少年「女だったらなぁ…」
少年「あ、よ、よう。…来たんだ」
少年「ていうか、遅いよ!4時に来いって言ったじゃん!もう10分過ぎてるんだけど」
少年「はあ?そんなの理由に入らないでしょ…。ま、いいや。ちゃんと来たんだし…」
少年「…」
少年「え?」
少年「話?あ、…えっと、うん、まあ、ある…けど」
少年「…」
少年「うるさいな、急かさないでよ」
少年「えーっと…」
少年「…」
少年「だ、大学は楽しい?」
少年「…」
少年「ふーん…そう…」
少年「友達とか…いっぱいできた?」
少年「へぇ…。良かったね…」
少年「…」
少年「じゃあ、彼氏とかは…?」
少年「いない!?」
少年「ははっ!そうだと思った!やっぱりね!大体あんた全然男受けしないんだよ!もうちょっと愛想よくしなきゃ」
少年「なんだーやっぱりかー。てかどんな気持ち?華の大学生で彼氏いないとか?」ニッコニッコ
少年「あ~出た出た…。モテない奴って必ずそう言うんだよね~」
少年「要らないんじゃなくて“できない”んでしょお?ははっ」
少年「あーおかしい…」
少年「…」
少年「ふう…」
少年「いや、待ってよ。まだ終わってないんだけど。何勝手に帰ろうとしてるの」
少年「えっと…」
少年「…」
少年「あ、そういえば…。参考書譲ってくれてありがとう…」
少年「まあ、僕には必要ない基礎レベルのものばっかりだったけど…。でもまあ、うん。ありがと…」
少年「…」
少年「いや、そうじゃなくって…。お礼が言いたかったんじゃなくて…。いや、お礼も言いたかったんだけど」
少年「ええっと…」
少年「…」
少年「は?別に具合悪くなんかないし…。てかキモっ、こっち見るなよ」
少年「こ、…」
少年「…」
少年「こ、これ!」バッ
少年「は?じゃないよ!さっさと受け取れ!」
少年「…」
少年「なにこれって、…えっと、お返しだよ。あれの…」
少年「参考書のお礼と…。それから、バレンタインのお返し…」
少年「ぶっちゃけあんたのチョコ甘ったるくてあんま僕の口には合わなかったけどね~」
少年「てか、彼氏にチョコも渡せない19歳とか可哀想すぎー!哀れだわ…」
少年「…えっと、まあそれはおいといて」
少年「まあ、うん。お返し。だから。…家に帰って、開けて…」
少年「待って!なんで今見るの!?渡した本人の前で開けるのは失礼だろ!?」
少年「帰ってから開けてよ!ほんっと常識ないなぁ!?」
少年「…よし。約束ね」
少年「ええと、じゃあ。僕、帰るから」
少年「…」
少年「じゃ…じゃあね」
少年「…」タタタ
少年「え?あ…ううん、いらない…。もう十分だよ」
少年「…」
少年「お母さん、僕…。えっと、勉強するから。部屋に入ってこないでね」
少年「うん。じゃあ」タタタ
バタン
少年「…」
少年「…」フー
少年「!」ビクッ
少年「わ、わ」タタタ
少年「…」
少年「ほ、ほんとに電話、きた…」
少年「…」ゴクリ
ピッ
少年「も、もしもし?」
少年「…あ、えと。うん、…。そう…。美味しかった?あっそ…」
少年「こんな夜中に一気に食べると、太るよ?ただでさえ魅力ないのに」
少年「…」ゴホン
少年「えっと、なんでもない。…それで、えーと…」
少年「手紙は…見たんだよね…?」
少年「そ、そう…」
少年「…」
少年「…」
少年「え…?え…?」
少年「な、なに。ごめんって…。は…?」
少年「ち、…ちょっと待って。あのさ、あんた…彼氏も好きな人もいないんだよね?」
少年「そ、そうでしょ?じゃ、別に……い、いいじゃん…」
少年「試してみるのも、いいでしょ…?ぼ、僕ほら、自分で言うのもなんだけど頭いいし、ルックスも結構…」
少年「…まさか、弟みたいだから恋愛対象にならないとか、…そういうくだらない理由じゃ…」
少年「え?違う?」
少年「…」
少年「…え、…?」
少年「今、なんて?」
少年「………」
少年「…それ、本当?」
少年「…女が、好きなの?」
少年「…」
少年「あ、あんたは女で、女が好きなの?」
少年「へ…」
少年「レズ…ビアン?っていう、やつ…?」
少年「…」
少年「そ、…そう、なの…」
少年「…」
