義肢はその起源から美しく、かっこいいものなんです。
義肢はもともと怪我や病気で体の一部を失ってしまった人の機能を助けるあくまで補助的なものというイメージがありました。しかし近年、技術の進歩や、3Dプリンターの登場などで、美しく、機能的で、障害を補助するどころか、本来の人間の機能を拡張するほどの義肢が制作されています。人工知能を備えた義手や、筋電義手、アメコミヒーローをモチーフにした子供用義手など、義肢を使うことがカッコよく思われ、誰もが身体機能拡張のために義肢を使う日もそう遠くないのです。
そんな発展著しい義肢ですが、その歴史は非常に古く、紀元前から使用されていたことがわかっています。そして驚くべきことに、義肢が誕生した当初から、安易なものなどではなく、精巧、かつ見た目に細心の注意を払って作られた工芸品とも言えるクオリティを持っていたのです。
世界最古の義肢として知られているのが「グレヴィル・チェスターの偉大なつま先(The Greville Chester Great Toe)」と呼ばれる木製の足の親指の義足です。古代エジプト人が紀元前1000年前に使っていたとされ、17年前にエジプトの都市ルクソールの、西に位置するシェイク・アブデル・クルナの埋葬室とされる荒らされた墓から発見されています。現在、最新の技術を使った最古の義足の再検証が行われているのですが、驚くべき事実が明らかになってきているようです。
スイスのバーゼル大学とチューリッヒ大学の合同研究チームによって実施されている、義足、さらには発見された場所の再鑑定によれば、この義足はエジプトの神官の娘のものだったようです。非常に質が高く、職人技が光る義足のクオリティから神官は高い地位を持っていたことが予想されます。
研究者たちは