一見したところ、イギリス人とアメリカ人は非常によく似ている。同じ言語を話し、歴史的なつながりもある。しかし長い年月を経て、それぞれの変化があったようで、言葉のアクセントは違うし、文化的な相違も大きくなった。
確かに英語の発音とか言葉の使い方に違いがあるのは我々日本人でもわかるくらいだが、ざっくりみると性質とかにも違いがあるようだ。海外サイトにて10つの違いがまとめられていたので見ていくことにしよう。
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これらの違いはあくまでもざっくりとシニカルに分類したもので、個人的を見るとそうじゃない場合もあることを考慮していただきたい。
またどちらが良くてどちらが悪いという判断を下すものでもない。多様性を知ることで理解を深めていけばいいと思うんだ。
10. イギリス人のお笑いセンスはドライで間接的。アメリカ人は大声で直接的
笑いのセンスは両者でかなり異なる。アメリカ人は繊細なユーモアに慣れていないため、しばしばイギリス人の冗談を理解することができない。
モンティ・パイソンはイギリスの笑いとして代表的なものだが、皮肉が多く、言葉遊びや言外のニュアンスを漂わせるような手法を多用する。間接的な言い回しを使う傾向にあり、また悲観的だ。
一方、アメリカ人の笑いは直接的で、面と向かってはっきりと言う。彼らは考えなくても分かるようなジョークや、はっきり面白いと分かる大騒ぎするようなユーモアを好む。静かに冗談を言うイギリス人とは対照的だ。また一般にポジティブであり、特にコメディでこの傾向を見ることができる。
9. 銃の所持が文化に大きく影響
アメリカ人は銃愛が大きいというイメージがある。一方、イギリスを含むヨーロッパでは、一般にそうした銃への愛好は理解に苦しむところだ。
もちろんアメリカ人の全員が銃を所持しているわけではないし、所持していたとしてもそのほとんどは自衛のためであるが、アメリカが世界有数の銃所持率を誇るのは確かである。
銃規制派は存在するが、完全な禁止を支持するのはごく一部でしかない。アメリカには武力的な革命の歴史があり、憲法が保障する銃所持の権利を多くのアメリカ人が大切に思っている。
イギリス人は銃を所有していないし、銃を持って表を歩くこともない。警察ですら所持しておらず、多くの旅行者が意外に思うところだ。
当然、このことは市民と警察との関係にも影響する。撃たれる心配のない市民はいたずらに警察を恐れない。また、このために信頼関係が形成されやすい。かといってイギリスの治安が良いかと言えばそんなことはない。
アメリカでは市民が銃を所持している可能性があるため、警察は基本的に銃を携帯している。
8. アメリカ人は王室を好まない。イギリス人は王室とその歴史が好き
イギリス人は何も王室を崇拝しているわけではない。必要とあらば批判もするし、ゴシップのネタにすることだってある。しかし歴史や伝統といった側面を超えた、王室に対するある種の敬意を抱いていることも確かだ。数十年にわたってイギリス王朝を支えてきた女王は人々から愛されている。
一方、アメリカでは王室という考えに我慢がならない人が少なからずいる。彼らは政治的王朝といったものを非常に警戒しており、例えばブッシュ、クリントン、あるいはケネディに連なる人物が登場しようものなら、君主制の時代に逆戻りだなどと不快感を表明する傾向にある。
ただし今のアメリカ人はそこまで不合理でもなく、名門出身の候補者であっても自分たちの価値観に近ければ投票するだろう。それでも大きな留保付きだ。アメリカの理念は自由であり、王室は彼らの自由が抑圧されていた時代を思い出させるのである。
7. 歯並びを気にするアメリカ人とそうでもないイギリス人
アメリカのメディアに登場する容姿の悪いイギリス人キャラクターと言えば、歯並びが悪いのが特徴だ。そして、そのイメージはネット上でも定着してしまった。
アメリカ人は中の下クラスの所得層でも子供に歯の矯正を行うため、おしなべて歯並びがいい。一方のイギリス人は歯並びをあまり気にしない。そうしたことが流行りそうな気配はあるが、今のところ笑顔から覗くまっすぐな白い歯にそれほど執着していない。
かといってイギリス人が歯の健康に無頓着ということではない。実際、最近行われた研究によれば、歯の全体的な健康状態についてはイギリス人の方がアメリカ人よりもわずかに良好である。アメリカ人は歯の健康というよりも歯の美しさに重きをおいているようで、カメラに向ける笑顔を特に気にしているということらしい。
6. 冷蔵と常温。卵の保管の違い
卵の保管方法も違うようだ。イギリス人は卵を冷蔵庫に入れない人が多いというが、アメリカ人は必ず冷蔵庫に入れる。
アメリカでは、細菌を除去するために卵を洗う。こうすると、クチクラという天然のコーティングも落ちてしまうため、冷蔵しなければダメになってしまう。
しかしイギリスや大半のヨーロッパではそういった処理を行わない。クチクラ層を落とすことで、かえって細菌が繁殖すると考えているからだ。洗うのは食べる直前である。よってわざわざ電気を使って冷やしておく必要がない。