少年「う、ううん。えっと、ごめんなさい。その、言いづらいこと言わせちゃって…」
少年「え?」
少年「ひ、引いてないよ!引くわけないじゃん!大丈夫だよ、ほら、最近そういう人も増えてるし、差別はしちゃいけないし…」
少年「…う、うん…。そっか…。それなら、仕方ないね…」
少年「そ、そう…。大丈夫、誰にも言わないから」
少年「…それで…。ええと…」
少年「え?友達?あ、…う、うん。そうだね。まあ、友達でいつづけてあげてもいいけど?」
少年「て、ていうかあれだよ?ドッキリだからね?あの手紙」
少年「いや~からかってやろうと思ったら予想の斜め上を行く展開だったよ」
少年「ぷっ。引っかかってやんの。だっさ」
少年「ま、とにかくあんたの弱みを1つ握れたってわけだよね~」
少年「分かった分かった分かったって!言わないって!うるさいなあもう」
少年「あー、はいはい。それじゃ僕忙しいし、切るね。それじゃまた」
ピッ
少年「…」
少年「………えぇ………」
少年「嘘ぉ…」
少年「…」
少年「……」
少年「…」ゴシ
少年「こんなのありかよ…」ゴシゴシ
少年「…」グスッ
少年「……」ゴシゴシゴシ
「さて今日の特集はー」
「男の子とも女の子とも少し違う?ちまたで話題の“男の娘”特集-!」
少年「…」ボー
「なんと最近では普通の男子が女子の格好をした、所謂“女装男子、男の娘”が急増中!」
「その魅力を余すところなくお伝えしますー!」
少年「…おとこのこ…」ボソッ
「まずは女装カフェ人気NO1の、Aさん!素顔のほうはというと~…」
「あ!やっぱり男性ですね!でも肌がとっても綺麗!触ってもいいですかー!?」
少年「…」ジー
「Aさんがメイクを施し、ウィッグを被ると…なんと!絶世の美少女に大変身!」
少年「へぇぇ…」
「ところでAさん、恋愛対象のほうは…?」
「あ、僕は完全に女性ですね。ただ女装が好きってだけで、ゲイではありません」
「そうなんですか?」
「もし理解のある女性とつきあえたら、一緒におそろいの服で双子コーデとかしてみたいですねー」
「わー、それ結構楽しそうですね!」
少年「…」
「それでは!次の男の娘は~」
少年「……」ピッ
少年「…」スタスタ
少年「おかあさーん」
少年「姿見どこ?あったよね?」
少年「二階?わかった」
少年「…」クル
少年「…」クル
少年「…」ヌギ
少年「……」
少年「いや、いやいやいやいや」
少年「無理があるでしょ」
少年「僕別に、そういう趣味ないし。あほくさ」
少年「…早いね。大学?」
少年「ふーん。大変だね」
少年「…」
少年「あのさあ、この間のことだけど」
少年「レズ…なんでしょ?」
少年「それってさ、やっぱ、タイプ?みたいなのあるの?」
少年「あ、あるんだ」
少年「どんな…?」
少年「年下系?あ、そ、そう。ふーーん」
少年「…そう…。結構フェミニンな感じの子がいいんだ…。スカートとか似合う人?」
少年「…」
少年「え、や、別に?聞いただけ」
ガチャ
少年「!」ビクッ
少年「ち、違うってねえちゃん!いや、勝手に入ったことは謝るけど!」
少年「あ、あれだよ。辞書貸してたじゃん?今必要になったから取りにきたの!」
少年「そうだよ!てか使ったら返せよ!ほんと迷惑なんだけど」サササ
少年「次からは気をつけてよ!?こんなの続くともう何も貸さないから!」
バタン
少年「…」
少年「あーびっくりした…」ドキドキ
少年側の言葉しか書いてないんや
相当やばいやんけ
少年「…」ペラ
少年「ゆるふわ愛されモテメイク…。おるちゃん…?ティント…?」
少年「ほんと女って面倒くさいなぁ…。同情するよ」
少年「…」
少年「メイクってここまで変わるのか…」
少年「なるほどねー…。目の上にラインを引いて大きく見せてるのか…」
少年「え、化粧って肌の上に直接やるんじゃないんだ…。下地?ふうん…」
少年「…」モクモク
コメント一覧
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- 2017年03月07日 23:25
- オチのつけ方がよかった