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最新スマホ「Mi 6」は窮地に立つシャオミの起死回生策となるか:山根博士の海外スマホよもやま話 - Engadget 日本版

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最新スマホ「Mi 6」は窮地に立つシャオミの起死回生策となるか:山根博士の海外スマホよもやま話

新興メーカーは復活するのか

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シャオミが新興メーカーとして世界中の話題を一気に集めたのも今となっては昔の話になってしまった。地元である中国国内のスマートフォン販売台数は、ファーウェイだけではなくオッポ(OPPO)やビボ(VIVO)にも抜かれ、トップ5位の座からも滑り落ちている。
2015年には当初の目標年間販売台数の1億台には到達せず、2016年には販売数の発表そのものを取りやめた。

シャオミのオンラインストアで新製品の販売が開始されるや、わずか数分で全量が売切れになる現象も、今となってはときおり見られる程度になってしまった。消費者の興味は今やシャオミだけには向いていないのだ。
自社のファンを育て上げ、最強スペックの新製品に飛びついてもらうというシャオミのビジネスモデルは終わりを迎えつつある。いったいシャオミを取り巻く環境は、どのように変わってしまったのだろうか?



▲シャオミのマスコット「米兎」の子供用ロボット。キャラクターグッズにも手を広げている


2017年4月19日、シャオミは最新のフラッグシップモデル「Mi 6」を発表した。SoCはSnapdragon835、5.15インチのフルHDディスプレイ、RAM6MB、1200万画素のデュアルカメラを搭載し価格は2499元(約4万円)から。過去のMiシリーズ同様、高いコストパフォーマンスは健在だ。
しかしこれほどまでにお買い得な製品であっても、以前ほどの話題を集めることはできていない。

シャオミは創業以来、フラッグシップモデルの価格を1999元(約3万2000円)とし、2000元を切る価格を維持してきた。一方で最新・最高のSoCを採用するなど、スペックは最強レベルの製品を送り出してきたのだ。
つまりシャオミのスマートフォンの最大の特徴は「高スペック・低価格」であり、発表会では大手メーカーのフラッグシップモデルとの比較に大きな注目が集まった。

▲2017年のフラッグシップモデルとなるMi 6


しかし2013年にはより低価格な「RedMi」(紅米)を投入。消費者の関心は799元(約1万3000円)のモデルに一気に集まった。RedMiの人気が急上昇したことからシャオミの販売台数も一気に高まり、翌2014年にはついに中国国内でシェア1位にまで上り詰めた。しかもRedMiの人気は、フラッグシップモデルのMiシリーズの人気を押し上げる効果もあった。

だがここから、シャオミのブランドイメージは年々低下することになる。RedMiは初代モデルから2017年春までに合計12機種が登場し、ほぼ季節ごとに新製品が投入されていった。中には499元(約8000円)という、有名メーカーの製品として破格の500元を切るモデル「RedMi 2A」も登場した。が、この製品はシャオミ=先進性ではなく低価格品というイメージを植えつけてしまった。

ハイエンドのMiシリーズも、2015年1月に投入したMi Noteで年2モデルのフラッグシップ体制を確立しようとした。これはサムスンのGalaxy Noteシリーズの成功にあやかろうとしたものだろう。
しかし同年秋、iPhone 6sやGalaxy Note 5と同じ時期に投入された「Mi 4c」では、Snapdragon808を採用し価格は1299元(2万1000円)とコストパフォーマンスは高いものの、アップル、サムスンのフラッグシップモデルには性能面で引き離されたモデルとなってしまっている。

このMi 4cの投入を、筆者はシャオミの大失敗だと考えている。翌2016年2月の「Mi 5」までのつなぎとして投入したのだろうが、前述したようにiPhoneとGalaxy Noteの発売にかぶっただけではなく、価格とスペックを下げたことで、Miシリーズの製品イメージを大きく崩してしまったからだ。

一方でRedMiシリーズには、2017年になって初音ミクモデルを加えるなど、有名キャラクターとのコラボも行った。シャオミと言えば「米兎」という自社キャラクターがいるが、それには頼らないということは、RedMiの人気にも陰りが出始めているということかもしれない。
実は2016年からは中国国内で芸能人を使うなど、シャオミの広告戦略も大きく変わり始めている。

