現代人は何もかもを知り尽くしたかのように錯覚している。記録もある。法医学的証拠もある。考古学によって過去に遡ることもできる。だが、答えることができない謎が残されているというのが真実なのだ。その謎の1つが、人々の死に関することだ。
ここで紹介する人物たちは、状況からおそらく死んだと推測されている者ばかりだ。しかし確かなことは分からない。もしかしたら、そのとき死んでおらず、もう少し長く生きていたのかもしれない。あるいは今もなおどこかで生きている可能性だってある。
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1. 車内に嘔吐物を残して消えた子役のジョー・ピッチラー
アメリカで子役として活躍したジョー・ピッチラーは、2006年1月に自宅で友人とトランプをしていたとき、まだ歯の矯正をしていた。
それから車で外出した。ある友人は早朝に彼へ電話したそうだが、連絡はつかなかった。7日後、ピッチラーの車が発見。車内は嘔吐物にまみれていたが、彼自身は影も形もなかった。
妙なことに、彼の友人の1人はSNSでピッチラーになりすましている。ピッチラーは薬物を過剰に摂取していたが、その発覚を恐れた友人がどうにか誤魔化そうとしたというのが最も有力な見解だ。
2. フランク・モリスの死はアルカトラズの隠蔽か?
1962年6月、アルカトラズ島から脱獄したとされるフランク・モリスは、映画『アルカトラズからの脱出』のモデルになった人物だ。
刑務所側は海で死亡したと発表しているが、遺体は発見されていない。
仮に生きていれば、脱獄不可能と言われたアルカトラズの伝説が覆ることになるため、当局がそれ以上の調査に乗り気ではなかったのも頷ける。
脱獄は3人組で行われたが、生き残り、そのまま逃亡し続けた可能性が高いのは、頭脳明晰で計画を立案したモリスである。
関連記事:脱獄者はまだどこかで生きているのか?鉄壁の牢獄、アルカトラズ刑務所の脱出にまつわる写真からひも解く事件の真相(1962年)
3. 海で行方不明となったオーストラリア首相
ハロルド・ホルトは、1976年12月において第17代オーストラリア首相を務めていた。世界的な要人でありながら、その日の朝、海へ泳ぎに出かけ、戻ってこなかった。健康上の問題を抱えていたこともあり、おそらくは溺死した可能性が高い。
しかし、これについては陰謀論も囁かれる。曰く、中国のスパイによって誘拐されたというものだ。また、職務に疲れ恋人と一緒にスイスへ逃げたという説もある。
4. アメリア・イアハート。旧日本軍の捕虜に?
アメリア・イアハートは女性として初めて大西洋の単独横断飛行を達成した飛行士だ。だが世界一周飛行に挑み、その途中で機体とナビーゲーターのフレッド・ヌーナンとともに失踪している。海に墜落して沈んだと言われているが、ガードナー島に落ちたという説もある。
捜索からはほとんど何も発見されていない。しかし、いくつかの痕跡から、墜落後に旧日本軍の捕虜になり、そのまま死亡したという憶測も流れたが真相はわかっていない。
5. エジソンはルイ・ル・プランスを殺したのか?
ルイ・ル・プランスは世界で初めて映画を撮影した発明家だ。1890年9月16日、映画のような出来事が起きた。彼は列車に乗り、コンパートメントに荷物を置き、別のコンパートメントに移った。これは仏ディジョン駅での出来事だ。そして列車がパリに到着すると、ル・プランスと荷物は消えていた。
彼には発明品の特許を得るために渡米する予定があった。自殺したり、行方をくらます理由がない。
面白いことに、ル・プランスに代わり特許を取得したのは、あのトーマス・エジソンである。エジソンはこの件に何らかの関わりがあるのだろうか?
