今年も続々と新種発見が相次いでいるようだ。魔法使いの帽子のようなクモから生殖器を4本の持つヤスデまで、2017年度に発見された新種トップ10をご紹介しよう。なお本リストはニューヨーク州立大学の研究者がまとめたものだ。
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1. ハリー・ポッターの蜘蛛
エリオヴィクシア・グリフィンドリ(Eriovixia gryffindori)
インド、カルナータカ州西ガーツで発見。まるで魔法使いの帽子のような姿をしており、その名は『ハリー・ポッター』シリーズに登場するホグワーツ魔法魔術学校の創立者の1人、ゴドリック・グリフィンドールにちなむ(作者のJ・K・ローリングも歓迎のツイートをしている)。
体長7ミリ、夜行性で、その姿は枯葉に擬態したものだ。
2. 葉っぱのようなキリギリス
エウロフォフィルム・キルキ(Eulophophyllum kirki)
マレーシアで発見されたキリギリスの仲間。名前の由来は、唯一の標本の写真を撮影した写真家ピーター・カーク氏にちなむ。
全長40ミリ、オスは緑色、メスはピンク色の葉っぱのような姿をしている。後ろ足まで葉っぱそっくりだ。
発見地は保護区であるため、標本の採取は禁じられている。将来的に似たような仲間が発見されれば、混乱を引き起こすことだろう。
3. 雑食性のネズミ
グラキリムス・ラディクス(Gracilimus radix)
インドネシア、スラウェシ島で発見された雑食性のネズミで、植物も動物も食べるために、完全に肉食の近縁種の仲間の中でひときわ異彩を放つ。
ときおり根っこを食べることが名前の由来である(radixはラテン語で根を意味する)。最も近いのはスラウェシウォーターラットで、どちらもトガリネズミの仲間だ。小さく細身で、灰色の被毛、丸い耳、まばらに毛が生えた尻尾が特徴。
4. 414本足で息子スティック4本のヤスデ
イラクメ・トビニ(Illacme tobini)
カリフォルニア州セコイア国立公園の洞窟内で発見。足が414本、息子スティック4本、奇妙な口を持つ。
体は長くシルク状に分泌される毛に覆われ、口の中の孔からは防御機構として成分不明の毒を分泌する。イラクメ・プレニペスという地上最も足の多い動物の親戚であることが判明している。
5. ドラゴンのようなトゲを持つアリ
フェイドレ・ドロゴン(Pheidole drogon)
昆虫サイズのドラゴンのようだ。もちろん名称の由来も、伝説の生き物を連想させるトゲにある。
3D撮像技術で働きアリのトゲの内部を調査したところ、筋肉が詰まっていた。明らかに身を守ることが目的で、このおかげでトゲの少ない仲間よりも頑健な体を手に入れて、大きな頭を支えることができた。
従来、新種は文章に写真やイラストを添えて記載されるのが普通だが、このアリについては3D撮像技術で紹介された。
6. 水玉模様のエイ
ポタモトリゴン・レクス(Potamotrygon rex)
ブラジル、トカンチンス川に生息する水玉模様が特徴の淡水エイ。発見された標本は、全長1,110ミリだが、大きいものなら20キロに達するかもしれない。
トカンチンス川の魚は350種記載されているが、それでも35パーセントだという。
黒あるいは濃い茶色地に明るい黄色やオレンジの斑点があり、その大きさから”キング”と呼ばれる。これほど大きな種が発見されるということは、新熱帯区にはまだまだ知られていない魚が存在するということである。
7. 20センチの毒ムカデ
スコロペンドラ・カタラクタ(Scolopendra cataracta)
両生類的なムカデとして知られており、陸地はおろか、うなぎのように水中も泳ぐことができる。
黒光りする20センチの体には20対の足が生え、毒まで有するこのムカデについて、昆虫学者すら「恐ろしい」と評する。
東南アジアで発見されたこのムカデの名はラテン語で滝を意味し、夜中に水辺の獲物を求めて彷徨う。岩の下にいるところを発見されたが、すぐさま小川の水中の岩陰まで逃げようとしたそうだ。
熱帯地域には多くのムカデが生息しているが、両生類のような能力は前代未聞である。生息環境は悪化しており、絶滅が危惧される。
8. 切ると血を流すブッシュトマト
ソラヌム・オシクルエントゥム(Solanum ossicruentum)
直径1.5〜2.5センチ。切ると白味を帯びた緑色の果肉が酸化して赤い血を流すという特徴がある。
熟れるにつれて、黄緑から濃い緑、茶色へと変色しつつ、骨のように硬くなる。おそらく受粉はミツバチが行い、トゲで動物の被毛に付着して運ばれるのだと思われる。
