スコットランド、ケアンゴーム山地のベン・マクドゥーイ山には、19世紀から現在まで語り継がれている都市伝説がある。「ビッグ・グレイマン」がこの地に潜んでいるというのだ。
1889年にノーマル・コリー教授が旅した先で、ビッグ・グレイマン(地元ではFearlas Morと呼ばれている)の体験談を語ったことがきっかけで、この都市伝説は長いこと広く知られた伝承となった。
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The Big Grey Man of Ben MacDhui
ノーマル・コリー教授の証言
彼は1925年に、ケアンゴーム・クラブでの会合でこの話を繰り返した。
頂上のケルンから霧の中を戻る途中だった。自分の足音以外になにか別の音が聞こえたような気がした。2、3歩進むたびに、ザクザクいう音が聞こえ、誰かがわたしの後をつけて歩いているようだった。その歩幅はわたしのよりも3倍も4倍も長いように思えた。
”こんなことはありえない"わたしは自分に言い聞かせた。耳をすませるとまた音が聞こえたが、霧の中なのでなにも見えない。
そのまま歩き続けると、やはり背後に不気味な足音も聞こえる。その音はついにすぐ後ろに迫り、わたしはいきなり恐怖に苛まれて、一目散に逃げ出した。あっちによろめきこっちによろめきしながら、やみくもに石の道を4、5マイル走り、ロザーマーチャスの森まで下った。
どう思われようといい。だが、ベン・マクドゥーイ山の頂上には、なにか異様なものがいる。ひとりで二度とあそこに戻るつもりはない
分別あるひとりの男性によるこうした証言は、似たような体験をした人々が思い切って口を開いたことで、ビッグ・グレイマン伝説に信憑性を与えた。
のちにアフレック・グレイがこうした体験談を収集してまとめた「The Big Grey Man of Ben Macdhui: Myth or Monster?」という本を発行した。
この中で彼はそれぞれの話の内容だけでなく、考えられる説明を調査して、その出所を理解しようと努めている。
ビッグ・グレイマンに関する体験談
ほとんどの体験談がビッグ・グレイマンの存在や奇妙な足音を感じているだけで、具体的な目撃証言ではない。
多くがビッグ・グレイマンがベン・マクドゥーイ山の斜面をさまよっているのを実際に見たわけではないことは認めている。しかし、こうした話が相変わらず繰り返し主張されているということは、今日でもなお、どこか共感するものがあるということだ。
もし、特に冬期にケアンゴーム山地にあえて足を踏み入れるなら、伝説や神話がさまざまにはびこる古代の風景に気づくことだろう。
ビッグ・グレイマンは本当にいるのか?その正体は?
ビッグ・グレイマンの可能性を説明する多くの説の中で、もっとも有力なものはブロッケン現象だ。
これは、大気の気温逆転(または雲の途切れ)が起きたときだけ、自分の影が雲に投影されて見えるという気象現象だ。
巨大なグレイの影が自分の足元から大気に向かって伸びるとても不気味な現象で、ある一定の状況下では、虹のような丸い光の輪が後光のごとく影の周りに現れることもあるという。
ケアンゴームでこの現象が確実に見られるとは限らない。気象にも左右されるし、雲の上に出られそうなほどの高く険しい崖がこの現象がみられる必要条件だからだ。
ビッグ・グレイマンの話が頻繁に語られるそんな場所のひとつが、ラーチャーズ・クラッグだ。この300メートルの崖は、ラリーグ・グル(ケアンゴームを貫くメインの通り道)への北の玄関口に門番のようにそびえたっていて、このあたりではブロッケン現象が頻繁に見られる可能性が高く、広く知られた存在だ。
もうひとつの説は、科学的な要素があまりなくはっきり定義できないが、グレイマンの話の真髄を表わしていると言えるかもしれない。
ビッグ・グレイマンは、その場所の霊魂を具現化したもの、想像が現実の存在に変わったものだというのだ。
人類の歴史が始まって以来、我々は人間の特徴や姿形をまわりの世界に投影させてきた。初期の信仰から現代の擬人化まで、それはわたしたちが未知のものを表現する助けになってきた。多神教では季節に人格を与えたり、様々なモノに日々の神道の神々に当てはめたりする。だから、山もそうした対象になってもおかしくないのではないか?
感覚の鋭敏さは人それぞれ違う。非常に視力がいい人もいれば、ピンが落ちる音が遠くからでも聞こえる人もいる。このことを心に留めておけば、ほかの人にはほとんどわからない気配を感知することができ、その場所の地霊を感じることができる人がいるというのもありえる話になるだろう。
そうした彼らのケアンゴームの擬人化が、ビッグ・グレイマン神話を作りだしたのではないだろうか?
ベン・マクデゥーイ山は、ケアンゴーム山地最大の山で、イギリスで二番目に高い山だ。巨大な北極圏に接するイギリス諸島の高地の南側から頂上を目指す。
高山植物しか生えない過酷な環境で、頂上に渦巻く雲が何日も山を覆い包むこともある。冬の北の弱い日差しでは、深い峡谷には何週間も日が差し込まない。こんな時期には、なんの特徴もない高原はグレイマン伝説の要素に満ちている。上も下もグレイ一色で、ビッグ・グレイマンにとってうってつけの環境なのだ。
哀れを誘うぐずるような声は弛緩した鼓膜のせいで、その"存在"は、そうしたものへの関心があまりに強くなりがちな己の心が生み出したものにすぎないという。via:biggreyman / blackbeastsandboogeymenなど // translated konohazuku / edited by parumo
わたしには確かなことはわからない。むしろ、昼と夜が交錯する謎めいた黄昏時にわたしと一緒に山に来てみてはどうか。
夜風を顔に感じ、岩の間でとどろく声を聞き、迫りくる嵐の前に飲み込まれていく荒野を見よ。
たとえ神経が鋼のように強く、心はありえないと言うかもしれないが、名も知れぬ恐怖を思い知らされるだろう。
それはまさに、人類が出現したときからつきまとわれてきた未知なものに対する強烈な恐怖なのだ。
ーピーター・デンシャム(1939〜1945年 英国空軍ケアンゴーム救助隊長)
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コメント
1. 匿名処理班
ゴヤの絵くらい圧倒的な巨人!っていうのだと面白いんだけどあり得ないというね。
あ、我が子喰らう奴じゃないよ。
2. 匿名処理班
ググったら案の定ネス湖がめっちゃ近いじゃねえか
3. 匿名処理班
ベン・アフレックに見えて
混乱した。
4. 匿名処理班
科学的証明されたとしても俺はいると信じたいぜ
いないと否定するのは簡単、でもいると思えばこの世には
不思議なことあるんだわなで面白いからな
5. 匿名処理班
高山植物に幻覚作用が有るとかだったり。
6. 匿名処理班
雪山でメタルマッチとパラシュートの紐を持った
野人を見かけたらそれはベアグリルスさんだぞ。
7. ナパチャット
まあDNA鑑定も出来なかった時代ですし
高山なら体毛残ってますし
8. 匿名処理班
ゴリラも嘗てはUMA扱いされていた生物だったよね?
ゴリラが一般的に広く知られる様になったのは、そんなに昔の話ではないと思う
つまり、世の中にUMA(特に大型の霊長類)が存在していても不思議ではないと思う