【艦これ】 鎮守府酒保の品揃事情
お時間宜しければお読みください。
酒保とは軍隊の駐屯地、施設、艦船内等に設けられ、
主に軍人、軍属を対象に主として日用品や嗜好品を安価にて提供する売店のことである。
また、売店によっては飲食施設も併設する場合もある。
明石「明石の酒保へようこそ!」
誰もが聞いたことがあるこの台詞。
日々深海棲艦達と戦う艦娘達の為に酒保を運営する彼女。
今回はその彼女の工廠とは別のもう一つの城である酒保を覗いていきたい。
横須賀艦隊司令部司令長官室
男「元帥、お呼びでしょうか?」
元帥「あぁ、急な呼び出しですまないね。色々考えたがやはり君が適任だと思ってね。」
元帥「前回の監査はどこも問題がなくて良かったよ。」
元帥「それに書類も読みやすくまとまっていたしね。でだ、そんな君を見込んで話がある。」
男「ありがとうございます。それで、話とは?」
元帥「これを見てくれ。」
ザッ。 バサバサ。
元帥「率直な意見を求む。」
男「はっ。失礼ですが元帥、そういう趣味が?」
元帥「どうしてそうなる。」
男「駆逐艦娘の制服を大量に見せられてどう思うと聞かれましても・・・。」
元帥「なるほど、確かに私が悪かった。手にとって少しじっくり見てくれないか?」
手に取り色々チエック。
元帥「改めて聞こう。どう思う?」
男「元帥、イメクラにでも入り浸られていらっしゃる?」
元帥「おおぃ!」
男「手にとってチェックしたのですがサイズが駆逐艦娘のそれより大きいです。」
元帥「うむ。」
男「何より陽炎型の幼児体型の雪風、時津風、谷風の制服にも関わらず胸の所が大きめに作られている。」
元帥「なるほど。」
男「また、デザインがより可愛らしく作り直されています」
元帥「確かに。」
男「以上のことから元帥が誰かへ着せるために作らせたのかと。」
元帥「なるほど、だから私が他人に着せていると考えた。」
元帥「話が進まないな。大淀、すまないが彼に説明を。」
大淀「はい。了解いたしました。」
大淀「そちらの制服はとある鎮守府の酒保施設で販売されていたものでして。」
大淀「その鎮守府の提督の気を引く為に艦娘達が購入していたようなんです。」
男「はぁ。」
元帥「着るだけならまぁ、個人的な趣向の部分で大目に見なくもないのだがな。」
元帥「戦艦が駆逐艦と言い張り他所の鎮守府との演習に出張ってくるなどとなると捨て置けなくてな。」
男「敵相手ならルート固定などで問題ないのでは?」
元帥「と思うだろ?その制服なあくまでレプリカなんだ。だからそれを着て出撃してダメージ受けると。」
男「なんとうらやまけしからん。(最高じゃないですか!)」
元帥「おい、どっちも本音が出ているぞ君。」
男「しっ、失礼しました。」
元帥「気持ちは分からんでもないが。その制服が出回って被害が増えるような事は困る。」
男「だから製造販売元を抑えたと。」
元帥「そういう事だ。それで、君には他に今回の様ないかがわしい物を販売している酒保施設がないか調査してきてもらいたい。」
元帥「これが身分証と逮捕、拘留に関する書類。必要とあれば陸軍の憲兵も動かしてくれて構わない。」
男「了解しました!男、鎮守府酒保施設の調査、行ってまいります!」
元帥「うむ。宜しく頼む。」
こうして男の調査が開始された。
男「あっ、元帥お土産は要りますか?」
元帥「あっ、寅屋の羊羹よろしくねー。」
男「了解致しました!」
『 調査報告書 1枚目 変Tあります! 』
男「こんにちはー。」
明石「あっ、お疲れ様です?ええっと艦隊司令部の方ですか?」
男「えぇい!ひかえぇい!某は艦隊司令部所属の監査官であーる!この身分証が目にはいらぬかぁ!」デデーン!
男は身分証を印籠の如く取り出した!
提督以外に軍人が来るという事は何かあるということなのだ!
その身分証の破壊力は抜群だ!
