神奈川県生まれ。フリーランスの写真家の小川康博（おがわ・やすひろ）の「Lost in Kyoto」という写真シリーズです。
京都の風景の細部に宿る1つ１つの小さな光景にも京都という美しい街の息遣いを感じさせてくれる素晴らしい写真シリーズとなっています。京都ではない、別世界の風景のようであり、やはり、京都であるというとても不思議な心地にさせられます。
京都ほど濃密な空気が流れる場所は他にない。
どんな路地でもいい、大通りから細い路地に一歩入ると、そこはもう異空間である。
石畳の傍で苔むした仏像がひっそりと佇んでいたり、魔物が潜んでいそうな深い闇がおもむろに広がっていたり。
そんないわくありげな路地端で、私はおもむろにカメラを構えて写真を撮る。
京都の街を跋扈する「何か得体の知れないもの」が、ひょっとしたら写ってくれるんじゃないかと、心の中で期待しながら。
そんなものが写った試しは残念ながらないけれど、それでも、京都で撮った写真には、京都でしか撮り得ない濃密な空気が、何故かしっかりと写りこんでいるのだ。
熟れすぎた花の芳香のような、どことなく重たげな空気感。
そんな京都の空気感がたまらなく好きだ。
小川康博
2000年「不確かな地図」にて太陽賞を受賞。2008年 初の写真集「Slowly Down the River―往にし方の三峡をめぐる旅」を出版しています。
この「Lost in Kyoto」の他に「Cascade」、「Shimagatari」、「Winter Journey」、写真集にもなっている「Slowly Down the River」をオフィシャルサイトで見ることができます。
また3月19日（日）まで新宿にあるギャラリー蒼穹舎で小川康博さんの写真展「Cascade」が開催されています。ぜひ！！！
小川康博写真「Cascade」 3月6日（月）ー3月19日（日）
©Yasuhiro Ogawa
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