504 名前:オリーブ香る名無しさん 投稿日:2005/08/23(火) 20:24:06 ID:J+DkNOGb
あんかけスパ好きのおまいらに俺がとっておきの名店を教えてやろう。
それは丸の内、「スパゲッチハウス 里羅」。
スパゲッ「ティ」ではなく「チ」と表記する店には名店が多い、これは俺の持論だが、
この店の何が凄いかというと、営業時間。平日のみ、しかも昼の3時間しか営業しないのだ。
店では、今時どにもないようなクラシカルなコック帽、ノリがばっちり効いたそれを
目深に被る古武士の如き眼光のジジイが一人で鍋を振り、
往年の大女優のような風貌のマダムが店を取り仕切る。
テーブルにつくとすぐに振舞われるスープは、たっぷりの炒めタマネギが入るコンソメ。
このスープから既に黒胡椒がばっちり効いており、スパへの期待は高まるばかりだ。
肝心のスパはと言うと、まず麺は、いつ行ってもアツアツのブリッブリ。しかも油切れが頗る良い。
ソースは、やや酸味がおとなしく、やや塩っぱめの、非常にクリアできっぱりとした、
実にいなせな味わい。タイプとしては敢えて言うなら「そーれ」に近いか。
505 名前:オリーブ香る名無しさん 投稿日:2005/08/23(火) 20:26:06 ID:J+DkNOGb
個人的な好みから言うと、本来はもっとトマトが前面に出たタイプが好きなのだ。
そしてジジイはそのソースをあまりタプーリかけてくれない。
しかしそんな事はどうだっていい、と思わせるのが、そのジジイコックの働きっぷりだ。
狭い店とは言え、料理人はジジイ独り。ジジイは一度に5個も6個もフライパンをあやつり、
ミラカンを、ハムエッグを、ピカタを、そしてまたミラカンを、次々に仕上げていく。
その間にも、スパの大鍋をあおり、天ぷら鍋の火力を細かく調整し、全くその動きたるや風車の如しだ。
しかもコンロ周りには野菜の一切れも卵液の一滴も飛び散ることはなく、
普通ならどれだけ油ハネがあってもおかしくないのに、コックコートは最後まで純白のままだ。
一度あの仕事ぶりを目にすると、ヨコイの職人連中などスローモーションにしか見えなくなる。
このオヤジが心血を注いだソースなら、その一滴すら無駄にするのが憚られるというものだ。
506 名前:オリーブ香る名無しさん 投稿日:2005/08/23(火) 20:27:08 ID:J+DkNOGb
一度、夜遅くその店の前を通りかかった事がある。
店には灯りが点いており、窓から覗き込むと、そこではジジイが黙々と
クリームコロッケやらメンチカツやらミートボールやらを仕込んでいた。
誰に見られるわけでもなかろうに、あのノリの効いたコック帽を被り、白衣はやはり純白であった。
そうやって丁寧に仕込まれたコロッケやら何やらは、どれもハイカラな小味のきいた、
小気味良い逸品ばかり。
あんかけスパ屋にとって最も大事なのは、そういった「洋食屋としての誇り」とでも言うべき
職人魂なのではないかと俺は思う次第だ。
この店を2ちゃんなんぞで紹介するのには躊躇いもあったのだが、なにせジジイは高齢。
いくらパワフルな仕事ぶりとはいえ、いつ引退したっておかしくない。勿論後継者などいない。
貴重な、あまりにも貴重な昭和の灯火が消える前に、心あるあんかけスパファンなら
一度はジジイの獅子奮迅ぶりを網膜に焼付け、その味を舌の記憶として、
後世まで語り継いでいってほしいと思うのだ。
あんかけスパ好きのおまいらに俺がとっておきの名店を教えてやろう。
それは丸の内、「スパゲッチハウス 里羅」。
スパゲッ「ティ」ではなく「チ」と表記する店には名店が多い、これは俺の持論だが、
この店の何が凄いかというと、営業時間。平日のみ、しかも昼の3時間しか営業しないのだ。
店では、今時どにもないようなクラシカルなコック帽、ノリがばっちり効いたそれを
目深に被る古武士の如き眼光のジジイが一人で鍋を振り、
往年の大女優のような風貌のマダムが店を取り仕切る。
テーブルにつくとすぐに振舞われるスープは、たっぷりの炒めタマネギが入るコンソメ。
このスープから既に黒胡椒がばっちり効いており、スパへの期待は高まるばかりだ。
肝心のスパはと言うと、まず麺は、いつ行ってもアツアツのブリッブリ。しかも油切れが頗る良い。
ソースは、やや酸味がおとなしく、やや塩っぱめの、非常にクリアできっぱりとした、
実にいなせな味わい。タイプとしては敢えて言うなら「そーれ」に近いか。
505 名前:オリーブ香る名無しさん 投稿日:2005/08/23(火) 20:26:06 ID:J+DkNOGb
個人的な好みから言うと、本来はもっとトマトが前面に出たタイプが好きなのだ。
そしてジジイはそのソースをあまりタプーリかけてくれない。
しかしそんな事はどうだっていい、と思わせるのが、そのジジイコックの働きっぷりだ。
狭い店とは言え、料理人はジジイ独り。ジジイは一度に5個も6個もフライパンをあやつり、
ミラカンを、ハムエッグを、ピカタを、そしてまたミラカンを、次々に仕上げていく。
その間にも、スパの大鍋をあおり、天ぷら鍋の火力を細かく調整し、全くその動きたるや風車の如しだ。
しかもコンロ周りには野菜の一切れも卵液の一滴も飛び散ることはなく、
普通ならどれだけ油ハネがあってもおかしくないのに、コックコートは最後まで純白のままだ。
一度あの仕事ぶりを目にすると、ヨコイの職人連中などスローモーションにしか見えなくなる。
このオヤジが心血を注いだソースなら、その一滴すら無駄にするのが憚られるというものだ。
506 名前:オリーブ香る名無しさん 投稿日:2005/08/23(火) 20:27:08 ID:J+DkNOGb
一度、夜遅くその店の前を通りかかった事がある。
店には灯りが点いており、窓から覗き込むと、そこではジジイが黙々と
クリームコロッケやらメンチカツやらミートボールやらを仕込んでいた。
誰に見られるわけでもなかろうに、あのノリの効いたコック帽を被り、白衣はやはり純白であった。
そうやって丁寧に仕込まれたコロッケやら何やらは、どれもハイカラな小味のきいた、
小気味良い逸品ばかり。
あんかけスパ屋にとって最も大事なのは、そういった「洋食屋としての誇り」とでも言うべき
職人魂なのではないかと俺は思う次第だ。
この店を2ちゃんなんぞで紹介するのには躊躇いもあったのだが、なにせジジイは高齢。
いくらパワフルな仕事ぶりとはいえ、いつ引退したっておかしくない。勿論後継者などいない。
貴重な、あまりにも貴重な昭和の灯火が消える前に、心あるあんかけスパファンなら
一度はジジイの獅子奮迅ぶりを網膜に焼付け、その味を舌の記憶として、
後世まで語り継いでいってほしいと思うのだ。