明石「ははぁーーーー。」ドゲザー
男「ありがとうございます。ノリいいですね。」ドウモドウモ
明石「関西人気質な艦娘が多いですから。ノリ、ツッコミは大事ですよ。」エッヘン
男「なるほど。素晴しいですね。」アクシュ
明石「それで、本日はどういった御用ですか?」アクシュ
男「えぇっと、とりあえず抜き打ちで酒保の取り扱い商品のチエックですね。」
男「ちょっと店内を見させていただきますね。」
明石「どうぞ、どうぞ。」
店内を見回す。
鎮守府の規模としては中堅所。
広さとしてはコンビニより大きくスーパーより小さいくらい。
男「あっ、バスクリンが充実してますね。」
明石「えぇ、そこは全明石の酒保、品揃えは充実させてますよ。」
明石に『 当たり前だろ、何言ってんだこいつ 』という顔をされる。
男(むぅ。常識だったのか・・・・。)
男「こちらは・・・、服なんかも取り扱いがある。」
明石「しょっちゅう街に買い物へ出かけられる訳ではないですからね。」
男「最近服飾メーカーさんとコラボも有りましたし。やはり日用的なTシャツとか有るとありがたいですもんね。」
明石「私的にはワー○マンの方がいいんですけれどね。」
男「ん。Tシャツに文字が書いてある。」
男がTシャツを広げたそこには全面に江戸文字、勘亭流フォントででかでかと文字が書いてあった。
『 まな板 』
男「んふ(笑)」
『 サーフボード 』
男「んふふふ(笑)」
『 水平線(地平線) 』
男「これ、丁度胸の辺りにプリントしてあるって(笑)」
明石「ばれましたか(笑)」
男「これ、大丈夫なの?(笑)」
明石「えぇ。問題なく(笑)浜風さんや浦風さん、長波さんに潮さん、照月さんといった方々に特に愛用いただいでいます。」
男(爆笑中)
続けて取り出したTシャツにはヘタウマフォント。
さながら日本語を覚えたての外国人が書いたような文字がプリントされていた。
『 爆乳 』『 皿丸 』『 戦争嫌 』
『 鉄血宰相 』『 長靴 』『 休日 』
男「これは何を意味してるんだろ?」
男「これはもしや!」
男「というか、BBSって Big Bast Ship 違う(笑)」
明石「まぁまぁ、お察しの通り海外艦娘の名前ですよ。」
龍驤「あっ、ちょっち邪魔するでー。」カンニンヤデー
龍驤「あったあった。探しとったんよ。いやー再入荷したんやねー。」
つ 『 爆乳 』の変T
明石「お買いあげありがとうございます!」
龍驤「ほなねー。」バイバイ
男「ちょっと、笑い殺しに来てない?」
明石「結構変Tは売れるんですよ。海外艦の方が特に好まれますね。」
男「なるほどねー。確かに海外の人ってよく分からない日本語Tシャツ着てるもんね。」
納得をした男は更なる笑いを求めてTシャツを広げる。
そこに出てきたのは毛筆体、それも力を感じる太く荒々しいフォントでプリントされたTシャツだった。
男「これは・・・。」
『 あぶぅくま 』『 阿武隅 』
『 危球磨 』『 虻隅 』
明石「変くまTシャツですね。」
男「微妙におしい感じで間違ってる。」
男「それにある意味正解もあるような?」
明石「そこが人気なんですよ。特に駆逐艦の娘達に人気なんですよ?」
男「あー、あの娘、なんだかんだで人気ですよねー。」
『 A Book Mark 』
男「ただのしおりやないかーい。」
明石「こんなのもあります。」
『 安武くま 』
男「野球が巧そうですね。」
明石「夕雲型の藤波さんお気に入りの様です。」
男「なかなか品揃えが充実していますね。」
明石「ユ○クロにも負けてませんよ!」フンス
そして、男の目はTシャツコーナーにて一際、異彩を放つコーナーへと向けられた。
その売り場に並べられていたTシャツは龍神書体。
そう、武田信玄の旗印『 風林火山 』を書くような。
そんな流れるような筆遣いにも関わらず漢らしい力強さを感じるフォントでプリントがされていた。
『 夜戦主砲カットイン! 』『 主砲、仰角最大 』
『 主砲 次発、装填済み 』『 被弾!弾着確認! 』
『 鹿島 夜戦練習航海へ抜錨! 』『 ベッドウェー海戦 開戦! 』
男「これ、そういう目で見ると危険な意味じゃないですか?名前入っているし。」
明石「それは、とある同人作家先生の委託販売なんで。」メソラシ
