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LOOX Uに次ぐギーク向け世界一とは? PCつくって35年、富士通社長のさらなるミッション:ギークな社長インタビュー - Engadget 日本版

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LOOX Uに次ぐギーク向け世界一とは? PCつくって35年、富士通社長のさらなるミッション:ギークな社長インタビュー

特別仕様のUHに関心ある方は

ACCN , @ACCN
9 時間前
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LOOX Uに次ぐギーク向け世界一とは? PCつくって35年、富士通社長のさらなるミッション:ギークな社長インタビュー

LOOX Uに次ぐギーク向け世界一とは? PCつくって35年、富士通社長のさらなるミッション:ギークな社長インタビュー

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いま、世の中はギークで回っている───Engadget 日本版 ACCN編集長がギークな社長を直撃する新コーナー(続くかはわかりません)。記念すべき第1回はコチラの方です。

富士通クライアントコンピューティング株式会社
代表取締役社長
齋藤 邦彰 氏

パソコン業界はず〜っと厳しい?

ACCN 私は今年(2017年)1月、Engadgetにジョインする前はアスキー(現KADOKAWA)で20年以上パソコン雑誌の編集に携わってまいりました。情報収集がネット主体になる過渡期に思考錯誤しながら荒波のなか船を漕いできたという印象ですが、齋藤社長は'81年富士通入社ですよね? 35年もつくり続けるって想像もつきません。どのような信念、苦労があったかお聞かせいただけますか?

齋藤 パソコンの事業というのは、最初から厳しかったですよ。我々がつくるのは(PC/AT)互換機じゃないですか。共通部分が多く、限られた範囲での差別化で競争することになります。この35年間、ず〜っと厳しい環境にいたと思います。富士通だけでなく、業界全体がそうだったでしょう。ただ、その時々は辛いけれども、厳しい環境にいたほうが、ちょっとずつ強くなっていくという実感はありますよね。

ACCN ず〜っとですか? パソコン雑誌の部数は2000年くらいにピークを向かえましたが。

齋藤 ええ、ず〜っとですね。「ナゼこんな辛い環境でやらなくちゃいけないんだ?」という嘆きの連続でしたよ。FMR(富士通独自のPC)からFMVで共通化したと思ったら、コンパック・ショック('92年ころ、コンパック社がリードして起こった互換機の価格破壊。のちHPに吸収合併)で外資系メーカがドドーッと入ってきて......。ただ、厳しい環境のほうが進化するという面もありますよね。生命も真ん中で踏ん反り返っていると進化しないそうじゃないですか。たとえば海底火山の生命体は、ほぼ進化せず残ってますが、そこから追い出された生命体は海水に適応するため進化した。海を追われた生命体は川へ行って真水に適応した。そこでも生きられなかった生命体が陸に上がり、また進化した。常に弱いものが進化しますよね。2000年前後はIT業界全体が景気良く見えたかもしれませんが、我々には特別な時期ではありませんでした。

ACCN それは意外でした。富士通といえば島根工場の見学や子供向けパソコン組み立て教室など、長年に渡り取材させていただきました。


▲島根富士通の工場入り口には、開発者として齋藤社長が携わった数多くの同社製PCが展示されている。

齋藤 島根の工場も中国との競争に晒されたから、あれだけ強くなれたと思っています。パソコンが生まれて以降、"ある程度なんでもできる"から、いかに"なんでも屋"として万能であるかというポイントで進化してきました。しかし、これからはもっと用途のハッキリしたカタチが(パソコンの)進化の道と我々は考えています。

パソコンにしかできないことを求め

ACCN 以前、他媒体のインタビューで"コモデティ化"という言葉を否定されてましたね。ラインアップを見ると、継続してデスクトップにも注力されています。東芝もVAIOもとうにやめてしまったのに続けているのは、どのような理由でしょう。

齋藤 もちろん、お客様からの要望があるからですよ。弊社のオールインワン一体型デスクトップは、最も高いモデル(FH90)が一番売れています。コンシューマー向けのデスクトップPCは、前年比90%前後とシェアは微減していますが、15万円以上のモデルはむしろ伸びています。何のためにパソコンを使う(買う)のかということが、より鮮明になってきた気がしますね。昔はインターネットのためにパソコンを購入していましたが、いまはスマホ=インターネットです。パソコンでしかできないことは何か? イメージしにくい状況になっているとは思いますが、きちんと使い方を提案していくと、高額なデスクトップでも支持していただけるんですね。


▲『FH90』は27型ディスプレーを搭載した同社の一体型ハイエンドモデル。ハイレゾオーディオにも対応している。

ギークあるある"早すぎた"

ACCN 長く開発の現場に身を置かれ、本当にたくさんのモデルを開発されてきたと思います。私自身、パソコン雑誌の編集者として長いお付き合いをさせていただき、富士通の開発陣は絶対ギークだなと常々感じていました(笑)。とくに思い出に残っているのは『LOOX U』です。いま『GPD Pocket』という手のひらマシンが一部で盛り上がっているのですが、10年前に富士通がやっていたなと。それもCPUやメモリーなど時代がからむ要素は別とし、ハードウェアとしては比べ物にならないほど高い水準の完成度で実現していました。


▲のちに回線入りもつくられたLOOX U。コンバーチブル型、タッチ液晶、指紋センサー搭載と10年以上前とは思えない?


