TR-808生みの親、梯郁太郎氏が死去、87歳。エース電子 / ローランド設立、MIDI策定の功績でグラミー受賞
PPAPもTR-808
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エース電子工業~Rolandの創業者で、MIDI規格を生み出して電子音楽の世界を変えた梯郁太郎(かけはしいくたろう)氏が4月1日に死去しました。享年87。
もともと技術者だった梯氏は大阪市阿倍野区で営んでいたカケハシ無線時代にオルガンに興味を持ち、その内部構造を電子回路を使って再現することを思い立ったとされます。その後事業拡張した電気店はエース電子工業となり、初の電子オルガン製品SX-601を松下電器産業(現パナソニック)のナショナルブランドから発売しました。
エース電子工業はその後も電子リズム楽器などを生産していたものの、1972年には新たに電子楽器専業のローランドを設立し、JUPITER-8などの名機を開発。得意としていたリズムマシンのTR-808やTR-909、ベースシンセTB-303などは現在に至るまで音楽シーンで使われ続ける傑作となりました。
さらに、電子音楽機器のデータをデジタル転送するための共通企画「MIDI」で中心的役割を果たしたのも、梯氏の偉業のひとつ。MIDI技術は1980年代に広まり、コンピューターとMIDI対応音源を組み合わせて音楽制作をするDTM(Desk Top Music)というスタイルが大きく広まりました。
この頃になるとPC向けFM音源ボードの低価格化が始まり、ローランドがパッケージ販売していた「ミュージ郎SC-88」や「ミュージくんSC-55」を購入してNIFTY-Serveなどパソコン通信のMIDIフォーラムに入り浸っていた思い出を持つ人も多くいそう。また一部はそこからプロのミュージシャンとして旅立ったかもしれません。
2013年、梯氏はローランドを離れ新たな楽器メーカーATVを設立。さらに世界標準となったMIDI策定の功績に対し、米グラミー賞から技術部門賞である「Technical Grammy Award」が贈られ、梯氏はハリウッドの「Rocl Walk of Fame」にその手形を残しました。
現在のエレクトロニック・ミュージックの隆盛には梯氏が大きな役割を果たしたことは間違いありません。もしその仕事がなかったらなら今の音楽、とくにヒップホップ系やEDMシーンなどはまったくの別物になっていたはずです。
下は元ゴダイゴのドラムス、トミー・スナイダー氏のFacebookへの投稿。
そうそう、この曲で特徴的な"カーン"と鳴る音もTR-808です。