花粉粉砕ドールズ『双子の庭師と予言の金糸雀』
- § 主な登場ドールの紹介
- 真紅 : 居眠りしている時の鼻提灯を蝶々の形に変えて飛ばすのが得意なドールズ
雛苺 : 人の汗を舐めてその味で嘘をついているか見抜くのが得意なドールズ
翠星石 : 鞄で黒塗りの高級車に追突するのが得意なドールズ
蒼星石 : 内職のジェルキャンドル作りが得意なドールズ
水銀燈 : 羽を飛ばす攻撃よりも実は投石が得意なドールズ
金糸雀 : せっかち
珪孔雀 : 他の姉妹の意見に便乗するのが得意なドールズ
雪華綺晶 : 雛苺のケツを叩いて8ビートを刻むのが得意なドールズ
薔薇水晶 : セミの抜け殻を繁華街の酔っ払いに売りつけるのが得意なドールズ
- § 桜田家の庭
- 翠星石「ふぉおおおおお…ッ! 庭師究極最終奥義! 花粉粉砕拳!」シュバア
雛苺「カフンフンフンフンサイケン!」びしぃっ
真紅「ローゼンファイナルオーバーサーキュレーション!」ずばー
ジュン「…何やってんだ三人とも? 庭でドタバタと」
翠星石「おっ? いたですかチビ人間。これはですね、見ての通り空気中の花粉を粉砕しているのですぅ」
ジュン「見ても分かんねぇし、聞いても意味が分かんない」
真紅「理解力の無い人間のオスね! このグズ!」
雛苺「ジュンみたいな物分かりの悪い奴は一生、目と耳をふさいで社会から離れて暮らせばいいとヒナは思うの…」
翠星石「おっ、久しぶりに良いこと言ったですねぇチビ苺」
ジュン「てめぇら…」
真紅「仕方ないわね。かき集めたカエルの糞みたいな脳ミソしてるジュンにも分かるように説明してあげるわ」
ジュン「くっ…、好き放題言いやがって」
真紅「私達薔薇乙女にとって、この季節に飛び回る花粉は大敵」
ジュン「お前ら伝説の人形だから花粉症とかは気合で治るんじゃあなかったのか?」
翠星石「こぉのバカチンがあ! 花粉は毎年、進化してるんですよ!」
真紅「その通り! 薔薇乙女とは言わば、歩く『めしべ』のようなものだわ!」
ジュン「めしべて…」
雛苺「花粉さん達は全力でヒナ達を狙ってきているのよね」
真紅「あまりにも魅力的過ぎる私達が植物達の生存本能を一身に惹きつけてしまうのも、大自然の摂理」
翠星石「相手が全力で来るなら翠星石達も総力で応じる。それが乙女のジャスティスです」
雛苺「じゃすてぃすっ!」ビシィ
ジュン「でもパンチとかチョップで空中を漂う花粉を粉砕は無理だろう…常識的に考えて」
翠星石「ちっちっち! 翠星石達の拳をそんじょそこらのにわか拳法と同じにするなですよ」
雛苺「ヒナ達の拳にはマイナスイオンが込められているの」
ジュン「は…?」
真紅「マスターとの絆の力、乙女の祈り、そして事前に手を良く洗ったことによる僅かな湿り気…」
翠星石「それら全てが、繰り出される翠星石達の正拳突きの拳圧の中でスパーク…」
雛苺「マイナスイオンが生まれて、空中の花粉を粉砕することができるのよね」
ジュン「胡散臭さマックスパワーすぎる…」
翠星石「そんなこたーねぇですよ! 蒼星石から直接、教えてもらったんですから!」
ジュン「え!? マジで?」
翠星石「マジです」
ジュン「……」
真紅「居候している桜田家に迷惑をかけないためにも、降りかかる火の粉…いえ、花粉を駆逐したい」
雛苺「そう言って、商店街でお買い物していた蒼星石の目の前で土下座したのよね! ヒナ達で」
ジュン「え…? 買い物していた所…てまさか真昼間の衆人環視の最中だよね? それ…」
翠星石「翠星石達の誠意が見事に通じ、蒼星石は門外不出の花粉粉砕拳を教えてくれたのですぅ」
真紅「やはり、鉄板まで自前で用意した私の焼き土下座が特に蒼星石の心に訴えかけたに違いないわ」
ジュン「いきなり目の前でセルフ焼き土下座されるとか蒼星石も災難だったろうに…」
翠星石「しかし、その甲斐あっての庭師究極最終奥義の伝授ですぅ!」