明石「というかその名前の部分は開いてる状態で販売してるんで購入された方が自分の名前を入れられてるみたいですよ。」
男「あっ、これは見本品なんですね。」
明石「そうですよ。」
男「自分の名前を入れてアピールと・・、こちらの提督さん大変ですね。」
明石「まむしドリンクもあります。」ドヤァ
男「あるんかい。」
男「品揃え的には、そう問題はなさそうですね。」
男「後は仕入伝票と、納品、それから売り上げ帳簿のチエックで査察は終了しますんで協力をお願いしますね。」
明石「はい。こちらこそ!」
こうして、問題は特に見当たらず、変Tを数枚と寅屋の羊羹を元帥へのお土産として男は帰還した。
男「無難な所でいいかなぁ。」
『 I Love 狼 』『 Yes!夜戦主義 』『 漢は皆 大艦巨砲 』
男「こんなもんですかね。」
後日
男「お疲れ様です。先日の査察の最終報告書をお持ちしました。」
元帥「あぁ・・、ご苦労さま・・。」カサカサ
足柄「あら、男さん、お疲れ様。私は席を外したほうがよさそうね。」ツヤツヤ
男「うぉっ、まぶし。」
バタン。
元帥「お土産のTシャツありがとうねぇ。なかなか良い生地使ってるみたいでいい肌触りだよー。」キノヌケタコエ
男「はっ、お褒めの言葉、ありがとうございます!」
男「ところで、今日の秘書艦の足柄さん、cond値振り切ってますね。何かいいことあったのでしょうか?」
元帥「あぁ、うん。昨夜ねー・・。」カサカサ
元帥「ところで、先日の鎮守府では『 まむしドリンク 』の取り扱いがあったって中間報告書に有ったけれど、
取り寄せ頼めるかな。」カサカサ
男「はっ、了解いたしました!」
まむしドリンクが来るまでの間、元帥はしばらくミイラの様であったという。
そして、その代わりに多くの艦娘がまるで後光が射しているかのようにキラキラ状態だったそうである。
男「なんでだろうね?」
『 調査報告書 2枚目 スイーツはお好きですか!? 』
男「えーっと、今日はここかな。」
男「結構大きめの鎮守府だな。」
男「こんにちはー。」
提督「はい、どちら様でしょうか?」
男「こういう者でして。」サッ
つ 名刺
提督「あっ、これはどうも。」サッ
つ 名刺
社会人たるもの名刺交換は大事!
古事記にもそう書いてある!
しばし事情説明。
提督「それで各地の酒保施設の調査ですか。大変ですね。」
男「そうなんですよ。こちらの酒保を見させていただきますね。」
提督「あっ、でしたら御一緒しましょう。」
『 鎮守府パーラー 間宮&明石 』
男「喫茶店?」
提督「あっ、うちの酒保施設は間宮と併設でして。」
提督「というか、資材とかあんまり買わないもんだから軽食施設の方が主体になってますね。」
男「へぇ。そうなんですね。」ホゥ
提督と男、二人が仲良く店内に入る。
店内に流れる音楽はシンフォニックジャズ。
ワルツの様な軽快さにジャズの様な即興感をプラス。
店内のアンニュイな昼下がりを一転させる、そんな雰囲気を与えていた。
店内に漂う香は砂糖の甘い香気、洋菓子に使うラム酒の馥郁とした香。
ケーキの上に載った果物達の自然の芳香。
クリーム等の乳製品達の爽やかなかつ芳醇な香。
香りと言う香が店内を満たしていた。
しかし、決して不快になるような香ではなく寧ろずっと居たい、そう思わせる香であった。
男「子供の頃にこずかいを握り締めてどのケーキを買うか迷っていた頃を思い出すなぁ。」ウットリ
提督「ほう、監察官さんは駄菓子ではなく洋菓子がお好きでしたか。」
まるで女子高生の如く洋菓子をきゃぁきゃぁ言いながら選ぶおっさん二人。
その光景がシュールであるのは言うまでもない。
明石「お客様、商品お決まりになりましたか?」ヒョコ
そう言いながら顔を見せたのは明石だった。
マーベラス。
何がマーベラスかって?そりゃ決まってる。
明石さんがメイド服なのだ。
いいか?私は声を大にして言いたい。駆逐艦漣のメイド服はエセだ。
異論は認めよう。
しかし、メイド服の本当の良さ、メイドの歴史的背景を知っていればあの様な服はセウトなのだ。(セーフとアウトの中間)
メイド服の本当のよさを知る者たる紳士ならば、メイド服。
否!メイドの基本衣装は是非抑えていただきたい。
提督「ヘッドドレス、エプロン、ワンピース、ペチコート、ドロワーズ、ですな。」
男 !
