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香港の団地はやっぱりすごい - デイリーポータルZ:@nifty

 

ちしきの金曜日 2017年3月10日
 

香港の団地はやっぱりすごい

香港のかっこいい団地の中庭で天を見上げた様子。うっとり。
香港のかっこいい団地の中庭で天を見上げた様子。うっとり。
ここ数年、暇さえあれば香港に行っている。団地を見に。

何回行ってもうっとりしちゃうんですが、今回は特にすごい物件に出会ったので、それをご紹介したい。

そして、崖と団地の関係を見ていったら、この街全体がひとつの建物なのでは、と思い至ったので、そのお話も。

「別に団地なんか興味ない」という方(そういう方がほとんどでしょうが)もこれは見に行く価値あると思いますよ。ほんとに。
もっぱら工場とか団地とかジャンクションを愛でています。著書に「工場萌え」「団地の見究」「ジャンクション」など。
> 個人サイト 住宅都市整理公団

興奮しすぎてお腹痛い

なにはともあれ、みなさん香港に行くことがあったら、香港島の「益発大廈」という住宅と商店の複合ビルにぜひ行って見てほしい。

地名でいうとQuarry Bay、最寄り地下鉄駅はTai Kooだ。
Tai Koo駅を出て西を向いたら、声が出た。なんですか、あのやんわりと魅力的に湾曲したでかいビルは!
Tai Koo駅を出て西を向いたら、声が出た。なんですか、あのやんわりと魅力的に湾曲したでかいビルは!
もともと胃腸が弱いぼくは、旅行に出かけるとほぼ必ずお腹を壊すのだが、このときは危なかった。エキサイトのあまり粗相寸前である。興奮の表現がびろうでもうしわけない。そういえばびろうとBelowは「下」という意味で奇しくも共通している。
もともと胃腸が弱いぼくは、旅行に出かけるとほぼ必ずお腹を壊すのだが、このときは危なかった。エキサイトのあまり粗相寸前である。興奮の表現がびろうでもうしわけない。そういえばびろうとBelowは「下」という意味で奇しくも共通している。
ビルの「へ先」とでもいうべきこの部分、ちょう魅力的。湾曲したファサードから鋭角に道の角に入ってきて、角を丸めるというプレイ。風水が関係しているらしいが、もはや性的な魅力さえ漂う。建物を観ることはエクスタシーになりうるのである。きもいと思いかもしれませんが、しょうがないです。すごくすてき。まいった。
ビルの「へ先」とでもいうべきこの部分、ちょう魅力的。湾曲したファサードから鋭角に道の角に入ってきて、角を丸めるというプレイ。風水が関係しているらしいが、もはや性的な魅力さえ漂う。建物を観ることはエクスタシーになりうるのである。きもいと思いかもしれませんが、しょうがないです。すごくすてき。まいった。
いま香港で最も抱かれたいビルNo.1である。ウェルカムな両翼の湾曲具合がセクシー。
いま香港で最も抱かれたいビルNo.1である。ウェルカムな両翼の湾曲具合がセクシー。
細部(っていっても大きいですが)を見るとこれまためくるめいちゃう。じっと見てると何かが見えてきそう。キリストの顔とか。ああいうのってたいていキリストの顔ですよね。あるいはモナリザ。
細部(っていっても大きいですが)を見るとこれまためくるめいちゃう。じっと見てると何かが見えてきそう。キリストの顔とか。ああいうのってたいていキリストの顔ですよね。あるいはモナリザ。
写真を見ているだけでも当時のお腹の痛みが蘇ってきた。興奮のあまり全体的に妙なキャプションになってしまって申し訳ない。

で、屋上を見やると、そこがまたすごかった。
屋上の上になんか建っちゃってる。
屋上の上になんか建っちゃってる。
わかるだろうか。屋上に「山岡四郎の家」が盛大に建てられている。おそらくイリーガル。勝手に建てちゃったもの。

香港は歴史的にずーっと住宅不足でこのような屋上家屋ががんがん建てられている。もちろん厳密には違法だが、へたに取り締まると大量に住み場所が無くなる人がでてしまうので当局も黙認状態だという。
ここらへんのことは、僭越ながらぼくが日本語版解説を書かせていただいたすばらしい写真集『香港ルーフトップ』に詳しいので、ご興味ある方はぜひ。
ここらへんのことは、僭越ながらぼくが日本語版解説を書かせていただいたすばらしい写真集『香港ルーフトップ』に詳しいので、ご興味ある方はぜひ。
違法だが不動産市場に普通に出回り、水道や電気も引かれ、住民はちゃんと税金も払っているという。

いつかこの屋上建築を香港でめぐるのがぼくの夢です。
それにしても、屋上建築が3階建てぐらいになってる、というのはあまりにも大胆だ。だって、それってもはや「ビル」ではないか。屋上建築に屋上が出現するって、屋上建築の無限後退が起こりはしないか。
それにしても、屋上建築が3階建てぐらいになってる、というのはあまりにも大胆だ。だって、それってもはや「ビル」ではないか。屋上建築に屋上が出現するって、屋上建築の無限後退が起こりはしないか。

ぼくの胃腸がトランスフォーム

と、道路から外側見ているだけでも大興奮だったのに、ここで妻が言ったのです(こう見えてもこれ、妻とのふたり旅です)。「あー、ここの中、インスタとかでよく流れてくるあそこじゃない?」と。

で、中庭というか、棟と棟の間のスペースに入ってみた。
中庭に入ってみたら、写真撮ってる人がたくさん。みんな上を見上げてるからつられて見たら!
中庭に入ってみたら、写真撮ってる人がたくさん。みんな上を見上げてるからつられて見たら!
こんなですよ! かっこいい! でかした! 妻!
こんなですよ! かっこいい! でかした! 妻!
どうやらちょっとした観光地になっているようだった。あとで聞いたところ、トランスフォーマーのロケ地にもなったとか。
パノラマでぐいっと見渡すと、こんな。中庭自体は広くなくて、思いのほか居心地が良い。
パノラマでぐいっと見渡すと、こんな。中庭自体は広くなくて、思いのほか居心地が良い。
前後180度見渡すと、こんな(全天球画像は→こちら)。1階部分はいわゆる「団地商店街」。
前後180度見渡すと、こんな(全天球画像は→こちら)。1階部分はいわゆる「団地商店街」。
カメラ持った人がたくさんいて、名所になってた。
カメラ持った人がたくさんいて、名所になってた。
妻、すごい。と思った。この人と結婚して本当に良かったとあらためて思った。むこうもそう思ってくれていることを願うばかりである。
まあ、これだけかっこいい場所だと、夜を待つよね。
まあ、これだけかっこいい場所だと、夜を待つよね。
で、陽が暮れるのを待って再び見上げた様子が冒頭でもお見せしたこれというわけ。
で、陽が暮れるのを待って再び見上げた様子が冒頭でもお見せしたこれというわけ。
この「益発大廈」のかたちを地図で見ると、こんな。3本の翼が南北に延びていて、間に挟まれた空間が「中庭」。なので中庭は2つある。上の写真群は東の方。
こちらが西の中庭。ほとんど違いはないが、西(左)の建物の高さがちょっと低く、前出の中庭のほうがダイナミック。なのでこっちにはあまり「観光客」はいなかった。
こちらが西の中庭。ほとんど違いはないが、西(左)の建物の高さがちょっと低く、前出の中庭のほうがダイナミック。なのでこっちにはあまり「観光客」はいなかった。