早売りの時のバレって明日だっけ？

冒頭は回想から。

ビルの言う脱出プラン、ビヨンドを利用する方法について聞くクラピカ。

ビル「ビヨンドを使うには、そもそもビヨンドを拘束室から脱出させる必要がある」

クラピカ「ビヨンドを脱出させるか…」

「簡単に言うが、一筋縄でいくとは思えないな」

「２４時間を通してカメラによる有人監視」

「鋳鉄製の拘束具に重装備の武装兵」

「赤外線センサーにサーモグラフィー…」

「そもそも拘束エリア自体が幾重ものセキュリティゲートを潜らねば入れない機密ゾーンにある」

「保安上の理由から青写真も見ることはできない」

「こう言っては何だが──我々が護衛している王子たちの誰よりも厳重に警備されていると言っていい」

「いったいどうやるつもりだ？」

驚くビル「や、やけに詳しいな」

クラピカ「!」

(そうか…彼は私が十二支んだとは知らない…!)

(この情報──ビルが漏らすとは思えないが 操作型の念獣を想定すれば 今は伏せるべきだろう)

コホン、と咳払いをするクラピカ「あ～いや」

「私の想像だ」

ビル「そうか」

「ここだけの話──ビヨンドの救出には念能力者を使う」

クラピカ「!」

(そうか)

(どんなに厳重な警備も念能力の種類によっては無意味)

ビル「実は仲間の１人に念獣の使い手がいる」

クラピカ「!」

ビル「念獣は種類が多く、今回の寄生型は厄介ではあるがレベルが低い」

「念獣にはランクがあり　念虫　→　念魚　→　念獣　→　念人と続く」

「人に近づくほどレベルが高い、形式としては全て念獣と呼ぶが」

「俺が知ってる、最強の念獣使いはゴリラを具現化する」

ゴレイヌの能力は念獣の上位ランクの「念人」

カストロの劣化コピーとは違い、傷もつくし性交も可能。

放っておけば勝手に繁殖するレベルの精度だと言う。

驚くクラピカ「………!!」

(ゴリラを具現化…!? そんなことが…!)

ナレーション：

一般に、具現化系の能力者が能力を発現するには５年は必要だと言われる

プロハンターライセンスを取得できたクラピカでさえ、鎖の具現化には１年もの歳月を要した。

この１年という数字は統計的には驚くべき数字だが──

クラピカと鎖という物質の相性が良かったこと

イメージ修行に没頭できる環境だったことに加え、

鎖が『無機物』だったことも大きい。

現代科学で『有機物』を創り出すことが不可能なことからも分かるように、無機物と有機物では具現化の難易度が格段に違うと言われる。

まして有機体の集合である『生物』を具現化することは、かのネテロ＝アイザックにも不可能だったのだ。

数十年にも及ぶ修行の末、千手観音を具現化したネテロ。

だがその実体は、関節の一本一本に張り巡らされた糸を持って操る傀儡の木偶に過ぎない。

『所詮は傀儡の型』というメルエムのセリフが重なる。

そう、ネテロが具現化したのは『傀儡人形』であり、『無生物』だったのだ。

世界最高の念能力者の呼び声も高いネテロを以てしても不可能であった”生物”の具現化──

クラピカが仮に生物を──例えば蜘蛛のような小さな生物を具現化しようとしていれば

２０年は必要としたであろう。

自身も血のにじむような修行を重ねたからこそ

クラピカは戦慄した。

冷や汗のクラピカ(ゴリラを…具現化だと…!?)

(いったいどれほどの…!?)

「そ、その者の名前は──…!?」

ビル「お前もハンターなら一度は聞いたことがあるはずだ」

「名前は───」

【1層　ビヨンドの牢】

サッチョウ、カンザイ「ビヨンドとサイユウがゴリラに変化してる!?」

黒い賢人でビヨンドとサイユウを入れ替えたゴレイヌ。

ゴレイヌ「暗黒大陸か──１年ぶりだな」

「もう俺の庭みたいなモンだ」

「俺の言う通りに動いてりゃまず問題はねぇ」

ビヨンド「はい!」

ゴレイヌ「クックック…久々に楽しめそうだな」

■最強の能力者が動き出す──!!

次号、えげつない展開が幕を開ける!!

えげつねぇな