新種とされるが、実はソラヌム・ディオイクムの仲間として50年前から存在自体は知られていた。
9. 悪魔のラン
テリポゴン・ディアボリクス(Telipogon diabolicus)
雄しべと雌しべを融合させた生殖器官を持ち、悪魔の頭そっくりの部分がある。絶滅危惧種であり、コロンビア南部でしか発見されていない。
着生植物であり、他の植物の上で成長する。繁殖地はたった一ヶ所しか知られていないが、道路の再建計画があり危機にさらされている。
コロンビアでは3,600種のランが知られており、きっとまだ新しい種があることだろう。
10. 深海のチュロス
クセノトゥルベラ・チュロ(Xenoturbella churro)
スペインのチュロスにちなむ名が授けられた奇妙なワーム。3,658メートルの深海で発見され、我々の最初期の祖先である可能性も指摘されている。
カリフォルニア沿岸の熱水噴出口や鯨の死体の上で見られる扁虫状の動物の仲間である。遺伝子解析からは進化樹の根元に位置することが判明している。
つまり我々の最も古いご先祖様の1種ということだ。長さは10センチほどで、カリフォルニア湾の深く冷たい海の底で発見された。
via:From a spider that looks like a wizard's hat to a bug with FOUR penises: Scientists reveal the top 10 new species of 2017/ translated hiroching / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
精巧に擬態した虫なんか見ると、神様がデザインしたんじゃないかと思いたくなる
2. 匿名処理班
5のアリ、トゲが動くんだろうか?でも甲殻に関節らしきものは無いし…足の筋肉の付け根がトゲの中とかかな?
10のワームは…本当にワーム?!ただの継ぎ目のある袋じゃないの?
3. 匿名処理班
悪魔のラン、面白い☻
4. 匿名処理班
ムカデで死んだ
5. 匿名処理班
こういう意見を書くと、叩かれる可能性が増える事を承知で書く
2番のキリギリスは、本当に凄まじ過ぎると思う
いったいどうしてこれが「自然に進化した結果」だというのか?
創造主さん達、仕事し過ぎだろう?芸術的過ぎるだろう?と
勿論、これらの生き物は昔から地球に居た可能性も多いと思う
(地元の人は知っていたけど、学会では知られていないとかね)
でも、もしかすると、地球上では年に数種類くらいは
新しい生物も生まれているんじゃないかと、最近は思う様になった
とにかく創造主さん達、グッジョブ!
6. 匿名処理班
古いご先祖というよりは古くに袂を分かった最も遠い親戚かもね
(彼らは彼らの独自の世代交代をしてきたので)
7. 匿名処理班
一節に一対の足がムカデで二対がヤスデで4.はヤスデ?
8. 匿名処理班
4はムカデじゃなくてヤスデじゃないの?
9. 匿名処理班
発見に次ぐ発見は心躍るのだけれど、その影で伐採や公害によって人知れず消えていくまだ見ぬ種類の生物も数えきれないほどいるのだろうと思うと暗澹たる気持ちになる
誰にも知られずに消えていくのか
10. 匿名処理班
息子スティック4本
11. 匿名処理班
(言えない…みんなが生命の神秘に心打たれている中、イメクラ・プロペニスって読み間違えていた自分がいるなんて言えない…)
12. 匿名処理班
水陸両用で毒もある巨大ムカデって
次のB級映画のネタは決まりだな。
アナコンダよりエグイの出来そう。
こんなバケモノこりごりだ!
俺は先に行かせてもらうぜ!
13. 匿名処理班
5はワレカラがアリ化したように見える・・・
14. 匿名処理班
あの色だと、チュロスというかアレに見えるんだけど
15. 匿名処理班
2018年度トップ10にサザエは入るのだろうか
16. 匿名処理班
どれもすごいけど、ムカデは実際見たら絶叫もんだね。。。
17. 匿名処理班
キルキの葉っぱ感すごすぎる…自然と進化の神秘…
18. 匿名処理班
7は「水陸両用の毒ムカデ」の方がインパクトあって強そう
こういうの怖さとかっこよさでほんと痺れる
19. 匿名処理班
息子スティックがどうとかいうから、
>イラクメ・プレニペス
から、あの単語が見えてしまったじゃないか。
20.
21. 匿名処理班
米9
何で人災限定なの
22. 匿名処理班
水陸両用のムカデとかヤバいな…
23. 匿名処理班
深海のチュロス…
二つ目の写真は萎んだラグビーボールの様だ