガチの比較勝負 をしてみました。
焙煎からサイフォンで丁寧に淹れた本格コーヒーと対戦!
さて、いくら相手が缶コーヒーとは言え、中途半端なコーヒーではファイアに失礼というものです。
そこでカフェ経営を夢見てコーヒーに凝っている私こうし記者が、本格コーヒーを担当する事にしました。
使うコーヒーは、こちらの生豆。3種類の豆をブレンドしています。
コーヒーは焙煎して初めてコーヒーらしい香りが出るのですが、焙煎から時間が経つほどに香りや香ばしさは飛んでしまうのが困ったもの。
ならば自分で焙煎してしまえば、最も香り高いコーヒーが楽しめるだろう…という事で、最近は焙煎からコーヒーを作るようになりました。
コーヒーはじっくりと時間をかけて焙煎しなければならず、これがなかなか大変。
しかもコーヒーの渋皮(チャフ)が大量に飛び散るので、まあ散らかること散らかること。好きじゃなきゃとてもやってられない作業です。
20分ほど焙煎すると…ああ〜、これもう絶対美味しいやつだ。
今回の勝負用の、深めと浅めの2種類のローストが完成。
焙煎したばかりだと焦げ臭さが強いので、ここから一晩寝かせて、焦げ臭さを飛ばしておきます。
申し訳ないですけど、ファイアに勝ち目はないですよ…!
いざ、コーヒー対決!
そして翌日、相原編集部に集まった、編集長と私を含めた記者4名。
今回はファイア3種類と本格コーヒー2種の計5種を用意し、すべて銘柄を隠して飲んでもらい、 「コク」「香り」「苦味」「スッキリ感」「コーヒー感」「満足感」 の6項目を5段階で評価してもらいます。
みんな揃ったところで、サイフォンを用意し、ミルで丁寧に豆を中挽きに。
「おおっ、本格的!」
「いい香り!おいしそう〜!」
珍しいサイフォンでの抽出に沸く編集部。
サイフォン式は本格的かつ丁寧に淹れている感が強く、ビジュアル的にも 「これは絶対に美味しいやつ」 という先入観を植え付けてくれます。
編集長「これと缶コーヒーを比べるって、あまりにも酷すぎない?」
私も正直そう思います。
目の前でコーヒーを淹れると銘柄がバレてしまうので、抽出したコーヒーは一旦ポットに入れ、ファイアとともにバックヤードに。
また浅めのローストのコーヒーには、生クリームとグラニュー糖を加え、缶コーヒーっぽい味わいに近づけてみました。
そしていよいよ、ブラインドテストを開始。
ちなみにコーヒーを淹れているところはカウンターからは見えないようにし、何を出されているかは全くわからないようにしてみました。
また本格コーヒーを出すときにも無意味に缶を1つ開け、音でバレないように気をつけています。
果たしてファイアは本格コーヒーに太刀打ちできるのでしょうか。
#1 キリン ファイア ブラック
レビュー1本目は、キリン ファイア ブラック。
念のため、温度の違いで缶コーヒーとわからないように、軽く熱してから出すことにしました。
早速飲んでみてもらうと…
「あー、もうわかっちゃった!」 「美味しいですね!」 「香ばしさが違うもん」
…
…… えっ?
「これ絶対さっき淹れてたやつだよね!」
いやあの編集長、 それ…違うんですけど…!
おかしい、なんか予想してた流れと違う。
#2 本格コーヒー(深煎りブラック)
気を取り直して、2杯目は私が焙煎から淹れた本格コーヒー。
最初のファイアが高評価だったのは、恐らく1本目で他に比べるものがなかったから。これを飲めば、きっとこっちが本格コーヒーだったと気づいてくれるはずです。
「ん…んん〜??」
「あらっ、これ迷いますね」
えっ、 なんで迷ってるの!?
さっき本格コーヒーの香ばしさを目の前で嗅いだじゃん!昨日じっくり焙煎して寝かせておいたんだよ?わかるよね?ね!?
「これ意外と難しいな…」
「こっちが缶コーヒー…?」
ええ…嘘でしょ、嘘だと言って…!
