アメリカのニューヨーク市ブルックリンを拠点とし、写真家および現代アーティストとして活動するレイチェル・サスマンさんは日本の芸術に触れた際、陶器の修復技法「金継ぎ」を知り、深い感銘を受けた。
割れた陶器を捨てることなく美しく修復し、新たな魅力と寿命を吹き込む金継ぎ法。レイチェルさんはその技術を学び、自らの作品に反映させている。
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金継ぎ(きんつぎ)は、金繕い(きんつくろい)とも言い、陶芸品などの破損時に、漆などで傷を接着したのち金などの金属粉でその跡を装飾する技法の一つだ。
痕跡をあえて際立たせ、無傷の時とはまた異なる趣を楽しむという味わい深い修復法だ。
日本の陶器の修復法に感激したアーティスト
レイチェルさんは以前、日本には割れた陶器を捨てることなく、金粉や糊などで修復する習慣があることを知り、その跡を楽しみながら経年で生じる劣化や傷に誇りを持つ姿勢に感動した。
金継ぎの例
image credit:totenart
そうした時の流れの受け止めかたや、くっきりとした陶器の継ぎ跡、そして不完全の美に触発され、金継ぎの写真作品に取り組むことにした。
道路の金継ぎに挑戦
そこで彼女はその金継ぎを高級な陶器に限らず、もっと日常的な形で表現したいと考え、道路の修復を思いついたという。
金で修復する発想の根本は、割れてしまったものをさらに美しく見せるというものだ。レイチェルさんは道路のひび割れを樹液でできた樹脂で接着し、ブロンズ(青銅)と23.5カラットの金粉を合わせて金継ぎを行った。
image credit:Rachel Sussman via hyperallergic
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金継ぎで古くなった道路や床に新たな意識を
彼女はこの金継ぎを展覧会の会場でも行っており、展示の一環として博物館の床の亀裂も修復している。
image credit:Rachel Sussman via hyperallergic
金継ぎされた大理石の痕跡は、自分たちが気づかないペースでゆっくりと進んでいる自然の過程を気づかせてくれる。
image credit:Rachel Sussman via hyperallergic
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日本の陶器の修復法に巡り合い、古くなったものの中にも美しさを見出し、傷を繕ってはそれなりの魅力を楽しむ考えに触発されたレイチェルさんは、これらの作品について以下のように語る。
ひび割れは注意を必要とする何かを示しています。そして私たちが歩いたり、車を走らせている道路や床は深刻な状態にならない限り見過ごされているのが当たり前です。
それらを金継ぎで装飾するのは、私たちが周辺を新鮮な目で見渡す方法でもあり、忍耐強く支えてくれている彼らをほめたたえる手段でもあるのです。
レイチェル・サスマンさんのその他の作品は公式サイトでチェックだ。
via:laughingsquid、instagram・translated D/ edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
建造物にか
雅ではあるけど安全優先した方が良くないか?
アスファルトはまだ良いとして建物の床は建築物自体の修復した方が良い気が
2. 匿名処理班
粘菌の研究かと思ったら
違った
3. 匿名処理班
道路に金を使うのはもったいない気がするが、大した量じゃないのか
4. 匿名処理班
うん、安全優先した方が良い。
上に乗るのはお茶やご飯じゃないし
5. 匿名処理班
石と金継ぎは相性がよさそうだね
コンクリやアスファルトは金に限らずビビッドカラーでもできそう
6.
7. 匿名処理班
この考え方は間違っていると思う。
元々金継ぎは修理した後に人が口を付けても安全な物やから金が使われたわけであって見た目が大事なものやったら別に高い金を使う必要もないのである。
8. 匿名処理班
途中の写真に金のスライムをべちゃっと落としたみたいなのがあった
ヒビに金色入れたら美しい程度のセンスなのでは?
僕はあれを美しいとは思えない
9. 匿名処理班
趣味の物じゃないのにねぇ・・・。
どう見ても綺麗には見えない。
10.
