René Lalique(ルネ・ラリック)(1860〜1945)は、画期的なジュエリーを次々に発表したモダン・ジュエリーの創始者として知られています。
中でも1903年に制作されたコサージュ作品「トンボの精(Dragonfly lady brooch)」はルネ・ラリックの代表作として名高い傑作とされています。女性の上半身と昆虫であるトンボのフォルムを合体させた想像性の溢れるデザインとなっています。
背中から伸びている鋭い爪のようなものは、鷲(わし)の翼と上半身、ライオンの下半身をもつ伝説上の生物グリフィンの鈎爪です。女性の上半身はクリソプレーズ(緑玉髄)というエメラルドグリーンの宝石が使われ、対となっている頭部円形の装飾にはカブトムシが描かれ、エナメルで塗装されています。胴体部分や羽には金やダイヤモンド、エマイユ(七宝)、ガラスなどの様々な素材が組みあわられて作られています。
トンボの精(Dragonfly lady brooch)
©René Lalique
©René Lalique
©René Lalique
©René Lalique
この「トンボの精(Dragonfly lady brooch)」はポルトガル、リスボンにあるグルベンキアン美術館が所蔵しています。この美術館はアルメニア人の石油王カルースト・グルベンキアンが世界各国より個人で集めた美術品などを約6000点を所蔵している美術館です。また、カルースト・グルベンキアンは生前より、ルネ・ラリックと交友を結び、ルネ・ラリックの145点もの作品を制作依頼しており、多数のガラス器や装飾品などが所蔵されています。
日本では箱根に箱根ラリック美術館というルネ・ラリックのジュエリー作品や香水瓶、花器などを展示した美術館もあります。