#3 キリン ファイア 挽きたて微糖
気を取り直して、3杯目はキリン ファイア 挽きたて微糖。
ここからはミルクと砂糖入りです。
「あっ、甘さがちょうどいいね」
「私これ好きです」
初のミルク+砂糖入りの第一弾であるキリン ファイア 挽きたて微糖は、ブラックの後だけに優しい味が好評なようです。
#4 本格コーヒー(浅煎りミルク+砂糖入り)
だがしかし!4杯目に控えるはミルク+砂糖入りの本格コーヒー!
しかもミルクは植物性ではなく、本物の生クリーム! 本格焙煎コーヒー+生クリームのセレブリティな組み合わせ が、ウマくない訳がないっ!!
さあどうだっ!
「……。」 「……。」
えっ、 何その顔。 どういう反応?
「…なんだろうなーこの味、知ってる味なんだよね」
「…すごく酸っぱい…」
…そんな馬鹿な!?
慌てて私も飲んでみると…うわ、酸っぱい。ローストが浅すぎた?
しかも生クリームが悪い方に作用したのか、 変にバター臭くなってる。
「…思い出した、あれだ!チャイと似てる感じがする!」
「あ、わかる!」
…うん、もはや コーヒーとしてすら評価してもらえてない。
あんなに手間暇かけて作ったのに…。
一応言い訳させてもらうと、普段ブラックしか飲まないので加減がわからなかったんですよ、はは…ははは…。
#5 キリン ファイア エクストリームブレンド
そして最後の5杯目は、キリン ファイア エクストリームブレンド。
これはファイアの中でもイチオシだそうで、本当はこれを打ち負かして本格コーヒーの勝ちとしたかったのですが…。
「…うはっ、これは美味い!」
「美味しいですね〜」
ぬぐぐ、さすがにキリンのイチオシだけあって、抜群の反応。悔しいけど確かに飲んでみると香ばしさもバランスも良くて美味しく、圧倒的なコーヒー感。
「さっきのが酷かったから余計に美味しく感じる」
…うるさいわっ!
総評
さて、5杯全てのレビューが終わり、それぞれの評価を集計してみたのがこちら。
赤がファイア、青が私が淹れた本格コーヒーですが、チャイと言われた大失敗の#4は置いといて、上手く作れた#2とファイアを見比べると、
どれも拮抗したスコアという結果に。
そして、#1から#5までを、各自が順位付けした結果をまとめた結果がこちら。
上位3位がファイアで、私のコーヒーが全て負けてる…!
ブラック部門で見れば私のコーヒーとファイアはかろうじて僅差ですが、キリンの本気のブラックと僅差だったと喜ぶべきか、何とも複雑な気持ちです。
そして意外だったのが、ミルクと砂糖の入ったファイアが1,2位になったこと。
ブラック派の私としては、エクストリームブレンドと挽きたて微糖は3位以下になるだろうと思っていたのですが、意外や意外。
飲んでみると コーヒーと砂糖とクリームが完璧に引き立て合っているパーフェクトバランス で、香ばしさが印象的な、ブラックを超える味わい深さでした。
そしてこれを飲んで初めて、喫茶店などで当たり前のように
砂糖やミルクを1つ2つと数えていたのが、大雑把すぎたことに気づいて目からウロコ。
恐らく、ファイアは角砂糖で言えば0.01個単位のシビアな調整をしているであろうと感じるくらい、完璧なバランスを感じさせてくれたんですよ。
缶コーヒー、侮れない…!
編集長「ところでこうしはカフェをやりたいんだよね?」
―そうそう、だから日々コーヒーの勉強を…
編集長「じゃあファイアをそのまま温めて出してみたら?」
うおぉぉい!
でもそっちの方が、お客さんウケが良かったりして…。
…いかんいかん、もっと修行しなければ!
とりあえず検証して得られた結論は、ファイアはコーヒー感のある香ばしさが印象的で、全然本格コーヒーに負けていなかったということ。
ブラインドテストで先入観を全て捨ててテイスティングしてみると、こんなにも美味しかったのかと驚かされました。
コーヒー好きな人にぜひ試してみよう
ちなみにこの結果が本当かな〜と思うなら、ぜひ試してみることをオススメします。
コーヒー好きな身内や友人がいるなら、いつも通りコーヒーを淹れているように見せかけて、こっそりファイアを出したら…きっと楽しい驚きがあると思いますよ。