ファーウェイMateBook Xレビュー。Uプロセッサだけどファンレスのスゴイ奴。第2世代で何が変わった?
MateBook E もあわせて実機で確認
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ファーウェイMateBook Xレビュー。Uプロセッサだけどファンレスのスゴイ奴。第2世代で何が変わった?
ファーウェイの日本法人ファーウェイ・ジャパン(華為技術日本株式会社、以下合わせてファーウェイ)は、東京都内で記者会見を開催し、軽量Windowsノート HUAWEI MateBook X と2-in-1モデル HUAWEI MateBook Eの2製品を発表した。すでにグローバルでは発表済みだが、日本市場への投入発表となる。
MateBook XとMateBook Eは、昨年の初代MateBookに次ぐ第2世代の製品にあたる。このため各部がブラッシュアップされており、より実用的なPCに強化されたことが大きな特徴だ。
MateBook XとMateBook Eの実機を使い、ファーストインプレッションとして両製品の特徴を紹介していきたい。
今回はMateBook Dの日本市場投入はなし、モバイル向けのMateBook XとMateBook Eが投入
ファーウェイは今回国内発表された MateBook X と MateBook E に加え、実はグローバル向けに MateBook Dという15.6型液晶搭載の製品も用意していたが、今回は日本向けには投入されない。
MateBook Dは15.6型FHDディスプレイ、第7世代Core、GeForce 940MXを搭載可能というスペックで、どちらかと言えばモバイルというよりはメインストリーム向けの製品だ。ただこの15.6型の市場は、日本ではNEC PC、富士通、東芝と言ったローカルPCメーカーが非常に強く、価格競争も激しい。参入はほぼ体力勝負のようなところがあるため、あえて見送ったのだろう。
それに対してMateBook XやMateBook Eは13型級の製品で、いわゆるモバイル向けとなる。ファーウェイのブランドイメージが、スマートフォンやタブレットといったモバイルの会社であるのは異論がないだろう。そうしたブランドイメージに近い製品にフォーカスしたい意向と考えられる。
MateBook Eは初代MateBookからの正常進化ながら、カバーキーボードの使い勝手は大幅改善
MateBook Eはいわゆる2-in-1型デバイスで、キーボードを脱着してタブレットとしても使えるし、キーボードを組み合わせることでノートPC的にも使える2面性を持った製品だ。昨年発売された初代MateBookの直接の後継となる製品で、シンプルに言えば初代MateBookの改良版とも言うことができるだろう。
このため、初代MateBookで弱点とされてきた部分が、MateBook Eでは改善されているのが大きな特徴と言える。スペックだが、CPUは第7世代Coreプロセッサ(Uプロセッサ)で、メモリは4/8GB、128/256GB SSDのストレージ、12型2K(2,160x1,440ドット)IPS液晶、本体の重量は640g、キーボード込みで1.1kgとなる。
MateBook E 底面
MateBook E の上面。電源スイッチがある。
左側面にはヘッドホンジャック。
MateBook E 右側面。USB Type-C端子(ACアダプタ端子兼用)と指紋センサがある。
最大の改善点はキーボードだ。初代MateBookのキーボードは、キーストロークなどに大きな不満は感じなかったものの、本体カバーにもなるカバーキーボードの角度が2段階でしか変えられない弱点があった。
しかし新しいMateBook Eでは、カバーキーボードの本体裏面に来る場所にシャフトが入っており、これを利用してスタンドを折り曲げることで、最大160度程度までユーザーの好みに変更しながら使えるようになった。
2段階でも実用上は大きな問題は無いと思うのだが、部屋によって蛍光灯の位置が悪かったりすると、どちらの角度でもディスプレイに映り込んでしまって見づらいことが無いわけでは無かった。今回は160度程度までは自由に角度が変えられるため、そうした環境でも快適に使える。
MateBook E のカバーキーボード。
中央のシャフトで最大160度程度まで無段階に調整できる。
角度を調整したところ。
MateBook E のポゴピン(カバーキーボード接続端子)
初代 MateBook のポゴピン。
また非常に細かい変更点として、カバーキーボードのボゴピンが初代MateBookでは7ピンだったのを、MateBook Eでは3ピンに減らし、その代わりとして左右にマグネットを入れている。
これによりキーボードの脱着、特に装着時に特に何も考えなくてもカチッとはまるようになっており、より快適性が向上している(逆に言えば、初代MateBookのキーボードはMateBook Eに使い回すことはできない)。
MateBook Xは明らかに「あの人」対抗。ディスプレイ、指紋センサー、CPUなどに強み
MateBook Xは、13型2K(2,160x1440ドット)のIPS液晶ディスプレイを搭載しつつ、薄さ12.5mmで、重量は1.05kgというシン&ライトなクラムシェル型PCだ。MateBook Eとは異なり、タッチもペンも搭載しない純粋なクラムシェル型ノートPCとなる。