男(この提督、出来る!)
そうなのだ、明石さんの服装はその基本を抑えているのだ。
さらに身長とその体型を最大限に生かしたデザイン。
そして、極め付けが下の方から僅かに見えるペチコートとスカート、エプロン。
この洋菓子のミルフィーユの様に折り重なりふわふわとした様。
まさに服下の黄金率のなのだ。
男(すばらしい。みせない事へのエ口チィシズムを理解しているとは。)
提督「私がデザインしているんですよ。」
男 !
提督「店舗奥の方で予備衣装も取り扱っていますよ。」
男「ディモールト。」
男は提督と紳士としての固い握手を交わした。
明石「あの注文・・・・。」ヤレヤレ
男「あっ、すみません。えっと、このストロベリームースタルトとストロベリーショコラフロートを。」アッハイ
提督「クレーム・ブリュレ、ストロベリー間宮アイス添えとエスプレッソ、豆はコロンビアで。」
男「なんだか通な頼み方されてますね。」
提督「うちの間宮さんは艦娘になる前は資○堂パーラーでパテシェールやってたとかで洋菓子は絶品ですよ。」
明石「お待たせしました。」
男「おぉ、もう見た目からすごい。」
男はメイド姿の明石が持ってきたタルトを切り分け一口、口に運ぶ。
男「・・・・・・・・。」
男「うぉぉおおおおおーーーーーー!!」ガタ!
間宮「どっ、どうされました!?」←余りにも騒がしかったので厨房から出てこられました。
明石「あれ?お口に合いませんでしたか?」
男「う☆ま☆い☆ぞぉーーーーーーーーー!」
男「このタルト生地のサクサク感。一口齧る毎にサクリ、そして舌のうえでほろりと崩れる絶妙な食感。」
男「そして、このタルト生地の上に乗るムース。」
男「選び抜かれた新鮮な苺を使用している事は間違いなく、引き立てるムースのふんわり感。」
男「例えるならば乙女の柔肌の如き触ればプルンとしたような。」
男「否!触れば割れるシャボンのような。」
男「そう、これ以上固くなるとババロアになってしまう一歩手前で踏みとどまるこのギリギリのふわふわ食感。」
男「更に驚くは生クリームをふんだんに使用しているにも関わらず
クリームの味に隠れてしまうことなく苺の味が濃厚にするという事・・・。」
男「まさか!」バッ
間宮「えぇ、そのまさかです。」ニコ
間宮「味のアクセントにかなり大量の苺を利用したソースをいれています。」ドヤァ
男「いったい、このタルト1片にどれだけの苺が使用されているというのだ・・・。」驚愕
男「切り分けた際の見た目も計算し尽されたこの表面の苺の配置。」
男「本当に美味しいです。ありがとうございます。」ペコリ
間宮「お褒めに預かり光栄です。」ペコリ
提督「すばらしいグルメリポートですね。味皇様を思い出したですよ。」アキレ
男「古い例えだなぁ。」
明石「ぶっちゃけ、こっちのお菓子がメインなんですよねー。」
男「まぁ、仕方ないですよ。これだけ美味しいと。」モグモグ
男が注文のタルトに舌鼓をうっていると新しい客が店内に入ってくるのが見えた。
カラン
明石「いらっしゃいませー。」キラッ☆ 営業スマイル
秋月「うわぁー・・、すごい沢山のケーキがいっぱい・・・。」
照月「秋月姉、見とれてないで席につかなくっちゃ!」
初月「香だけでごはん3杯はいけそうだ・・・・。」
男 ブハッ ←飲み物吹きました
男(まさか、初利用なのか!?)
