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速報・電王戦第1局は佐藤名人敗れる。ポナンザはほとんど時間を使わず、トラブル発生しても関係なし - Engadget 日本版

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速報・電王戦第1局は佐藤名人敗れる。ポナンザはほとんど時間を使わず、トラブル発生しても関係なし

相手が持ち時間を使わないと名人と言えども厳しいよね

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小雪の舞う日光東照宮で行われていた第2期電王戦、佐藤叡王(名人)vsポナンザの対局は、71手まででポナンザが勝利しました。ポナンザは5時間の持ち時間のうち1時間半ほどしか使わない展開で、佐藤叡王には厳しい展開でした。中盤まではいい戦いが見られましたが、ポナンザの余裕の勝利といっても過言ではないでしょう。評価値的には一度も優勢に傾くことなく破れてしまった佐藤叡王は、第2局でどう戦い進められるのでしょうか? 第2局は、5月20日姫路城で行われます。
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対局場所は日光東照宮東側にある、東照宮社務所の2F。今回は1階に控室が設置されて、対局終了後もスピーディーに移動ができて楽でした。日光東照宮は徳川家康公が祀られている場所。家康公は将棋を愛好し、現在ある7タイトルの1つ「名人」の称号を、家康公が最強のものに与えたことが始まりと言われています。その名人が、今回対局者の一人ということで、今回の場所が選ばれました。



それでは、時間を追って本日の対局を振り返りましょう。

序盤は、ポナンザの両金上がり(初手☗3八金☖8四歩☗7八金)に驚きましたが、永瀬拓矢六段の話によると、この手はポナンザの22ある初手の中の1つだそうで、想定はしていたそうです。ただ、考えてはいたけど、相手の動きもあり、力戦形になりやすいとのこと。佐藤叡王にとっては、ちょっと指しにくいかもしれません。



その後は淡々と進み、19手目☗3六歩まで五分の消費時間。ここで17分程考えて☖8六歩と飛車先を伸ばした。その後、24手目☖3六飛と横歩を取り、☗3七銀☖3五飛☗4六銀☖2八飛とふたたび8筋に戻りました。

持ち時間は12時の時点で、ポナンザ31分、佐藤叡王は1時間20分ほど消費。35手目☗3五銀に対して佐藤叡王が長考していて、この時点ですでに1時間ほど差がついてしまいました。評価値は、佐藤叡王の-63と、そんなに差は開いてはいませんが、ジリジリとマイナス評価が進んでいきます。ちなみに今回の評価値は、平岡拓也氏率いる開発チームの「浮かむ瀬」(Apery)によるものです。

佐藤叡王は長考のまま食事休憩に突入かと思いきや、12時15分ごろに☖3六歩と角道を開け、4分ほど考えたポナンザは☗2二角成と角交換してきました。このとき初めて電王手一二さんが成りの動作をしたのですが、両手をうまく使っての成りに、山本氏が笑顔を見せ、電王手一二さんの動きに感心している様子でした。



角交換後、39手目☗6六歩と指し、佐藤叡王考慮中のまま昼食休憩となりました。恒例の昼食は、佐藤叡王は日光埋蔵金弁当、ポナンザ開発者の山本一成氏は天そば、下山晃氏は親子丼でした。



日光東照宮は、雪がちらつくあいにくの空模様ながら、土曜日ということもあり観光客で賑わっています。陽明門が3月に平成の大修復が終了して姿を見せ、キンキラ金に輝く装飾に圧倒されます。まだ、修復作業中の建物もありますが、東照宮の代表的な建物のひとつが見られるようになり、ゴールデンウィークにかけて多くの観光客が訪れることでしょう。



昼食休憩のあと、休憩時間終了2分前に入室した佐藤叡王は、再開後も長考を続けている。永瀬拓矢六段によると、ポナンザは人間が読んでいない手を指してくるので、ここは慎重になっていると解説。佐藤叡王が動いたのは、再開後16分してから。40手目☖8四飛と引き、残り時間は2時間50分程度。ポナンザがまた4時間22分も残していることを考えると、圧倒的に差がついています。



評価値的には、佐藤叡王の-167を指しており、完全にポナンザのペース。あまり時間をかけずに指してくるので、佐藤叡王の考慮時間が伸びてしまうのは仕方ありません。

14時半ごろ、加藤一二三九段(ひふみん)がニコファーレに登場。「電王手一二さん」と書いた色紙を手にしていましたが、「でんのうしゅいちにさん」と発言。正解は「でんおうていちにさん」です。ひふみんは、「これまでの戦況を見てみると、どこか差がつくような手は指されていません。初手☗3八金は驚愕しました」と語り、解説の木村一基八段と初手から振り返っていました。

今回、電王手さんは最終形態となり電王手一二さんとなりました。これまで1本だったロボットアームが、2本になり協調制御システムにより両方を同時に動かして指すようになりました。土台ごとスライドする機構も備え、動きもなめらかになった気がします。駒が成るときは、持ち替えてひっくり返すようになり、多少時間が短くなりました。それにしても、見る限りかなりの威圧感がありますね。