真紅「私達を孕ませようとする不埒な花粉を潰すには、自らの拳が一番だなんてね。盲点だったわ」
雛苺「蒼星石は本当に良いことをヒナ達に教えてくれたのよね」
翠星石「というわけで翠星石達はこれからも庭で花粉抹殺に精を出すです」
ジュン「へぇー、すごいね」
雛苺「巻き込まれてジュンのおしべまで粉砕されちゃっても知らないのよ」
ジュン「はいはい。じゃあ、僕は家の中で大人しく昼寝するから、大声は自重しろよ」
真紅「そんな…、声出しは重要だわ! ハンマー投げだってそうでしょう!?」
ジュン「ハンマー投げと花粉潰しを一緒にされても…」
翠星石「花粉もハンマーも遠くまで飛ばした方が勝ちですよね」
雛苺「一緒なの」
ジュン「一緒じゃあないって。と言うか、どう考えても花粉粉砕拳とか蒼星石の嘘だろ…、その場逃れの」
翠星石「な、なんですとーっ!?」
雛苺「蒼星石はヒナ達の誠意に対してウソを教えたの!? 言葉にできぬほどのスゴイ・シツレイなのー!」
真紅「馬鹿な…!? さっきも言ったけど、私はセルフ焼き土下座までしたのよ! それなのに!?」
ジュン「僕もさっき言ったけど、目の前で焼き土下座なんて始められたら迷惑以外の何物でもない」
翠星石「そ、そう言えば…蒼星石は最初は翠星石達とは他人のフリして立ち去ろうとしていたかも…」
ジュン「ほら見ろ。やっぱりか。しかし、蒼星石も他人のフリとは無茶をする」
真紅「まあ、誰がどう見ても…私達が並んでいたら同類だものね」
翠星石「薔薇乙女の統一感あるデザインセンスは万人に美感を想起させるお父様の才気煥発の極みですぅ」
雛苺「翠星石ぃ! 蒼星石に確認なのよ! 嘘つきは水銀燈の始まりなのよ!」
真紅「信じて土下座した私達にドン引きして、適当な嘘で誤魔化すなんて…」
雛苺「うォおん! う、嘘つき乙女は舌を抜いてやるのー! 抜いた舌は塩をふってタン塩にして焼いてやるの!」
翠星石「落ち着けですチビ苺! まだ蒼星石が嘘つきと決まったわけではないですよ!」
真紅「しかし、確かめる必要はある」
翠星石「分かってるですってば、すぐにスィドリームを薔薇屋敷にまで飛ばして蒼星石を呼び出すです…!」
金糸雀「フフ…、その必要はないかしら」ドジャァアアーン
ジュン「な、なにぃッ!? お前は…いつの間に!」
雛苺「ああっ!? あ、あなたは!?」
翠星石「そんな…!? どうして貴様がここにです?」
真紅「悲しい時にもリアルガチで木の葉と踊る女! 略して、かなりあパイセン(先輩)!!」
金糸雀「何その変なフルネーム!? しかもパイセンて…!」
翠星石「冗談の通じねえカナチビですねぇ」
金糸雀「冗談が分かりにくすぎるかしら。木の葉と踊る女なんて、サンドマンの姉の謎のキャラ説明だし…」
真紅「それで何の用? 頭脳指数の低いあなたには分からないでしょうけど、私達は花粉粉砕で忙しい」
金糸雀「フ…。話はさっきから聞かせてもらっていたから事情は全て分かっているわ」
翠星石「全てですと~?」
金糸雀「ええ! 乙女番長のカナにかかれば僅かな情報で全ての事態を察するのも朝飯前!」
雛苺「かなりあに『全て分かってます』って言われてもウコン臭いのよね」
ジュン「胡散臭い、な」
真紅「そうね。『全て』ってだけじゃあ、今一つピンとこないわ。薔薇で例えてよ、薔薇で」
金糸雀「あいえぇッ!? 薔薇で例え? いきなりナンデ!?」
翠星石「いいから早く例えろですぅ。それともカナチビには難しすぎるお題だったですか」
雛苺「しょせん、かなりあは口だけ番長なのよね」
金糸雀「そ、そんなことないかしら!」
真紅「じゃあ、早く例えなさい。ほら、早くしなさいよ」
金糸雀「えーと、そりゃあ…薔薇で言えば百万本の薔薇の花束ぐらいは分かってるかしら」
真紅「本数じゃねぇのだわ! 品種で言いなさい!」
金糸雀「えええっ!? 品種で?」
翠星石「んなの、そうに決まってるだろーがですぅ!」
雛苺「いきなり百万本とか言われても意味不明すぎるのよ」