6. ヨットとともに消えたコンピューター科学者
1998年にチューリング賞を受賞したジム・グレイは長年マイクロソフト社で働き、さまざまな影響を与えたコンピューター学者である。
多大な業績とは裏腹に、最も世間を騒がせたのは2007年1月28日の失踪事件だろう。当時、彼は母親の遺灰を海にまくためにサンフランシスコの近くをヨットで航海していた。
ヨットにはビーコンが搭載されており、万が一船が沈んだ際は遭難信号が自動的に発せられるようになっていた。航海中のエリアは往来が多い場所だったが、そうした信号の類はキャッチされていない。また彼の姿もヨットの残骸も発見されなかった。
海での失踪であり、また68歳という年齢も考慮され、2012年、正式に死亡宣告された。
7. 隠されたアドルフ・ヒトラーの遺体?
ヒトラーは自殺したとされている。遺体は妻エヴァ・ブラウンとともに地下壕にて発見された。だが、本当にそれは彼の遺体だったのだろうかという陰謀説が今も根強い。
実はヒトラーの遺体はロシア兵によって接収(おそらくネオナチの出現を恐れたのだと思われる)されているため、これについてまた別の憶測が流れている。
1970年、遺体は火葬され、ビーデリッツ川に流された。ロシア古文書保管所はその証拠として顎骨の破片を保管しているが、その真偽については異論のあるところだ。
ヒトラーのものとされる頭蓋骨は女性のものであることが判明しており、しかも顎骨と歯のブリッジが本人のものであると証言したのはヒトラーかかりつけの歯科医である。
関連記事:ヒトラーは生きていた!?ブラジル人の恋人と95歳まで生きていたという証拠の写真が発見される
8. 2週間奇妙な行動をとり失踪したリッチー・エドワーズ
マニック・ストリート・プリーチャーズのギタリスト兼作詞家だった彼には自傷癖があった。1995年1月1日、USツアーのプロモーションに行くはずが姿を消している。
その直前の2週間、彼の銀行口座からは1日に32,000円相当の金額が使われていた。友人に贈り物をして、ホテルへ向かうと、翌朝荷物を置いたままチェックアウトし、1人で車に乗って出発した。
車はセヴァーンビューのサービスステーションで発見された。車内には生きていた痕跡があったため、おそらくは橋から身を投げて命を絶ったのだと推測されている。
しかし、それはあくまで推測に過ぎず、以降も彼を見たという証言が寄せられている。バンドのメンバーは彼の銀行口座をそのまま管理し、生きていた場合に備えてギャラを振り込み続けている。
9. 血まみれの車を残して失踪したルーカン伯爵
第7代ルーカン伯爵、リチャード・ジョン・ビンガムの失踪当時の状況はまさに事実は小説より奇なりといった感がある。
発端は妻のベロニカとの子供の親権争いに敗れたことである。親権を失ったルーカン伯爵は激怒し、妻の監視を行う。
1974年11月に子供たちの子守が家の地下で鉄パイプで殴られて死亡した。さらにベロニカも襲われた。命からがら逃げ出した彼女はなんと犯人がルーカン伯爵であると助けを求めた。
警察が現場に到着したときには、ルーカン伯爵は借りた車で友人宅へと逃走していた。その後彼の姿を見たものはいない。乗り捨てられていた車には血がべっとりと付着していた。ルーカン伯爵の生死は不明である。なお、いずれも未確認であるものの、数100件もの目撃証言が寄せられている。
10. 墓がもぬけの殻だったロシア皇帝アレクサンドル1世
ロシアの皇帝アレクサンドル1世はまんまと自身の死の偽装に成功した、史上最も有名な人物であろう。
彼が戴冠したのは1801年、若干23歳のときである。伝えられるところによると、それほど乗り気ではなかったようだ。何しろ、父親は暗殺され、自身もまたその生涯にわたり何度も命を狙われているのだ。死の直前、親しい友人に退位して、田舎に隠棲すると打ち明けている。
娘が死に、妻もまた病に倒れた。彼女は回復するが、皇帝自身は妻の療養の地として選んだ田舎町でチフスにかかり亡くなった。
しかし、妻が彼との6時間の私的な会話ののちに錯乱状態に陥ったなど、その状況は不自然であった。葬儀は棺を閉じたまま行われ、検死でもはっきりとした結論が出されなかった。さらに、墓を掘り返したところ、中には誰もいなかったのである。
その後、彼はフョードル・クジミッチと名を変えて生きたという都市伝説が伝わっている。
11. メキシコへ行き、消息を絶ったラッパー
カナダ人ラッパーのDYは、今まさにキャリアが開けようとしていた2010年11月18日、行方不明となった。彼は2週間のメキシコ旅行を計画し、そして戻らなかった。
麻薬とギャングがらのトラブルに巻き込まれたのかもしれないが、確かなことは不明だ。確かなのはメキシコへ向かったということだけだ。
DYの兄弟は「目立たないように人生を再出発しようとしているのに、わざわざ探してほしくはないだろう。誰も自分を知らない場所で、その方が幸せに思えたんじゃないかな」と語っている。
一方、DYがヘルズエンエジェルズに関与していたという噂もある。騙されてメキシコに誘い込まれ、そこで殺されたというのが大方の見方だ。
12. 写真ジャーナリスト、シーン・フリン。捕虜となり死亡?
