市販ドローンを改造して爆撃ヘリに仕立て上げてきたイスラム国に対抗するため、米軍が新たな対ドローン兵器を導入したことが分かりました。イスラエル系企業が開発するその新兵器は、携行式のドローン無力化システムであると説明されています。
米国国防関連のニュースサイトDefence Oneは、米空軍がイスラエル企業Israeli Aeronautics Industries (IAI)と対ドローン用の「Man Portable Aerial Defense System kits」に関する1560万ドルの契約を締結したと伝えました。納品は7月28日予定。
なお、Man Portable Aerial Defense Systemは MANPADS、MPADSなどとも表記され、スティンガーミサイルなどを含む携行式対空兵器を指します。
米国国防省が公開した資料にこの対ドローン MANPADSの詳細はないものの、契約したIAI の製品ラインナップからすると、2015年より販売中の対ドローンシステム「Drone Guard」またはそれに近いシステムと推測できます。
このシステムは3次元レーダーでドローンを捕捉追跡し、電波で飛行・操縦を妨害、無力化する能力を備えます。またドローンのナビゲーション系や遠隔操作を狂わせ離陸地点へ戻すか、電源をシャットダウンさせ墜落させることも可能とのこと。これは1月にイラク治安部隊が導入を報じられた対ドローン電波銃DroneDefenderとほぼ同じ機能です。
一方、米軍はこのような電波式だけでなく、従来の銃火器を用いたドローン対策も調査検討中と伝えられています。
クルドのメディアRudawによると、イスラム国の科学研究施設内では化学兵器の製造の痕跡が見つかっています。また3月に入ってからはイラク国内で猛毒のマスタードガスが攻撃に使用され、子供5人を含む十数人の一般人が被害にあいました。
マスタードガスを使ったのがイスラム国なのか別の軍隊なのかは判明していませんが、イスラム国はこれまでに何度か化学兵器を使用したとされ、今回も米国はイスラム国を名指しで批判しました。
イスラム国は今後、ドローンに爆弾だけでなく化学兵器を搭載して特攻または投下させる可能性が指摘されています。米空軍は、2018年内にはドローン対策機器の導入を随所にまで行き渡らせたいとしています。
[Image : Israeli Aerospace Industries IAI]