いけさんフロムエル : 「ＭＩＸ」～もしかするとああ見えて…？疑惑の監督と一番難しいジャンル！！

あだち充のゲッサン連載「ＭＩＸ」第６０回です。

新体制のチームが始動する事になった明青学園。
家で一人になり子供の頃を思い出した投馬だったが、そんな彼が手にしたのは「第６８回全国高校野球選手権大会　明青学園優勝決定試合」のビデオだった。
そんなビデオを再生し、かつての上杉達也の姿を目にしながら成長した投馬。
一方、錦が監督を殴った真相を知った投馬たちだったが、何度立花投馬に投げさせろと頼んでも無視された事が原因だったのだという。
そんな彼の２年間を無駄にさせてしまったと感じる中、悔しい思いをした人が他にもいる事に気付いた立花家だったのだが…！？

野球部に復帰し、大山監督のノックを受けていた錦。
華麗なフィールディングを見せる錦ですけど、彼のポジションはやはりメインキャラとは被らないところなのかな？
今川が一塁、南郷が三塁、駒が右翼となってますけど、内野に入るとすれば二塁もしくはショートでしょうか？
「やっぱりうめえなァ、あいつ」
そんな彼のプレーに喜ぶ投馬たちだが、ここまで勘を取り戻すのに時間もかかったらしい。

「今、何月だと思ってんだ！？」
すでに１１月になっており、とっくに秋季大会も終わってしまったと呆れる大山監督。
投馬たちが散々錦の才能をほめるから大事なところで守備がために使ったのだが、ボロボロこぼして結果チームは敗退する事になったらしい。
いつのまにか新チームの最初の大会を終えてしまった投馬たち。
月刊連載という事を考えると選抜での活躍も描いたら連載期間がかなかり長くなってしまいますし、作者がいつまでも若くない事を考えると少々気になるところですね。

ブランクのせいで結果を出せなかった錦に対し、いきなり期待するのは酷だという走一郎。
敗因はそれだけではないと言う今川だが、肝心のエースもそれなりに期待を裏切ったのだという。
「何か身体が重かったんスよ、夏の暑さには昔から強いんスけどその分の疲れが秋に出るんスかね？」
何やら中年の言い訳みたいな事を言い出した投馬。
どうにもすっきりしない敗因ですけど、何処に負けたのかも明かしていないのは後々の伏線なのかも知れません。

選手に文句を言う監督の姿を見て、自分責任を棚に上げて周りに責任を押し付けていると感じた駒。
「あんな監督じゃとても甲子園なんかにゃ――」
本気か冗談か、監督批判をする駒ですけど、軽口を言えるのは相手が何処か足りない大山監督だからなのは間違いありません。

「監督の悪口は言うな！」
そんな駒の胸ぐらを掴んで文句を言って来た南郷。
大山監督を慕って明青にやって来た南郷ですけど、この夏彼が一番目立ったのは投馬を先発から外して勝負に出た準々決勝で先制となる本塁打を放ったシーンでしょうか？
いずれは走一郎と四番を争う選手になると個人的には期待しているんですけどね。

自分はまだお前が思っているほどの男でも名監督でもないと言い、風邪気味である事から今川に練習メニューを渡して帰宅した大山監督。
そのノートに驚く今川だが、部員一人一人事細かに、それに合わせたメニューが書いてあるのだという。
「もしかするとああ見えて…」
大山監督が本当に凄い監督なのかも知れないと感じ出した今川。
「おれは最初から信じてますよ」
「春夏の父だから」という理由で信じているらしい走一郎ですけど、好きな彼女の父親に媚びを売っている様にしか聞こえません（笑）。

一方、その春夏だが、手の怪我も癒え、真面目に新体操の練習に取り組む事に。
３年生が抜けて随分寂しくなってしまった新体操部だが、春夏が戻ってくれたおかげで見学席は満員なのだという。
そんな先生が言う通り体育館の下の窓から男たちが覗いているのを目にした春夏。
かなり嫌な表情を浮かべる春夏ですけど、この様子だとまた夏になったら野球部に戻ってしまうのかも知れません。

大山監督の別居中の妻である小説家・月影渚の来訪を受けた立花家。
今度短編の高校野球ものを書く事になったという月影渚だが、この話を受けたのは立花兄弟をモデルにすれば何とかいけそうな気がしたからなのだという。
そんな先生がスポーツ物は珍しいと言う音美に対し、月影先生の才能ならジャンルは関係ないと持ち上げて来た編集者。
何でもかんでもホメればいいってもんじゃないと叱咤された担当編集者ですけど、月影渚がどれだけ凄い作家なのかあまり描かれていないのでこのあたりは何とも言えないですね。

「やっぱラブコメかな」
一番難しいジャンルは何かと聞かれ、ラブコメと答えた月影渚。
あれは一見誰にでも書けそうで実は奥が深いのだという。
「ラブコメだけで何十年も生き残ってる作家さんは奇跡だし本当にすごいと思うわ、心から尊敬よ」
「――それを少しくらい話が似てるからといってマンネリだとか、どれもキャラが同じだとかケチをつけるのは大間違いです！」
何と、ラブコメ作家の為に熱弁を振るって来た月影渚。
例によってキャラクターに自分をフォローさせた訳ですけど、最早これがないとあだち充作品ではない気がします（笑）。

肝心の立花兄弟が帰宅した時点で、完全に出来上がっていた月影渚。
春夏の母が小説家である事も知らなかった投馬だが、部で顔を合わせていてもそんな身内の話は聞く機会もなかったか？
そんな投馬を無視して喜んでお酌の相手をする事になった走一郎。
「それにしてもあなた達もツイてないわねェ、よりによってあんな男が監督の時に――」
「いやいや昔から明青は監督に恵まれない事で有名ですから　気にしないでいいですよ春夏ちゃんのお母さん」
母に合わせて大山監督にダメ出しする走一郎ですけど、最初から信じてたんじゃなかったの？（笑）

本当に監督に恵まれていないのかどうか聞かれ、きちんと返答出来なかった投馬。
その大山監督が風邪をひいているのに頑張っている姿を見た春夏だが、単にクロスワードに時間を費やしていただけだった様子。
「とりあえず…信じてついて行くしかないっしょ」
疑問は多いものの、とりうえず大山監督と心中するしかないと考えているらしい投馬。
思えば「タッチ」で甲子園優勝を果たしたのは達也が３年の時に新監督が来た事も大きかった訳ですけど、それを考えると最後まで大山監督のままでは終われないのかも知れません。

秋敗れて選抜がなくなり、新年度まで今いるメンバーで最善を尽くす事になった投馬たち。
夏野くらいしか新年度の新戦力は期待出来ない様な事も言ってましたけど、南郷が大山監督の影響で入って来た様に、夏の投馬の活躍を目にして明青入学を決めた者も出て来るかも知れませんね。

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