11. 駄猫ねこ
樹脂で修復した方がええやろね。美的に感化を受けるのはええけど道路に応用するのは…。金継ぎのそもそもは「用の美」で金修復は用の一例でしかないんだから、一例に囚われすぎて根本の「用の美」を見失ったんじゃ本末転倒よ。
12.
13. 匿名処理班
建物とか道路とかはほいほい裏側も下も見れないしなあ
14. 匿名処理班
電気が走ってるみたい
15.
16.
17. 匿名処理班
金継ぎという技術に感銘を受けてしもーた、、
18. 匿名処理班
うるしと金がもったいないからやめれ
19. 匿名処理班
実用面の問題はともかく、個人的には好きだな
20. 匿名処理班
ラッカーとエナメルで良いではありませぬか
21. 匿名処理班
子供の悪戯に見えるのは俺だけだろうか?
22. 匿名処理班
NYでも道路でこぼこ当たり前だし、地震の多い日本人の感覚で気にするほどのもんじゃない
それはともかくいろんな文化が影響しあって今日があるわけで、
またそこからいつか誰かが影響を受けるのかもしれない
23. 匿名処理班
謎のコレジャナイ感
24. 匿名処理班
正直勘違い外国人としか思えん
25. 匿名処理班
アートとしては金を使ったのは良い選択じゃないだろうか。金なら褪色しないし、見た目にもインパクトがある。
問題はその上を人や車が往来するということだ。この補修?が為された道路を通りたいとは思わん。
26. 駄猫ねこ
※7
漆か糊か膠で修復するのが一般的で、金箔はあくまで装飾だしね。件の外人さんは金の美に魅せられて用の美にまで到達してないわな。用の美=侘び寂びでもあるから、仕上げは本来質素な方がええんよ。直したかどうか分からんけど直ってるwww のが最上で、金継ぎは野暮天。
27. 匿名処理班
※1
金でつなぐわけじゃないんやで
修復剤で修復した後、金でそれをなぞって新しい見栄えとするんだよ
28. 匿名処理班
綺麗ではあるけど、地面なんだからすぐに色あせ汚れていく
大理石の床では少しましだけど、逆に石の継ぎ目を目立たせてるような気がするな
壁のタイルなんかでやった方がよかった気がする
29. 匿名処理班
室内のちっちゃいヒビとかならいいかもね
30. 匿名処理班
何か「粋」ではないんだよなあ
ちょっとした良い物を長く大切に使って愛でたいから施すちょっとした道楽だから、いやらしく感じないし
建造物修復の際ちょっとした飾りとしてひっそり金装飾が使われてたりすると「おっ」って思うんだけど
何だろうなこの違いは
31. 匿名処理班
面白いし綺麗だと思うけどねえ
32. 匿名処理班
まだまだ「やってみた」レベルだなあ。
変にスピリチュアルに解釈してるっぽい。
金継ぎはあくまで手段であって目的じゃない。
用の美だ。
それくらいだったら、エポキシ樹脂に顔料入れて研ぎ出した方がよっぽど面白い偶然の美が生まれるんと違うかな。
33. 匿名処理班
金継ぎした後の「跡」を全く想像せずに金継ぎの技法を使ってみました。そう言う試み?
34. 匿名処理班
別に、金継ぎというのは美術品を鑑賞する際の主役じゃないだろ。
割れたままでは用をなさない器の機能を復活させる事によって、
再び「器として鑑賞できる」ようにしたという、その器に対する
所有者の愛着の証しのようなものだと思うなあ。
35. 匿名処理班
tswfg.jpに金継ぎ
つこうた家具やらなんやら
もっと前からあるぞ
36. 匿名処理班
勿体無い!
元の物(茶碗)に価値があるから金継ぎ(修理)する訳であって・・・
亀裂の入った道路、アスファルトに金を流し込むってwww
37. 匿名処理班
道路の方は貧民にほじくり返されそう
38.