どちらも一長一短であり、イギリス式だとサルモネラ菌が繁殖するリスクもある。いずれにせよ、使用前にはきちんと洗い、適切な温度で調理することが推奨されているようだ。
5. イギリスで衣類乾燥機を持つ家庭はアメリカの半分
アメリカでは80パーセントの家庭に衣類乾燥機があるが、イギリスではその半分以下だ。雨の多いイギリスであるが、天気はそれほど傍若無人なものではないようだ。
一方、アメリカでは洗濯日和を待って洗濯物を干すことはほとんどなくなってきた。さらに洗濯物を干すという行為自体が社会規範に反するとすら見なされるようになっている。
もちろんアメリカでも洗濯物を干す人はいるし、その方が省エネであると考える人だっている。それどころか、衣類乾燥機が家庭において最も電気を食う機器であることも知っている。それでも相変わらず使用を続けているし、スニーカーもじゃんじゃか洗う。乾燥機を所有しない人ですらコインランドリーを利用するのだ。
4. 飲み物に氷が入っていると入っていないの違い
アメリカならソフトドリンクに氷が入っていなければ苦情ものだろう。おかげでスターバックスですら氷をたっぷり入れている。
こうした習慣はイギリスでは一般的ではない。ソフトドリンクを頼めば、氷が入っていたとしてもちょびっとだけだ。
実はこれ、部分的にはソフトドリンクがアメリカよりも高く、無料のおかわりもないことが原因だ。
イギリス人にとって氷で量を少なくするなど冗談ではないのである。また、お酒においても清涼感を味わうことはそれほど大事ではなく、ビールの中には適温で飲むことを前提としているものもある。
3. アメリカのテレビ番組は直球で直接的
Lying Chef Threatens Gordon Ramsay - Kitchen Nightmares
アメリカのテレビ番組はかなり直接的で、大騒ぎする。アメリカ人は常にドラマティックな状況が続いていることを好み、料理番組ですら緊張感を煽るためにコマーシャルを利用したりする。一般人のホームビデオを流すような番組でも、前代未聞のとんでもない出来事が起きたりする。
しかしイギリスの番組はずっと静かで繊細なものだ。その違いがよく分かるのが、有名シェフのゴードン・ラムゼーが司会を務める『キッチン・ナイトメア』という番組だ。
これは両国で放送されており、出演者や構成は同じなのであるが、トーンやアプローチが異なり、まるで別の番組のような出来となっている。
イギリス版のキッチン・ナイトメアは穏やかかつ控えめで、説明も間接的なものだ。BGMも控えめで、ナレーターは自然ドキュメンタリーのような感じで話す。一方、アメリカ版では劇的なカットが多用され、ラムゼーはほとんど無礼とも思えるほど罵倒したする。彼はアメリカ人の好みに合わせてわざとスタイルを使い分けているのである。
2. アメリカ人はポジティブで理想主義的。イギリス人は悲観主義的
陽気なアメリカ人というイメージがある。何事も前向きに捉える彼らのポジティブさは、ヨーロッパ人にとっては驚きである。
これはアメリカの起業家精神によって培われた態度で、楽観主義がそぐわない状況ですら、楽観さを忘れずにいることができる。
イギリス人は世の中の出来事についてどちらかというと悲観的だ。彼らは悪いものは悪いと捉え、改善も望めないかもしれないという態度をとる。せいぜい徐々に良くなれば御の字と考える。
だが、これは彼らが完全にネガティブということではない。幾多の困難を経て、イギリス人は”スティッフ・アッパー・リップ(かたい上唇)”という態度を身につけた。つまり困難においても動じたりせず、粛々と物事に取り組む態度のことだ。
第二次世界大戦のような最悪の事態でも、彼らが困難に決然と立ち向かうことができたのは、こうした気風あってのことだ。
1. アメリカ人は信心深い。イギリス人はそこまでではない
昔ほどではないとは言え、アメリカでは今でも宗教が広く信仰されている。世論調査では自分がキリスト教徒であると考える人はおよそ75パーセント、他の宗教を信仰していると答えた人は5パーセントであった。無宗教との回答は20パーセントだけだ。こうした数字は、信仰がアメリカ人の生活の大きな部分を占めていることを示している。
イギリスでは宗教はそれほど重要ではなく、多くの人々が無宗教である。複数の国を対象とした最近の調査では、イギリスは宗教性という点で最も低い部類の国であった。宗教を信仰しているという回答は35パーセントで、アメリカに比べるとかなり低い。イギリス人の日常や文化にとって宗教はそれほど重要な地位を占めていないようだ。
via:10 Differences Between Brits and Americans/ translated hiroching / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
日本人はアメリカナイズされてるけど根っこの部分はイギリス寄りかな?
同じ島国同士、似る部分があるのかも。
2. 匿名処理班
意外と分からないことだったから有難い。
しかしイギリスはイギリスでも、スコットランドやウェールズなど解体して調べてみたら、バラバラかもしれないね。
3.
