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IT開発コンテスト「Innovation Day 2017」開催。学生2チームが賞金1000万円かけた米国本戦出場へ - Engadget 日本版

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IT開発コンテスト「Innovation Day 2017」開催。学生2チームが賞金1000万円かけた米国本戦出場へ

スタートアップからもVRやディープラーニングなどアイデア盛りだくさん

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 3月22日、日本マイクロソフトは「Innovation Day 2017」を開催。米マイクロソフトが主催する学生向けのITコンテスト「Imagine Cup 2017」の日本大会と、日本マイクロソフトが主催するスタートアップ企業向けの「Innovation Award 2017」のふたつのコンテストを行なった。

Imagine Cupは部門制を廃止しプレゼンは
英語でとレギュレーションを変更

 Imagine Cupはビル・ゲイツの提唱で始まった学生向けのITコンテスト。2003年からスタートして今年で15回目を数える。昨年まではゲーム部門やワールドシチズンシップ部門など3つの部門に分かれていたが、今年は「世の中にインパクトを与える革新的でクリエイティブなソリューションやサービス」をテーマとした1部門のみ。1次選考、2次選考を通過した9チームが日本大会本戦に挑んだ。


▲2次審査を突破したImagine Cup 2017日本大会参加チーム

 また今年からプレゼンは日本語でなく英語でというのも大きな変更ポイント。過去の日本チームは、開発したソリューションやサービスのレベルは高いが、世界大会では英語でのスピーチや審査員からのQ&Aでコミュニケーションがとれずポイントを落としてしまう弱みがあった。

 この弱点を克服するために、日本大会のプレゼンを日本語ではなく英語へと変更。さらに日本マイクロソフトは、2次選考を通過した全チームに向けて、英語と本格的なビジネスシーンでのプレゼンについてメンタリングコーチを提供。英語はベルリッツ、プレゼンはグロービスが担当し、出場チームのメンバーは日本大会の前に、大企業が受けるような本格的なレッスンを受講していた。


▲大会に先立って行なわれた講義では、実践的に使える英語やプレゼン方法がレクチャーされた

 その成果もあってか、どのチームもよどみなく英語でスピーチをこなし自分たちの開発したソリューションやサービスをアピール。Q&Aでは審査員からビジネス面での厳しい質問も飛びだしたが、反応よくキッチリと返答。事前のメンタリングコーチの効果が大きく出ているようだった。

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▲Imagine Cup 2017の審査員たち。元日本マイクロソフト会長古川享氏も審査員のひとり

最優秀の2チームが世界大会で
10万ドル(約1000万円)を目指す

 プレゼン終了後、展示ブースにて開発したソリューションやサービスを審査員にアピールしたのち、審査結果を発表。優秀賞は、スマート白杖デバイス「Walky」を開発したの東京工業大学(チーム名:TITAMAS)と、入力された音声を任意の人の声に変換する「NeuroVoice」を開発した東京大学大学院(チーム名:NeuroVoice)が受賞した。

 TITAMASのWalkyはチームメンバーの従兄弟が白杖のユーザーで、この白杖をもっと発展させられないかという視点から開発をスタート。白杖は足下の障害物は検知できるが、たとえばトラックなど下に空間のある背の高い障害物はわかりにくい。

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▲白杖は杖の先が当たるまで障害物を検知できないのが難点

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▲Walkyのシステム概要。メイン基板にはRaspberry Piを使用

 そこでWalkyは、白杖にカメラを装着して白杖が映し出す画像を解析。スピーカーから「前方●メートルにトラック」などユーザーに音声で注意をうながすシステム。搭載しているスピーカーも指向性が高く、ユーザーが聞き取りやすい設計になっている。

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▲サーバーとのやりとりにはSORACOM Airが使われている

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▲白杖のグリップの部分にカメラやスピーカーなどを装備

 もう一方のNeuroVoiceは音声変換にディープラーニングを使ったボイスチェンジャーシステム。単語ごとに学習するのではなく、音声の最小単位となる音素を学習するので、解析が完了していれば、変換対象となる人物が発したことがない単語でも違和感のない音声へと変換ができるとのこと。

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▲プレゼンではトランプ大統領の演説をヒラリー候補の声で再生するデモを披露