39. 匿名処理班
金継ぎをするとしてもまず修復をしてからだよね。
これじゃひび割れが余計に目立つし安全性が気になりすぎる…。
40. 匿名処理班
※7
確かにそうだ
俺が見た金継ぎって当時高級だったガラスの粉を
使ったものであり、今じゃたいした素材じゃない
それでも、その修復方法で生み出された製品はものすごく
繊細で詫び寂びを表すものであり、普段使うものだから
こそ出てくるしっくりした味わいそのものだった
この人の作品はたぶん見た目の華やかさを勘違いしてる
この技術は本来庶民が毎日使うもので出てくる色であり
金なんて今でも庶民が簡単に使えないよ
41.
42. 匿名処理班
雷のような形なら見栄えは結構いいけど、蜘蛛の巣状だとシャーレの中の粘菌に見えてしまうからシンプルな方がよさげだね。
けど一体いくらかかってるんや…
43.
44. 匿名処理班
壁や道路は普通に補修しろよ。危ないだろ。
45. 匿名処理班
「金継ぎ」しないと、バラバラになるものを継いでるから「金継ぎ」なのであって・・
これひび割れたとこに盛ってるだけじゃねぇ?
46.
47. 匿名処理班
なんかちがう
48.
49. 匿名処理班
なんか惜しいなw
50. 匿名処理班
大理石のはいいと思ったが道路の方は粘菌ネットワークみたいだ
アスファルトと金だとバランスも悪いと思うなぁ
51. 匿名処理班
オブジェとして、スマホの割れた液晶でやったら受けたかもなw
52. 匿名処理班
感銘をうけたところまではわかるけど、建築物でやっちゃダメだよさすがに。
安全性に問題なくてもそれはちょっと違うでしょ。
言葉は悪いが、自分の芸術表現のために上っ面だけ真似したみたいでいかがなものかと思う。
53. 匿名処理班
普通に格好いい模様になってる
54. 匿名処理班
面白い試みだとは思うけどやっぱ勿体ないってなっちゃう!
55.
56.
57. 匿名処理班
アメリカならラットロッド・ラットバイク文化があるのにと思ってしまう。
ラットロッドならば、錆びた車体を磨いて使い込んだ茶釜のような風合いにピンストライプとかゴールドレリーフとかさ。
ラットバイクなら、ボロボロハーレーにオイルラインを真鍮のパイプで引き直すとかね。
近年、アメリカのラット文化は美しさを醸すほど昇華されているように思うんだが…
58. 匿名処理班
日本の文化に感銘受けた気持ちは嬉しいのだが
金継ぎって日本人の物を愛着を持って大事にするいわゆるもったいない精神から生まれたものだと思う
その精神性がわからないまま見た目のデザイン性の美しさだけ見ちゃってる気がして残念でならない
59. 匿名処理班
単純にバランスが悪く感じるね。
小さな器だからこそヒビとのバランスが取れる気がするよ。
60. 匿名処理班
道路のヒビを丁寧に金で補修して、どういう意味があるのかな
インパクト重視のただのパフォーマンス?
61. 匿名処理班
スシ、ラーメン、ウマミって連呼して、自分は分かってる人間だと思い込んでる典型的西洋人のカブレと同じ匂いがする。
野暮。
62. 匿名処理班
アスファルトの蜘蛛の巣みたいな模様の写真が奇麗で好き
ネズミ色系に金で日本画の空と雲、黄土色系に金で地と川みたいに見えてて楽しい
63. 匿名処理班
ここのコメント欄を見て思ったのは
世の中心の狭い奴が多いなということ
64. 匿名処理班
安全性やコストを度外視すると、試みは面白いし、日本の美意識を紹介してくれたことには心から感謝したい。
でも、何か違う……
そうじゃないんっすよ……
65. 匿名処理班
なんか、センサーや信号線の配線に使えそうだな。
66.
67. 匿名処理班
日本のように道路を定期的に代える予算は組まれてないので、活用法としては面白い、まあ今はとりあえず身近なもので試してる段階でそのうちに海外独自の手法が生まれるわけだ、ステンドグラスもそうだが海外にも継ぐものは沢山あるしね
68. 匿名処理班
流石に安全性とかの観点から道路や建物はアカンと思う
あるべき手段で直されたものもまた美しいもんだよ