キーボードとタッチパッド。今回試用したのは英語キーボードのグローバル版。
USB Type-C端子は左右両側にあるが、充電できるのは左側だけ。右につなぐとこの表示。
ま、ぶっちゃけて言えば、明らかに"あの人"を意識した製品と言える。"あの人"とは、筆者が言うまでもなく読者もおわかりだと思うが、AppleのMacBookシリーズだ。AppleのMacBookシリーズは、日本市場を除くグローバルなモバイルPC市場では、明らかにトレンドセッターであり、各社とも対抗する製品をリリースしている現状だ。このMateBook Xも明らかにそれを意識した製品だと言える。
しかし、単なる MacBookのWindows版クローンかと言えばそうではない。MacBookと比較して明らかに上回っていると感じる部分が3つほどある。それがディスプレイサイズ、指紋センサー、CPUの3つだ。
狭額縁の MateBook X
ディスプレイはMacBookが12型であるのに対して、MateBook Xは13型と1インチ分だけ大きくなっている。画面サイズは1インチ大きいのに、MateBook Xの本体サイズはMacBookよりもやや大きい程度に収まっている。
MateBook Xは 286 x 211 x 12.5mmで、MacBookの 280.5 x 196.5 x 13.1mmと比較すると幅が約5.5mm、奥行きが約15mm 程度大きい。若干大きな本体で1インチ広いディスプレイを搭載できたことには、いわゆる狭額縁液晶の採用も貢献している。画面は13型なのに本体は12型級という言い方はできるだろう(ただし、重量はMacBookが920gなのに対して、MateBook Xは1.05kgと130gほど重い)。
指紋センサを兼ねる電源ボタン。
もう1つの強みは、指紋認証センサーが電源ボタンに内蔵されていることだ。電源ボタンを押せばスリープからの復帰と、Windows Helloを利用したユーザー認証がほぼ同時に行われ、すぐにログインできる。
Windowsプラットフォームでは、パスワードを入れてログインするのはもはや時代遅れ。しかもMateBook Xの場合には電源ボタンを押すだけでログインまで出来てしまうのだからさらに便利だ。
処理能力の高いUプロセッサ採用ながらファンレスを実現
そして何よりも、MacBookのCPUがIntelの「Yプロセッサ」に区分されるCoreプロセッサであるのに対して、MateBook XではUプロセッサという上位のCoreプロセッサを採用している。YプロセッサとUプロセッサの違いは、難しく言うとTDP(Thermal Design Power)と呼ばれるCPUの消費電力の上限が異なっている。このTDPの数字が大きければ大きいほど、CPUはより高いクロック周波数で動作することが可能で、より高い性能を発揮することができる(自動車のエンジンの回転数みたいなものだと思えばよい、よりアクセルを踏んで回せるというイメージだ)。
YプロセッサはTDPが4.5Wに設定されており、UプロセッサはTDP 15Wになっているので、それだけ高いクロック周波数に設定することができる。つまり先ほどのエンジンの例で言えば、Uプロセッサを搭載しているMateBookはより回せるエンジンを搭載しているということだ。
ただし、エンジンを回すとそれだけちゃんとラジエターで冷却せねばならないのと同じように、PCでもCPUを高いクロック周波数にすれば発熱が増え、きちんと放熱する必要がある。
放熱が十分でない場合、CPUが自分を守るためにサーマルスロットリングと呼ばれるモードに移行して、勝手にクロック周波数を下げてしまう。従って、PCメーカーはCPUに最大限性能を発揮させるため、熱設計と呼ばれる放熱機構の設計を、CPUのグレードに即して行っている。
TDP 15WのUプロセッサを採用するからには、TDP 4.5WのYプロセッサよりも優れた熱設計つまり放熱能力が必要になるのだ。このため、UプロセッサのノートPCでは一般的にファンを搭載して強制的に冷却する仕様になっているのだが、MateBook Xでは新しい放熱の仕組みを採用してファンレス冷却を実現するのが特徴だ。
放熱の仕組みには「ファーウェイ スペース・クーリング・テクノロジー」というたいそうな名前がつけられている。マーケティング的には宇宙工学で採用されている放熱設計...といった売り文句が並んでいるが、技術的に見れば従来よりも高効率な放熱シートと、熱を下部全体に散らせるヒートパイプの組み合わせでファンレスを実現している。
ここで誰もが、それで本体が熱くならないの?と疑問に思うだろう。実機で確認してみたところ、確かに温度は上がるが、Officeアプリなど普通のアプリを使っている限りは、ほんのり暖かい程度に留まっていた。温度計で測ると人間の体温よりも低い摂氏33.9度。膝上で使っていても、特に難儀はしないだろう。
Officeなどを利用する通常時の底面温度。
では、CPUをフルに使った場合はどうか。実際に、CPUにほぼ100%の負荷をかけるCineBenchを何度も実行したが、当初はCPUのTurbo Boost機能(CPU公式の自動クロックアップ機能)で3.48GHzまで上がった後、徐々に下がって3.1GHz~3.2GHz前後になり、最終的にはCPUの定格である2.9GHzで落ち着いた。それ以下になることはほぼ無かったので、ファンレスの熱設計としては