▲初音ミクモデルのRedMi Note 4X


2016年に入るとベゼルレスで大画面な「Mi MIX」を投入して、久しぶりに大きな話題を集めるものの、量産が難しいためか品切れが続き、また価格が3499元(約54000円)と高価なことから販売数はあまり思わしくなかったようだ。
またこれだけのお金を払うならと、中国の消費者の関心はファーウェイの「Mate9」やオッポの「R9 Plus」に流れてしまった。

なにせファーウェイやオッポの製品なら店舗でもネットでもすぐに購入できる。ベゼルレスのMi MIXの大画面は美しいものの、それをどのように活用するかをシャオミは消費者に伝えきれていない。予約してまで買うほどの製品にはなりえなかったのだ。

▲大画面&ベゼルレスのMi MIXだが、人気は今ひとつ伸び悩んでいる


シャオミのスマートフォンは確かに優れたスペックと価格で大きな魅力を持っていた。だがスペックの先にあるもの、つまり「シャオミのスマートフォンだからこそできること」をメーカー自らが明確に発信できていなかった。

オッポが売れているのはセルフィーと急速充電であり、毎日楽しく写真が撮影でき、電池が切れてもすぐに充電できるという、消費者ニーズに応えた製品だからである。CPUのクロック数やディスプレイの解像度などを、声を高々に訴えなくても売れているのだ。

シャオミもその点にようやく気が付き、Mi 6ではデュアルカメラを使ったボケ味のある写真などのサンプルを多くアピールし、カメラ機能に優れた製品として売り込みをかけている。
だがデュアルカメラはすでに他社から多数のモデルが登場しており、シャオミ以外の製品でも同じ作例は撮ることができる。ましてやカメラをより重視するユーザーなら、ライカという信頼を得たファーウェイのP9やP10を買うだろう。

▲他社がすでに採用しているデュアルカメラでは差別化要素にはならない


しかもオッポやビボがセルフィーをアピールし、ファーウェイもP10では「フロントライカカメラ」を採用するなど、フロントカメラ性能の重要性は急激に高まっている。
だがMi 6のフロントカメラは800万画素止まり。WEBページでもフロントカメラ性能に関してのアピールは無い。フロントカメラの性能面では、Mi 6は他社に大きく後れを取っているのである。

Mi 6が他のスマートフォンよりも勝っているのは一部のスペックのみに過ぎない。その一方で、総合的な使い勝手やユーザーエクスペリエンスがダントツに優れているとは言いがたい。しかも今回は価格が従来モデルより500元高くなっている。

この価格はSnapdragon835を採用したことよりも、美しい仕上げにした本体デザインに相応する値段として、あえて高めに設定したのだろう。今回からは美しいブルーも加わった。しかしシャオミによるとMi 6の予約数のうち半分がブラックで、新色ブルーの人気は残念ながらまだ今ひとつという状況だ。

スペック面では申し分のないシャオミのMi 6だが、販売数を伸ばし、そしてシャオミのイメージを高めるためには、「他社品には不可能なことがMi 6ならできる」という、明確なメッセージを具体的な例としてアピールしていく必要があるだろう。
あるいは写真が美しく撮影できるだけではなく、それをSNSでシェアすることでコミュニケーションが楽しくなる、そこまでの提案がなければ、Mi 6の話題も販売から数か月で消え去ってしまうかもしれない。

▲脱スマホ依存を目指すためにも、スマホ事業の立て直しが必要


シャオミはスマートフォン以外の事業にも積極的に投資を行っている。しかし本来は、本業であり顔でもあるスマートフォン事業が全体をけん引し、スマート家電やIoT製品をペアで投入するしてこそ、新しいサービスの開発も容易になる。
脱スマートフォンを進めようとも、スマートフォン事業あってのシャオミであることは変わりない。Mi 6の売れ行きは、今後のシャオミの全体のビジネス動向を大きく左右するものになるだろう。

関連キーワード: cellphones, mi6, Xiaomi
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