男は姉妹の会話に聞き耳を立てる。
秋月「さっ、照月に初月、好きなのを選びなさい。」
照月「秋月姉はいいの?」
秋月「私はいいです。二人の好きなのを選んでください。」
初月「姉さん、僕らが先に・・・、いや、僕達だけ注文するなんて出来ないよ。」
なんということでしょう!
秋月三姉妹は長女が我慢して妹二人に奢ってあげようとしているようなのです!
男 (´;ω;`) (目頭押さえています)
男はそっと手を挙げ、明石を呼んだ。
明石「どうされました?」
男「こちらのメニューの端から端まで一人一つずつ、あちらのお嬢さん方へ・・・。」
男性ならば一生の内に一度は言ってみたい言葉。
『 あちらのお嬢さんへ 』を男は唱えた。
結果、秋月姉妹の座る席には大量の洋菓子が並ぶことになる。
秋月「こんなに私達頼んでいませんよ!?」
明石「あちらのお客様からです。」指さし
この台詞 『 あちらのお客様からです 』も何気に店員の立場での言ってみたい言葉に入ったりする。
秋月「えっ、司令の横にいらっしゃる方ですか?」
男 にこやかに手を振っている。
男「お腹いっぱい食べなさい。」ウンウン
照月「うわぁ、ありがと、ありがとー。」キラキラ
初月「すまない。ありがたくいただく。」キラキラ
こうして、男は姉妹が幸せそうに洋菓子を平らげるのを見届けたのだった。
提督「その『 あちらのお嬢さんに 』って格好いいですねぇ。」
提督「私も試して・・・。」
赤城「あら、提督。御馳走いただけるんですか?」ウキウキ
加賀「流石に気分が高揚します。」キラキラ
武蔵「ほう、いいのか?いただこう。」ムフゥー
大和「提督、ありがとうございます。」キラキラ
男「・・・・・、ご愁傷様です。」ナムナム
提督の財布は撃沈した。合掌。
因みに、男が元帥へのお土産として選んだ商品はというと?
男「常温で『 飲めるチョコレート 』ですか。珍しいですね。」ヘー
明石「あっ、結構人気ですね。人肌温度でとろっとろになりますんで。」ウレスジデス
男「へぇ、すごいですねー。これにしとくか。」ホーン
男「あっ、そうそう、明石さんが着用されてるのと同じの一式いただけますか?」
メイド服も購入したようだ。
後日
男「失礼します。元帥、最終報告書をお持ちしました。」
金剛「ヘーイ、男、今日の私どうですネー。」キラキラ
元帥 ゲッソリ
男「流石がイギリスからの帰国子女金剛さん。着こなしも見事です。」
男「とても素晴しい。」グッドb
金剛「男ならそう言ってくれると思ってたネー。」キラキラ
金剛「元帥のハートも体もバーニングだったヨー!」キラキラ
金剛「スウィートでビターなチョコ、元帥も喜んでくれたネー。」キラキラ
金剛「これからも使いたいから先日のチョコの取り寄せお願いネ!」キラキラ
男「? はぁ、分かりました。」
金剛「じゃぁ、元帥。私は席を外すネー!」キラキラ
そう言って部屋を出て行く金剛。
男の横を通りすぎた際の残り香はチョコレートのスゥイートでビターな香だったと男は後に思い返す。
元帥「なぁ、男よ・・・・。チョコレートは古代ローマから媚薬としての歴史があるそうだよ。」ゲッソリ
男「はぁ。 ? 」
元帥「うん、君には関係なかったね・・・・。」ゲッソリ
元帥「次回も宜しくね・・・。」ゲッソリ
男「はっ、了解いたしました!」
暫くの間、艦隊司令部内においてメイド服がなぜか流行したのは内緒の話である。
艦隊司令部はやっぱり今日も平和です。
男「そういや、秋月型三姉妹からお礼に艤装に使っているスカーフ貰ったんだよねぇ。額縁にいれて飾っておくか。」
『 調査報告書 3枚目 艦娘オリジナルグッズ等あります! 』
男「今日の訪問先は特例として一般の方の利用も認められているとか?」
男「田舎街で周辺に商店が無いから助かって居ると司令部に感謝の手紙が来るほどみたいなんだけど。」
男「そんな所に調査が必要なのだろうか?」
そんなこんなで田舎街にある鎮守府に到着。
男「こんにちはー。」
ザワザワザワ
男「なんか人がたくさん並んでんなぁ。」
霞「ちょっと!あんた列に並びなさいったら!」ホラ!