ジュン「これだから金糸雀は…」
金糸雀「ジュ、ジュンまで…っ!?」ガビーン
真紅「はい、やり直し。薔薇で例えてワンモア」
金糸雀「えーと、薔薇で言うならカナの理解度は…ランタン・シトロイユ(※)ぐらいかしら」
※花弁の外側は黄色、内側はピンクがかったオレンジのバイカラーで人気のある品種。
翠星石「おー、ランタン・シトロイユいいですねえ! 分かりやすいですぅ」
真紅「…え、何? クリムゾン・グローリー(※)とか出てこないの何でなの?」
※歴史ある赤薔薇の元祖的存在な品種。ミニ四駆ではない。
金糸雀「クリムゾンよりランタンの方がカナの好みで…」
真紅「このドサンピンが!」ドゲシッ
金糸雀「がぁあああっ! 痛っいィイ~! スネ! スネを蹴るのは無しかしら真紅ゥ」
真紅「私はアカだから。ね? 赤いアイツで例えてくれないと、やっぱ駄目だわ」
金糸雀「は、はい…。ごめんなさい」
真紅「金糸雀あなたイエローの方が良かった? カレーの染みがついたみたいに黄ばんだのが?」
金糸雀「アカでいいかしら…」
雛苺「まったくヒナ達は漫才やってるんじゃあないの! しっかりしてなのよね、かなりあ」
金糸雀「はい…。さっきから何だか本当にごめんなさいかしら」
翠星石「それじゃあ、ようやく本題に入るですが、蒼星石を呼ぶ必要がないとはどういう意味ですぅ?」
金糸雀「…蒼星石はもう既に薔薇屋敷を旅立っているからよ」
真紅「旅立っている!? どういう意味?」
金糸雀「カナの広大な情報網によれば、蒼星石は今、結菱一葉と沖縄でバカンス! よって、薔薇屋敷は無人!」
翠星石「なんですとーっ!? バカンス・イン・O☆KI☆NA☆WAーーーーッ!?」
雛苺「あややややや…! 沖縄なんてうらやまし過ぎて、ヒナ失禁が止まらない―!」ジョビジョバァー
ジュン「……」←屋外なので雛苺が失禁しても部屋が汚れないため特に注意しない
真紅「な、何故に沖縄!?」
金糸雀「それは勿論、花粉との戦いから逃れるため」
ジュン「そう言えば、沖縄には杉の木とか無いから花粉症の症状が出にくいと聞いたことがある」
真紅「馬鹿な…。私達には花粉との戦いを強いておきながら、蒼星石本人は沖縄へ高飛び!?」
雛苺「悪なの! いや、それこそ悪よりもっと悪い最悪なのよー!」ジョビジョバァー
真紅「邪悪! 極悪! 信じられないほどの悪逆の徒だわ蒼星石!」
翠星石「うわぁあん! 蒼星石なんて大っ嫌いですぅ! どっか行っちまえですゥーーー!」
金糸雀「いや、だから蒼星石は沖縄に行っちゃってるかしら翠星石」
翠星石「おぉん! あおォん! うひぃ、うひひーーっ! うぉえ! オエェ!」
ジュン「ひっでえ泣き方…。後半、えづいているじゃあないか」
金糸雀「信じていた蒼星石が沖縄バカンスにドハマリしてドヤ顔ピースビデオレター送ってくるのも時間の問題かしら」
翠星石「オェエエエエッ!」びちびちびち
真紅「あっ! 翠星石がゲロった!」
ジュン「ゲロ吐くほどショックだったのか。匂い立つな
- 関連記事
-
- :-:2017/04/04(火) 19:39:16
- ゲロだらけの日常回だったな(白目)
- :-:2017/04/04(火) 19:50:33
- 金糸雀からかなりあに格下g…モデルチェンジとは
- :-:2017/04/04(火) 20:05:08
- 相変わらず酷い扱いだったけどカナが水銀をまた姉ちゃん様と呼んでくれただけで…カナ銀要素があるだけで…
いつも大変お世話になっております…
- :-:2017/04/04(火) 20:21:10
- 登場ドール紹介がやっつけすぎやしませんかねぇ…。
特に金…金?
あ、金バエ?
- :-:2017/04/04(火) 23:16:29
- ノストラ乙女! カナリアダムスの大予言を僅か数行で終わらせるなんてコイツはメチャ許せんかしらぁーーッ!!
ドールズ紹介されてて出て来ない姉妹までいる始末なのに…