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一方対局室では、47手目☖9七歩と9筋を攻めた佐藤叡王でしたが、☗6五歩と銀頭を攻められ、☖7三銀と引く場面も。その直後☗9七香と歩を取ると佐藤叡王の評価値が挽回し一旦は-86に。ただここで再び長考に入り、持ち時間はどんどん減っていき2時間を切る状態になってしまいます。終盤に向けてかなりキツイ展開。ちなみにポナンザは、まだ1時間も使っていません。

14時56分ごろ、記録係の手があがりトラブルが発生。ポナンザ側にどうも問題があるようでしたが、この時点では詳細が不明です。控室にも緊張が走りましたが、この間ニコファーレではひふみんショーが続いており、その話に笑いが漏れています。



トラブル対応中におやつ時間となり、おやつが運ばれました。長考中の佐藤叡王は、ずっと低い姿勢で頭に手を当てています。おやつは、協賛であるブールミッシュのショコラ・ファンとレアチーズケーキ。佐藤叡王は、ショコラ・ファンを、山本一成氏は両方を選択したとのことです。



その後、時計が一旦止められ中断に。トラブルについて立会人の勝又清和六段より説明があり、14時55分ごろ山本一成氏から不具合の報告があり、原因はよくわからない状況とのこと。ただ、少なくともポナンザ側のトラブルではないため、時間を止めて復旧作業をしたとのことです。ただ、どういうトラブルなのか、この時点では詳細は語られませんでした。将棋ソフトは、ドワンゴが作成したシステム上で動作しており、電王手一二さんが動作中は思考を停止させるなど、細かく制御しています。おそらくそのシステム側にトラブルがあり、ポナンザの動作が不安定になったのではないかと予想します。復旧に1時間要したのは、不具合が出ないかテストに時間がかかったとのことです。

約1時間の中断後、無事対局が再開されたが、この間佐藤叡王は持ち時間を失わずに長考できました。16時を過ぎた時点で残り時間が1時間33分だったため、かなり得した計算になります。再開後、16時15分にようやく50手目☖9八角と指し、中断時間を含めて2時間以上の長考になってしまいました。

この一手に、☖2九飛☗8七歩を打ったところで、評価値は佐藤叡王の-300オーバーとなり、かなり不利な状況になります。しかし、53手目☗7四歩と指したあと16時33分に再度トラブルにより中断。残り時間はポナンザが4時間8分、佐藤叡王が1時間20分の時点です。控室では検討が続いていますが、トラブルもあり少しバタバタしています。



勝又清和六段によると、2回目の中断について、勝又1回目の復旧で、ポナンザから電王手一二さんへ正確な手が伝わらない可能性があり、再び中断したとのこと。ただし、1回目の中断は電王手一二さんが原因ではなく、ドランゴ側の問題ということも付け加えられました。

トラブル中にひふみんが再び登場し、中継を盛り上げます。控室も大爆笑。そんな中、16時50分に再開しましたが、評価値が佐藤叡王の-700オーバーと一気に危険水域に。厳しい状況になってしまいました。


佐藤叡王が長考中、残り時間40分のところで、夕食休憩に入りました。夕食はおにぎり。評価値は佐藤叡王が-900を超えてしまいました。佐藤慎一五段は「正直厳しい状態ですね」。
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夕食休憩が終わり、対局が再開。ポナンザは、ノータイムで指してくるため、佐藤叡王はかなり厳しい。読み筋通りなのでしようけど、ポナンザが時間を使わないので、自分の持ち時間を削るしかありません。指すたびに評価値はどんどん開いていき、18時20分時点で-1600超え。18時40分には-2000を超え、検討人もお手上げ状態。

そして、19時12分に71手までで佐藤叡王が投了した。残り時間は、ポナンザが3時間39分、佐藤叡王が12秒でした。



対局後のインタビューで、佐藤叡王は「初手はランダムなので、それほど驚いてはいない。序盤から駒取りが難しく、中盤までは勝負できていた。その後はポナンザの力強い指し回しと、私の盲点を突かれ最後は完敗してしまいました。ポナンザはものすごい正確で読みも的確。読める手もあったが、読めないときもあった。精度の高い手を指されていた印象です。タイトルホルダーとして結果をだせなくて残念。第2局は先手ですが、ポナンザは今日同様強いでしょう。自分の中では勝算はあると思っているので頑張りたい」

山本一成氏は「☗3八金はポナンザが考えた手。ポナンザは難しい形を数多く勉強していて、いろんな局面でも対応できる様になっている。タイトルホルダーに勝ったが、1局戦っただけなので、これで勝ったとは言い切れない。ただ、長年の目標だったので嬉しい」



実は、山本一成氏はディープラーニング版のポナンザを開発中で、5月の世界コンピュータ将棋選手権に参戦する予定です。これまで将棋ではディープラーニングは難しいと思われていたそうですが、ディープラーニングだと、ルールを与えなくてもいいことに気がついたら、かなり強くなったとのこと。より開発が進めば、現状のポナンザでも歯が立たないレベルに達することは間違いなさそうです。

今回の戦いは、正直佐藤叡王の良さがあまり見られなかったと思います。逆にポナンザは、相手の考慮時間に次の手を考えてしまうため、ほとんど時間をかけずとても優位に勝負を運べました。次回は、先手後手が入れ替わりますが、佐藤叡王には主導権が握れる戦いに持ち込んで、いい勝負をしてもらいたいですね。
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Source: 電王戦
関連キーワード: denousen, DENSO, dwango, games, shogi
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