▲ギークの間で話題沸騰中のGPD Pocket(クラウドファンディング)。実際、買った人は結構かぶっている気が......。

参考記事:GPD Pocket詳細レビュー(Engadget 日本版)

齋藤 だいたい、やることが早すぎるんですよね(笑)。『UH』シリーズは一見、地味かもしれないですが、LOOX Uなどで培った高度な集積テクノロジーがないと成立しない製品です。"基本の強さ"を重視していて、まず画面を本当に使いやすい大きさにし、そのうえで堅牢性や携帯性を維持できるバランス配分を突き詰めています。そのために普通は使わないような素材(マグネシウムリチウム合金素材)まで使っていますから。同サイズ世界最軽量を実現しましたが、実は開発陣は、さらに軽くしようとしていますよ(笑)。


▲13.3インチで重量約761グラム。いま同社製品のなかで最も人気の高いモデル。

ACCN 世界一って、よく目にした気がします。

齋藤 数えてもらうとわかると思いますが、何かしらで世界一をうたったモデルを過去数多く出してきました。この姿勢は続いています。まだお話しできませんが、企画段階のものがいくつもあるんですよ。結果的に直接セールスにつながらないものがあったとしても、見えないところで"次"につながっていると思うんですよね。世界一を目指して行動するからこそ、見えてくるものといいましょうか。"ギークが喜ぶ世界一"も必ず出しますよ。

ACCN それは楽しみです! LOOX Uといえば、私が好きすぎてカスタマイズモデルを提案し、つくっていただいたことがありました。まだスマホはなく、携帯電話でも1~2モデルくらいしかBluetooth搭載機種がなかった時代に、海外で出ていたLOOX UのBluetooth搭載モデルを出してほしいとワガママを言ったら、実現していただいて(笑)。

齋藤 よく覚えています、パソコンのBluetooth搭載自体が世界初だったんですよ。まだ規格をよく解釈できてなくて、社内で「何のためにやるの?」という声も上がりました(笑)。

ACCN 無茶言いましたが、フタを開けたらギークが飛びつき......記者冥利に尽きるというか、またこういう読者サービスを一緒にやれたらと思うのですが、そうだ、ぜひUHでどうでしょう(笑)。

齋藤 何がいいですかね(笑)。

新しい波に乗る"確固たるハード"戦略

ACCN メディアではVR・MRの情報を扱うことが増えましたが、なかなか日本の家電メーカーはそこにいないというか、トレンドに乗り遅れているような気がします。

齋藤 3Dパソコンもつくりましたが、これも早すぎました(苦笑)。そういうタイミングを図れずにきてしまった点は反省しています。VRはインフラが整いつつありますので、そのうえにどのような特徴を積み上げるかチャレンジしたいです。ただ、我々としては確固たるハード、すなわち王道のものをつくり、そのうえで"使い方"という付加価値をつけていく方向性になります。我々にとってのVR・MR対応は、確固たるハードづくりにあると思っていますので。2Dから3D、VRという流れはごく自然のことです。よりリアルな感覚に近づくということですから、どんどん受け入れられていくと思いますよ。ただ、現時点では「どんなメリットがあるのか」「いままでと何が違うのか」「どういった楽しさがあるのか」「どのような幸せを享受できるのか」というメッセージを発信していくことも重要と考えています。

ACCN この分野ですとコンテンツ、アプリケーションの重要性も日々増していますが、ハードウェアとサービス(アプリやコンテンツ)、どちらに注目されていますか?

齋藤 もちろん両方ですが、ウチのやり甲斐としては、やはりハードづくりです。とくに品質管理の基準を高く設定していますから、VR・MRに必要な確固たるハードとして信頼できるものを提供していきます。フィジカルな落下や振動に対する耐性だけでなく、起動チェックなども徹底していますからね。海外メーカーの水準は20回起動でパスですが、我々の工場では2000回を基準に行なっています。

ACCN 島根工場でテスト風景を目の当たりにし、驚きました。そこまで厳しくしてしまうと、確かに不良率や故障率は下がりそうですが、イノベイティブな製品の開発や、製造スピードとトレードオフにならないのでしょうか?

▲島根の工場では起動チェックのほか落下や加圧による耐性チェックなど、可哀想になるほど過酷な試験が行なわれている。

齋藤 なぜ2000回かというと、大きな企業に2000台以上のパソコンを納品することがあります。もし2000回に1回、起動しないものがあると、毎日1台が起動しないトラブルに見舞われる可能性を意味しますよね。それを我々の水準にはできません。おっしゃる通りイノベーションに対し足かせになることもあります。ただ、毎日やっている作業ですし、日々効率化を突き詰めているので、いまとなっては2000回をクリアするのはそう難しいことではありません。ソリッドなハードをつくりたいというエンジニアも多くいます。完全にカスタマーフォーカスですね。教育機関向けのソリューションとか、AIを組み込んだホームソリューションとか、新しいことをソフトで実現したい、何かのペリフェラルで実現したいというアイデアは非常に面白いですよね。ポイントは、我々はOEMではないので自分たちで企画したものがつくれるということです。台湾系OEMメーカーにも優秀なエンジニアの方はたくさんいます。しかし、依頼元がリクエストしたものしかつくれません。そういう意味では、ウチは活気に溢れています。

コスト意識がスゴいんです

ACCN 製品ごとに工場のラインを組むのは大変そうですが。

齋藤 いえ、ラインに合わせて設計しているのですよ。ご覧になったと思いますが、島根工場では"一個流し"ができます。ひとつずつ別の製品をラインで組み立てることができるのです。それでもタクトタイム(工程作業時間

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