人間の体がデータストレージになるとは、まるでSci-Fi世界のよう。ただそのSFチックな話に、科学者たちはいたって真面目に取り組んでいます。
2011年、ハーバード大学の遺伝学者ジョージ・チャーチ氏が、彼の著書、画像、Javascriptプログラムを分子に書き込み、この構想の先駆者となりました。昨年7月には、Microsoft(マイクロソフト)とワシントン大学の合同チームが、DNAへの200メガバイトのデータ記録に成功しました。今年3月には、ニューヨークゲノムセンターとコロンビア大学の合同チームが、フランス映画とコンピュータウィルス、さらにAmazonギフトカード(50ドル相当)をDNAに書き込むことに成功。なるほど、昨今、DNAに情報を書き込み保存するのは驚くべきことではなくなってきているのでしょう。
そこで、MicrosoftがMicrosoftらしく考えているのが、この技術を商業化すること。ネタ元のMIT Technology ReviewにMicrosoftが語ったところによりますと、データセンター内で10年以内にDNAベースのストレージシステムを実装する計画があるといいます。デバイスが完成すれば、70年代のコピー機くらいの大きさで、商品キャッチコピーは「Your Storage with DNA」なんだとか。また小規模サイズならば、3年以内に商業向けシステムが開始する予定があるともいいます。
DNAにデータを保存すると言われても、フツウの人にはさっぱり。ただ、DNAの仕組みやデータの仕組みをわかっている人ならば納得いく話なんですって。「なるほど、似たような仕組みですね」ってさ。
DNAストレージが一般的になるため、乗り越えねばならぬ1番大きな壁は…、コスト。バイオテック企業illumina(イルミナ)は、ヒトのゲノム価格を10年以内に、1,000ドル(11万円)から100ドル(約1万円)まで下げると発表しました。とはいえフラッシュドライブと比べたら、まだまだ高いわけで。ゲノムの価格をどれだけ早く、安くできるかが、DNAストレージの広まりの鍵となりそうです。Microsoftが商業化に力をいれて取り組むことで、このスピードが早まる可能性は大いにありますね。
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