グラサン「マスター、いつものを」 マスター「かしこまりました」
- 2017年03月23日 23:10
- SS、ガヴリールドロップアウト
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の続きです。今回はグラサン視点
-教室-
ガヤガヤ……
サターニャ「……でね、この前魔界通販で買った商品が今日届くの!」
ヴィーネ「はぁ……またそんなムダ遣いをして」
サターニャ「ムダじゃないわよ!」
ガララッ
グラサン「授業を始める。全員席に着け」
ガタガタ……
グラサン「ではまず、前回の宿題プリントを回収する。後ろから前に回して……」
サターニャ「先生……」スッ
グラサン「なんだ、胡桃沢」
サターニャ「私……」
サターニャ「今回も宿題をやってきていないわ!」ドォォオオオン
グラサン「……」
グラサン「……どうしてお前はいつも、宿題をやってこないんだ」
サターニャ「愚問ね!悪魔に、悪魔的行為をする理由を問うのかしら?」
グラサン「……まさかとは思うが、プリントの問題が解けないのを誤魔化しているんじゃないだろうな」
サターニャ「なっ……そ、そんな訳ないじゃない!私は「あえて」やらないだけよ!」
グラサン「そうか……まあいい。これ以上お前のために時間を割く訳にはいかない」
グラサン「胡桃沢、廊下で立っていろ」ゴゴゴ…
サターニャ「」
・
・
・
・
・
・
グラサン「では、今回の授業はここまでだ。次回までに、今日配った宿題プリントを終わらせておくように」
ガララッ
グラサン(……)
グラサン(……今日も、胡桃沢は宿題をやってこなかった)
グラサン(あいつ自身はああ言っているが、これまでのテストの結果を見る限り、お世辞にも頭が良いとは言い難い)
グラサン(なら宿題をやってこないのは、やはり授業内容を理解出来ていないからなのか……)
グラサン(……俺の教え方が、悪いのだろうか)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
-エンジェル珈琲-
カランコロン…
マスター「いらっしゃいませ」
グラサン「マスター、いつものを」
マスター「かしこまりました。少々お待ちください」
コポポ……
マスター「どうぞ。ブレンドコーヒーです」
グラサン「ありがとう」カチャッ
グラサン「……」ズズッ
グラサン「……今日も美味いな」
マスター「ありがとうございます」ペコリ
グラサン「……」ズズッ
グラサン「……」フゥ
マスター「……いかがされましたか?本日は少し、元気が無いように思われますが」
グラサン「いえ……大丈夫です。お構いなく」
マスター「そうですか……」
グラサン「……」
マスター「……もし、何か悩み事があるのでしたら、私で良ければ、どうぞ話してみてください」
グラサン「……」
マスター「力になれるかは分かりませんが……あなたの、話し相手くらいにはなれるかもしれません」
グラサン「……」
グラサン「……」ズズッ
グラサン「……」
グラサン「……俺の教え子に1人、とても手のかかる生徒が居るんです」
マスター「……なるほど。教え子さんの事でお悩みでしたか」
グラサン「ええ。そいつは、出来が悪いのもそうなんですが、それ以上に奇妙なやつでして……」
マスター「……」
グラサン「毎回の授業で出す宿題を必ずと言っていいほどやらずに、しかもそれを自信満々に報告してくるんです」
マスター「……それは、大変ですね」
グラサン「あいつは頑なに「あえてやっていないだけだ」と言い張るんですが……先程も言った通り、あいつの頭の出来はよくありません」
マスター「……」
グラサン「ですから、もし、授業内容が理解出来ないのを誤魔化しているのだとしたら……と」
マスター「……なるほど、あなたはその教え子さんのことを心配しているのですね」
グラサン「ええ。俺もこれで……1人の教師なので」
マスター「ふむ……」
マスター「……分かりました。お役に立てるかは分かりませんが、私に一つ考えがあります」
マスター「ずばり、今のあなたの気持ちを、その教え子さんに率直に伝えてみるのはいかがでしょうか?」
グラサン「……伝える?」
マスター「はい。私も学生の頃は、先生が出す宿題や課題にうんざりしていたものです。どうしてこんな面倒なことをやらせるのか……と」
