特集
2017年7月17日
手品師4人VSおれという図
何らかの分野の専門家に「ちょっと失礼な質問」をぶつけて、全部論破してもらいたい。本当のプロだったら、意外と理路整然と答えてくれると思う。そんな欲望を周りに話していたら、僕の治療院の患者さんの植田麦さん(僕の本業は指圧師です)が「手品師だったら3人くらい用意できるかもしれない」と言ってくれた。なにそれすごい。
植田さん自身も手品愛好家だという。よし、4人の手品師に集団で論破されてみよう。
斎藤充博(さいとうみつひろ)
1982年、栃木県生まれの指圧師です。自分で企画した「下北沢ふしぎ指圧」で施術しています。何をしているときでも「みんなが自分の治療院に来てくれるといいな〜」って思っているのですが、ノイローゼでしょうか。
前の記事:「「私はケンタッキーの横っ面を張り倒したい」ビールが飲めるケンタッキーにて」 人気記事:「女子小学生向けの「写真の撮られ方」をやってみた」 > 個人サイト 下北沢ふしぎ指圧 メンツがすごいまず参加者を紹介したい。いずれも今回僕に失礼な質問をぶつけられるとわかって集まってくれた人々である。
野島伸幸
手品クリエイター。15歳から手品を作成し販売。今でも週に4つくらいは手品を創作する。12時間で94個の手品を創作したことがある。 植田麦
手品愛好家・手品道具収集家。本業は大学教員。上記3人を集めてくれた。今回はオブザーバー参加。 すごい。この肩書きだけを掘り下げるだけで記事になりそうだ。12時間で94個の手品を作るって意味が分からない。
そんな面白いところはすべて切り捨てて、今回の企画はあくまでも論破である。 不安になって植田さんに「企画の趣旨をみんな本当にちゃんと分かっているのか」と念押しした。大丈夫らしい。聞いてもちょっと信じられないのだが、それでは始めたい。 斎藤「手品師って全体的に必要ないことをやっているのはなぜ? タバコを本に貫通させたり、鳩を出したりするのは、意味がない! さあどうだッ!(演技)」
手品の根源的な部分を思いっきり批判したのだが、全員笑い出した。
野島「意味あることって何ですか?」 植田「例えば手をつかわずにハンガーに服をかけるとか。それおもしろい? 便利なだけじゃないですか?」 斎藤「そうそう、そういうことです。ハンガーに服を掛ける手品、いいじゃないですか」 戸崎「意味のあるマジックをやってる人たちっていたんですよ。たとえば、人の心を読んで悩みを当てるとか、天候を変えるとかですね。昔の祈祷師みたいなことです。ある意味今も手品を悪用してやってる人たちもいるんですよ」 斎藤「なるほど。実用だけど、悪用」 戸崎「逆にそうしちゃうと、信じちゃう人たちが多いんですよ。それはやっぱり、僕らは芸能の世界なので、それはよくないよねっていうのが大前提ありますよ」 斎藤「それ、まさにプロ意識じゃないですか……。論破されました」 戸崎「おお。これで論破なんですかね……?」 ちょっと早いかな? でも僕が納得したら論破です。正直、ここまで明快な答えが出てくると思わなかった。手品の現象には意味がない。しかしそこに芸能としての価値があるということだ。 |