男「あっすみません……って違うわ!」
男「何この待機列!」
明石「あっ、お客様はファンの方では無い?」
男「違います。こういう者です。」ミブンショウテイジ
明石「あっ、艦隊司令部の方ですか。」ワチャー
霞「なによ。紛らわしいじゃない。」
男「これ、何の待機列なんです?妙齢の御婦人から女子高生と幅が広いですけど。」
明石「えーっと。」テヘヘ
霞「じゃぁ、明石さん、私は列の整理に戻るわ!」
警備服を着た霞が立ち去り、明石が誤魔化そうと鼻の頭を掻いていたときだった。
正面ステージ
/ ピカッ \ / ピカッ \
嵐「皆、待たせたな!」
初月「僕達の握手会に集まってくれて本当にありがとう。」
松風「今日は皆に会えて本当に嬉しいよ!」
那智「皆、いつもありがとう、感謝するぞ!」
男「んー……、アイドルグループかな?」
男「というわけで明石さん、どうしてこんな事になっているか事情説明いただきましょうか?」
明石「あっ、はい。」
事情聴取中
男「なるほど、一般の方向けに店舗を開放した際に艦娘の事をもっと知ってもらう為に広報用の部隊を作ってみたと。」
男「どうせ広報用部隊にするなら女性をターゲットに絞ってやってみたらということで。」
明石「この様に。」テヘッ
男「おぉい!」コラァ!
明石「でも、すっごく儲かっているんです。」
男「儲かればいいってもんでもないでしょう……。」
奥様A「あら、何か問題でもおありかしら?」
マダムA「今日も那智様は素敵でしたわ。」
女子高生A「初月君が、すっごく格好いいの!」キャァキャァ
女子高生B「私は松風君だな!」ウフフフ
奥様A「私の夫は海軍大臣と仲が宜しくてですね?」オホホホホ
男「……。規制なんてしませんよ。もちろんですよー。」ヒヤアセタラー
奥様A「宜しくお願いいたしますわね。」オホホホホ
明石「ですともですとも!」ニカッ
男「この悪の元凶が!おめぇ、確信犯だろ!」モガー
明石「グッズの売り上げが凄くって。」ホクホク
そして、その会場近くにあるテントでは……。
捻り鉢巻にニッカボッカ、そして前掛けをつけた艦娘が魚屋を営んでいた。
谷風「よっ、そこの綺麗なお姉さん!今日も新鮮な魚が揚がってるよ!」
谷風「しっかり見て行ってくんな!」イヨッ!
男「……。朝市?」
奥様B[谷風ちゃん、今日のオススメは何かしら?]
谷風「そうだねぇ、今日は金目の形のいいのが揚がっているよ!」
長門「こっちの鯛もいいぞ!そして、今日はなんと鯨も入荷しているぞ!」
婦人A「あら、長門さんがそういうならいただこうかしら?」
谷風「毎度!いつもお買い上げありがとねぇ!」
男「エコロな人達が怒りそうな商品が……。」
明石「ははは……。」
更にその横ではギャルソンエプロンを付けた少女が2人。
萩風「新鮮取れたて野菜はいかがですか!?」
山雲「朝の摘み立て苺もありますよ~。」
男「もう、完全に朝市だわ……。」
明石「鎮守府の畑で取れたものですので売り上げの一部は鎮守府の運営費に入れています。」
男「漁師?の娘達は?」
明石「私が燃料代や日当払って獲って来て貰っているんですよ。」
男「地元漁協さんとは?」
明石「話つけてます。」
男「でも正式に司令部へは申請書類出していませんよね。」
明石「ははは。」目ソラシー
そして、更に後ろを見やれば屋台が出ていた。
龍驤「朝に海でとってきた新鮮なたこを使った、たこ焼きやー!!」
黒潮「大阪コンビの本場の味やでー!」
男「なんかねぇ、もう朝市感がすごいね。酒保の域を越えている気がする。」
熊野「ひゃ↑っはぁああぁ↓ぁ!神戸牛はローストですわぁ!」
鈴谷「けっ!塩無しのステーキなんかまずいってのによぉ!」
男「サングラスかけて腕に塩をあてながら振ってら。」