 競合としてGoogle(Deep Mind)の「WaveNet」などがすでにあるものの、開発メンバーが試したところ声を生成するためのデータセット作成時間がWaveNetの約20時間に対して、NeuroVoiceは約1時間で完了。競合サービス対して大きなアドバンテージがあるという。

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▲多層構造のニューラルネットワークを用いた機械学習、いわゆるディープラーニングを使って解析している

 そのほかスポンサー賞などは下記のとおり。優秀賞の2チームで独占となり、この2チームが頭ひとつ抜けたクオリティーだったことを裏付けている。

●500 Startups Japan賞:東京工業大学(チーム:TITAMAS)
●LINE賞:東京大学大学院(チーム:NeuroVoice)
●リクルートホールディングス賞:東京工業大学(チーム:TITAMAS)
●オーディエンス賞:東京大学大学院(チーム:NeuroVoice)


 優秀賞の2チームは、7月から8月にアメリカ・シアトルで開催予定の世界大会へ出場。大会まで引き続きベルリッツとグロービスの支援をうけながら、世界一と賞金10万ドル(約1000万円)を目指すことにななる。

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▲優秀賞を獲得して、アメリカでの本大会に挑む2チーム

ARや人工筋肉などサイバーな
ソリューションが登場したInnovation Award 

 Innovation Award 2017は、「テクノロジーによるイノベーション」をキーワードにした、ソフトウェア、ハードウェア、IoT やアプリなどのソリューションを表彰するスタートアップ企業向けのアワード。日本マイクロソフトが主催で、マイクロソフトのテクノロジーを活用していることと、製品またはプロトタイプが完成しデモが可能なことが規定となっている。

 今大会本戦には13チームが出場。日本語でのプレゼン、展示ブースでのデモを行ない、最優秀賞や優秀賞が発表された。


▲Innovation Award 2017に出場した13チーム

 優秀賞は、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)を使って医療関係者同士のコミュニケーションを円滑にするHoloEyesの「HoloEyes VR」が受賞。臓器などを3Dマップでデータ化し、それをMicrosoft Azure上で管理。データの閲覧はスマホやタブレットだけでなく、HoloLensでも可能となっている。

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▲人体の中身を3Dマップ化して表示

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▲展示ブースでは実際にホロレンズを使ってデモを行なっていた

 最優秀賞は、WIM Studioが開発した人の動きを再現する人工筋肉スーツ「WIM suits」が受賞。特殊合金を用いた人工筋肉を使い、胸や腕に取り付けた振動子で人工筋肉へと動きを伝達できるシステム。現状では3DモーションのデータはKinect 2を使用しているが、将来的には人工筋肉の動きから直接データ化することも目指している。
 人工筋肉を使用しているので、従来のセンサーを装着した装置と比べると衣服などへ組み込みやすいのがポイントとのこと。

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▲3Dモーションデータをもとに、振動子を使って体の動きを人工筋肉へと伝達

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▲肌着のような衣服に人工筋肉が組み込まれている

 そのほかスポンサー賞などの受賞は下記のとおり。

●PR TIMES賞:ウィンクル「Gatebox」
●サムライインキュベート賞:オルターブース「マイソースファクトリー」
●SLUSH Tokyo賞:MacroSpace「GITAI」
●Tech in Asia賞:MacroSpace「GITAI」
●弥生賞:AMATELUS「Swipe Video」
●Orange Gab賞:HoloEyes「HoloEyes VR」
●Supernova賞:HoloEyes「HoloEyes VR」
●TECH LAB PAAK賞:WIM Studio「WIM suits」
●オーディエンス賞:ウィンクル「Gatebox」


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▲Innovation Awardを受賞した各チーム

 Imagine Cup、 Innovation Awardともに、ディープラーニングやAR、MRなど最先端の技術を取り入れたチームが多く、日本にも優秀な学生やスタートアップ企業が数多くいることが実感できるイベントとなった。閉幕の挨拶に登壇した日本マイクロソフト社長の平野拓也氏は「以前、ビル・ゲイツに怖いものがあるのか訊いたところ、大企業は怖くない。情熱をもって研究や開発に取り組んでいる学生や小さな企業が怖いと語っていた」というエピソードを披露。Innovation Award 2017に参加した学生やスタートアップ企業が世界を怖がらせる存在になることを期待したい。

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