マスター「でも、そうではないでしょう?あなた方先生が生徒に宿題を課すのは、決して嫌がらせのためなとではない」
グラサン「……ええ、そうです。俺は、生徒の為に……生徒により授業を理解して貰うために、宿題をやらせています」
マスター「そう。ですが……生徒はそのような先生の心遣いに、なかなか気付きにくいものです」
マスター「特に、勉強が嫌いだったり苦手だったりする生徒は、そういった先生の思いやりを無下にしてしまうこともよくあるかと思います」
マスター「言わぬが花という言葉もありますが……私は、ときには伝えるということも大切だと思います」
マスター「ですから一度、その教え子さんと真正面から話し合う機会を、設けてみてはいかがでしょうか?」
グラサン「……」
マスター「……私は、この一杯のブレンドコーヒーを淹れるために、20年の月日を費やしました」
マスター「ですからこのブレンドコーヒーには、私の20年間の思いが込められています」
マスター「あなたは私のコーヒーを美味しいと言ってくれる。それは、この思いがあってこそなのだと思います」
マスター「同じように、あなたの生徒達に対する思いはきっと、彼らの未来をより素晴らしいものにしてくれるに違いありません」
マスター「ですから……きっと、大丈夫です。自信を持ってください」ニコッ
グラサン「……」
マスター「!」ハッ
マスター「す、すみません!私としたことが、つい喋り過ぎてしまいました……」
グラサン「いえ、大丈夫ですよ」
グラサン「……ありがとう。マスター」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
-面談室-
グラサン「……」
ガララッ!
グラサン「……来たか」
サターニャ「ふん、この私を呼び出すなんていい度胸じゃない。一体何をさせるつもりなのかしら?」
グラサン「……」
サターニャ「宿題?追試?それとも反省文?何が来ようとも、私は絶対にやってやらないわ!」
グラサン「……」
サターニャ「何故なら、私は大悪魔胡桃沢=サタニキア=マクドウェルなのだから!」
グラサン「……胡桃沢」
サターニャ「何?」フフン
グラサン「今日の授業で、何か分からない所や、分かりづらい所は無かったか?」
サターニャ「…………は?」
グラサン「もしそうなら、遠慮なく言ってくれて構わない。俺も、出来る限り分かりやすく教えているつもりではあるが……」
サターニャ「」
グラサン「それが、胡桃沢には合っていなかったということもあり得る」
サターニャ「」
グラサン「だから、分からない所があればいつでも相談しに来て良い。時間の許す限り、丁寧に教えてやろう」
サターニャ「」
グラサン「……胡桃沢?」
サターニャ「あ……」
サターニャ「あんた誰よっ!?」ヒィィッ
グラサン「……」
サターニャ「いやいやいやおかしいでしょ!?なんでそんな急に優しい先生みたいな事言いだしてるのよ!!グラサンのくせに!」
グラサン「……胡桃沢、お前はいつも宿題をやってこなかったな」
サターニャ「え……そ、そうよ!なーんだやっぱり叱るつもりなんじゃ……」
グラサン「胡桃沢」
サターニャ「え?」
グラサン「どうしても嫌なら、これからは宿題はやらなくても構わない」
サターニャ「」
グラサン「そもそも、俺はお前達に嫌がらせをするために宿題を出している訳ではない。あれは、授業の内容を理解・定着させるために用意しているものだ」
グラサン「だが、それが却って胡桃沢の勉強の妨げになっているのなら、宿題を無理にやらせる意味はない」
グラサン「ただし、先程も言った通り、分からない所をそのままにはするな。聞きたい事があれば、いつでも質問しにきて良い。無論、俺でなくとも、友達に聞くのでも構わないが……」
グラサン「今の授業範囲は、この先の教科の基礎となる部分だ。ここを乗り越えられるかどうかで、今後の勉強の成否が決まると言っても過言ではない。だから俺も、出来る限りお前
コメント一覧
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- 2017年03月23日 23:58
- グラサンのような先生に担任してもらいたい...
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