明石「動画で有名になったトルコの塩振りのあれですね。」
男「しかもノリノリ。」
熊野「この神戸牛の美味しさは熊野が保障しましてよ。」
客A「ヴェアァァ!ウマメシヤーーー!」
男「美味しさに感動してる人がいる。」
鈴谷「焼きたてのステーキをご飯の上に載せて更に特製タレをかけて!」
鈴谷「ステーキ丼!」デデン
客A「ヴェアアアーー!ニクメシヤーーーー!」
男「いちいち煩いね……。」
明石「まぁ、まぁ。」
男「……、問題は色々多いですけど地域に溶け込んでいるようですね。」ハァ
男「地域の方と仲良くしくのは世論形成に重要なので大目にみるとしますか。」:
明石「ありがとうございます!監察官さん、融通が利くいい人!」
男「今回だけですからね!申請とかは先にきちんと出してくださいね!」
男「はぁ、なんかすっごい脱力だわ。」
明石へ厳重注意を行い、帰ろうとした男の目は怪しいテントで止まる。
男「あれは……?」
日向「さーて、お立会い、今日はこの瑞雲の模型を……。」ドヤァ
妹「ゼロ!ゼロヨコセ!?」
日向「むっ、零戦より瑞雲はいいぞぅ。」ムムゥ
妹「ゼロ……。」ショボン
日向「よし、よい子にはこの瑞雲をあげよう。」ホラ
男「商売?してるのあの航空戦艦。」
明石「あれは布教活動ですかね?うちの取り扱い範疇ではないので分からないですね。」
男「取り締まっておくか……。」ハァ
男「さてと、元帥へのお土産はどうしたもんかな……。」
朝市でごった返す鎮守府正面の前庭。
そのテントの中で男はただ一つ、カーキ色のテントで売られていた商品の前で足を止めた。
あきつ丸「陸軍がお送りするはジビエをふんだんに利用した『 陸軍カレー 』であります!」
まるゆ「猪肉や鹿肉がいっぱい入ってて精がつきますよ!」
あきつ丸「山海の珍味で作られた陸軍カレー3食レトルトパックもあるであります!」
まるゆ「贈り物に是非どうぞ!」
男(陸軍と仲良くする為に買っていくのも悪くないか。)
あきつ丸「お買い上げありがとうであります。」
まるゆ「熊胆等の漢方も取り扱っていますので宜しかったらお願いしますね。」
明石「一応、薬剤師の資格もとっています。」ドヤァ
男「そういうものの前に司令部にその他の許可申請しようよ。まったく……。」ハァ
こうして男は申請のない布教活動をしていた航空戦艦を取り締まり、
明石に必要な申請を出すように指導して司令部へと帰還したのだった。
後日
男「失礼します!先日の最終報告書お持ちしました!」
大淀「お疲れ様です。報告書いただきますね。」ツヤツヤ
男「あっ、大淀さん。先日は申請書類の迅速な処理、ありがとうございました。」
大淀「いえいえ、地域社会との付き合い方の良いモデルケースとしての提案。」
大淀「実によく出来た中間報告書でした。艦娘の将来も考えると
地域社会と上手く付き合っておいた方が良いにきまっていますからね。」ツヤツヤ
男「ところで元帥はどちらへ?」キョロキョロ
大淀「元帥はそうですねちょっと病院へ行かれています。」ツヤツヤ
男「はぁ。」
大淀「艦隊司令部には通常の鎮守府以上に艦娘が多いですから。」
大淀「その全てをお相手されると流石に元帥と言えども。」ツヤツヤ
男「 ? 」
大淀「そういえば先日の調査先では漢方薬の取り扱いもあったそうですね。」ツヤツヤ
男「はい。」
大淀「八味地黄丸の取り寄せをお願いして宜しいですか?」ツヤツヤ
男「はっ!了解いたしました!」
こうして男は元帥への報告書を大淀に託し退室した。
男「効能なんなんだろ?」
ここまでお読みいただきありがとうございました
男は地味に元帥を殺しにいっている気がします、はい
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