4. 匿名処理班
同じ言語という括りはデカイね
言ってしまえばインドも英語圏だもの
5. 匿名処理班
イギリスの皮肉笑いって何一つ面白くない 笑いでかっこつけすぎの上につまらない
かといってMr.ビーンも面白くないし
バカなこと真剣にやるアメリカの方が面白いと思う
6. 匿名処理班
歴史の長い国では、イギリス的な態度になると思う。コミュニティーのややこしさを歴史の中で体験してきているから万事、間接的で控えめになるのではないか。日本もそう。アメリカのように開けっぴろげでストレートにはいかない。
7. 匿名処理班
いろんな面でイギリスと日本が似ているとは思ってたけど
歯並びもなんだな、意外
8. 匿名処理班
どうやらイギリス人との方が話が合いそうだ
9. 匿名処理班
日本人も、アメリカの日系人とはちょっと気質が違うだろうしな
10. 匿名処理班
だよな日本とイギリスっていろんな部分で似てるんだぜ。
自分は映画が好きなんだけど、日本人は昔から怪談が文化的に定着してるけど、イギリスも同じなんだよ。ホラー映画も結構日本のものと似たテイストのものがある。
また、特撮文化もそう。日本もイギリスもアメリカ映画みたいにお金が掛けられないから、工夫された特撮を多用した映画が多い。サンダーバードや007の映画は日本よりも良く出来てるけど、日本人がどことなく懐かしくなるような特撮映像が多く出てくる。
11. 匿名処理班
階の数え方出ると思ったのに
12. 匿名処理班
イギリスで飲み物に氷を入れないのは過去の酒税と酒税絡みの訴訟が原因です。
客がコップ一杯ごとに酒税を支払っていた時代に隣の客のビールよりも自分のビールの泡の量が多く自分のビール自体の量が減っていたと量と酒税を絡めて客が飲み屋の店主を訴えた訴訟で飲み屋側が敗訴したため、業界全体がビールに泡が残らないように注いだりコップの中に飲み物以外の物が入らないように注意するようになりました。
その慣習が文化として定着したので氷を入れなかったり泡が立ちにくい常温ビールが発展したりしているのです。
13. 匿名処理班
固い上唇という訳にはちょっとウケた。直訳すればそうだけど。
日本で言うなら「歯を食いしばって」が近いと思う。
これがアメリカのイメージだと「俺はやるぜ、俺はやるぜ」と叫びながら頑張るってところかな
14. 匿名処理班
※11
それは文化の違いじゃなく本文にある「言葉の使い方」の方の括りだろね
15. 匿名処理班
007とミッションインポッシブルを比較すると楽しいし、色々感覚がつかめる。ガムシャラに頑張るイーサン、クールに決めるボンド、など。007に出てくるCIA、ミッションインポッシブルにでてくるMI6からも、お互いをどう思っているのか透けて見える。
16.
17.
18.
19.
20. 匿名処理班
土地が広いと直情型、狭いと皮肉型になるイメージ
土地が狭くて直情型だと殺しあいになりそうだし
広くて皮肉型だと少ない人数で力あわせてってむつかしそうだし
21. 匿名処理班
アメリカ人と遊んだら元気貰えそう
22. 匿名処理班
ビル・ブライソンって人が比較本出してるけど いかんせん当人がドジっ子過ぎて比較以前の問題なんだよなぁw
23. 匿名処理班
イギリス人のジョークは言外のニュアンスでぶんなぐるって感じのイメージがある
皮肉った言い回しだけど言ってること自体はめっちゃ単純なイメージ
あくまでイメージ
24. じょん・すみす
信心深さの違いは、信心深い連中が
新大陸に渡ったからではないだろうか?
25. 匿名処理班
うちの部署のやつはどちらも大雑把だった
26. 匿名処理班
知らない事ばかりでおもしろかった。
イギリスの方が好きだな(笑)
27. 匿名処理班
イギリスとアメリカではイギリスに共感するところがあったが、同じ島国というのもあるかな。
あー、ウェールズ行きたいなあ。
28. 匿名処理班
イギリス無宗教多いってマジ?
同志よ。信仰など己の内なる神への小さなキスだけで十分よな
29. 匿名処理班
イギリスの人は言葉の意味をよく咀嚼してから、落ち着いて
なるべく角が立たない様に質問に答える印象がありますね。
そこに、ブリティッシュジョークも含めて質問者のセンスを推し量る感じがします。それが分かると親しみ易いですが、
最初は面食らう事も有ります(笑)
アメリカの人は…すぐ怒る人が多かった(笑)基本的に東洋人があまり好きじゃないんだろうな、って思う。
30. 匿名処理班
王室を支持するのに信心深いわけではない、というのが面白いな。
イギリスっていつもどんより日和な陰気な国ってイメージだったけど、ちょいと興味出てきたな。俺の専門である生態学の大御所が数多く生まれた土地でもあるしな。
31.