核で迎撃よりはソフトな感じ。
太陽系には地球や火星のような惑星以外にも小さな惑星が無数にあり、そこから宇宙の歴史がたどれるなど、我々に夢と知見を与えてくれます。でも、それら小惑星たちは一歩間違えば地球にぶつかってくる可能性があるため、脅威でもあります。2013年にはアポロ小惑星群からはぐれた隕石がロシアに落下し、約1,500人が重軽傷を負っていますし、恐竜が絶滅したのも小惑星衝突の影響と言われています。
そこでNASAでは、小惑星が地球に向かってきたら宇宙船を衝突させ、軌道修正させるという技術を研究しています。なんだか『アルマゲドン』みたいですが、この研究はもうさまざまな検討を経ていて、このたびコンセプト段階から晴れて設計段階へと進むことが発表されました。
このミッションは名付けてDART、「移動衝突機」(kinetic impactor)なる宇宙船を小惑星に衝突させ、元の軌道からほんのちょっと動かす実験を行います。DARTとはDouble Asteroid Redirection Test(直訳:二重小惑星進路変更テスト)の略ですが、「小惑星めがけて飛んでいく」ってことで「dart(ダーツ)」とかけてるんでしょうね。『アルマゲドン』では小惑星を核で破壊するというワイルドな技術が使われていましたが、DARTは破壊するんじゃなくて進路を変えるだけという、よりソフトな方法です。
とはいえ、小惑星の軌道を変えるなんて初めての試みになるはずなので、DARTの最初のターゲットは、比較的小さくて地球に衝突する危険性もないとされている小惑星・ディディモスです。ディディモスは直径約780mと約160mの双子の双子の星で、大きい方にディディモスA、小さい方にディディモスBという木で鼻をくくったような名前が付けられています。どちらも岩石でできていて、組成的にもサイズ的にも、地球に衝突しうる多くの小惑星と似ています。今の計画では