ケネディ宇宙センターに展示されているスペースシャトル、アトランティス号の展示品から、耐熱タイルが何者かによって盗みだされました。かつてケネディ宇宙センターでスペースシャトル計画に関わっていた写真家Brandon Thonen氏によると、そのタイルは試験用に製造されたもので、実際にシャトルに使用されたことはないとのこと。
ケネディ宇宙センターでは、宇宙に関する教養を広めるため約15センチ角の耐熱タイルを展示していました。盗まれたタイルはプレキシガラス製のケースに収められた状態で展示していたとのことです。
ケネディ宇宙センターで案内人を務めるJean Wright氏はいつもどおり、館内で来場者を引き連れながらスペースシャトルの歴史を説明していました。耐熱タイルの説明は数分間で、すぐに次のセクションへと移動したにも関わらず、直後に耐熱タイルがなくなっていることがわかりました。Wright氏は、盗難が発覚した直後に自身のFacebookページに次のように書き込んでいます。
私は今日のアトランティス号の展示会で、とても残念な経験をしました!私は盗まれた耐熱タイルの前で10分足らずの解説をしました。耐熱タイルはワゴンの上に展示してあり、来場者との間には3mほどの距離があり私も説明をしながらときどきその耐熱タイルを目で見ていました。
しかし、次のセクションへと行こうとしたとき、ワゴンの周囲に来場者が集まっており、何やら騒ぎになっていたのです。慌てて駆け寄ったときには、もうタイルはなくなっていました。
なんとも大胆な犯行に、誰ひとりとして不審人物を捉えられなかったセンターのセキュリティ体制もどうかと思われる事案ですが、実は盗まれたタイルにはシリアル番号が付与されていることがわかっています。Jean Wright氏によるとその番号は"VT70-191***"。下三桁は残念ながら思い出せませんでした。
Brandon Thonen氏はもしこのシリアル番号がついた耐熱タイルがオークションサイトなどで見つかった場合、すぐにThonen氏本人および地元の捜査機関に連絡をするよう呼びかけています。
To all of my #NASASocial #tweeps out there we need your help. Please RT this or do what you can and fee free to DM me for more info! pic.twitter.com/MwFcAlHijk
— Brandon (@hiperfin) 2017年4月10日
なお、掲示板サイトRedditにはすでに耐熱タイルについての書き込みがいくつか見受けられます。しかし、たとえばeBayに出品されているとする投稿は出品日時が盗難発生よりも前であり、ガセネタだと判明しています。また他にも"VO70-191..."と記されたタイルの写真などが投稿されたり、一方で25BTC(ビットコイン:25BTCは約34万円)枚で耐熱タイルが売りに出ているという情報もあるものの、どれも信憑性はいまいち。まだ盗難品そのものは見つかっていない模様です。
ちなみに耐熱タイルのナンバリングは、シリアル番号が"VO"で始まるのが実際にシャトルに貼り付けるために製造されたものであり、"VT"で始まるものはテスト用とのことです。