写真ジャーナリストとして前途有望だったシーン・フリン。彼は1970年、カンボジアで仲間のジャーナリスト、ダナ・ストーンとともに共産党のゲリラ(ポルポト派)に誘拐された。彼について確認されているのはここまでだ。捕虜となり死んだと考えられているが、その証拠はない。
2010年、イギリスのチームが彼の死体らしきものを発見したと発表したが、DNA鑑定では本人とは一致しなかった。
フリンの母親リリー・ダミタは息子の捜索に膨大な金と時間を投じたが、結局1984年に断念し、正式に死亡が宣言された。彼女は息子に起きた真実を知ることなく、1994年に亡くなった。
via:Weird Cases Of People Who Were Never Confirmed Dead/ translated by hiroching / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
リッチーのインドで発見…は何だったのか?
2.
3. 匿名処理班
何百万何千万何億を抱える国家の中で、無名を問わず言えば人間って結構消え去ることが出来たりもするんだよね。
勿論見つかる人も多いわけだけれど。
ネームバリューが上がって行けば上がって行くほど、それらは数奇な憶測と共に都市伝説になって行く。
4.
5.
6.
7. 匿名処理班
エジソンの「99%の努力」って奴ですよ
8. 匿名処理班
タイトルだけ見てリッチーエドワーズを思い浮かべたけどやっぱり入ってた
9. 匿名処理班
ドリフターズ(漫画)に出そうなのもあるな。
10. 匿名処理班
4. アメリア・イアハートのもの、間違えて日本軍基地に降りて
そのまま基地にいたという説もあったっけ
しかも歩いていたという目撃例も聞かれた
当時って民間人もなぜか捕まえ日本へ連れて逝くことは
よくあったし専門の収容所もあった
それだけ多いのに見つかないということはひょっとして運悪く
長崎や広島に送られちゃったのかもしれん
11. 匿名処理班
西洋だから辻正信はいないだろうと思ったけど、プレスリーは有っても良かったな。
12. 匿名処理班
風船おじさんどこいったの?
13. 匿名処理班
死亡確認
14. 匿名処理班
ロシアのは物語が一本書けそうな話だね
15. 匿名処理班
風船おじさん
16. 匿名処理班
マイケル・ロックフェラー
17. 匿名処理班
ヒトラーは女であることが証明されたな
18. 匿名処理班
最後のショーン・フリンは往年のハリウッドスター、エロール・フリンの息子
19. 匿名処理班
アメリア・イアハートは宇宙人に救助されて他の惑星に保存されてるってスタートレックで言ってた
20. 匿名処理班
※10
それはない
当時、日本軍も大規模な捜索隊を組織している
みつかったら隠匿するより発表するほうが宣伝になるよあ
21. 匿名処理班
アメリア・イアハートは他所のサイトでも最近取り上げられてたな。
流行らせたいのかね。
22. 匿名処理班
1人目のジョーピッチラーはジョーピックラーの間違いではないかと。
23. 匿名処理班
フレディ・マーキュリーがいた!
24. 匿名処理班
ショーンフリンの記事、共産党ゲリラというよりは一般的な表現のクメールルージュとした方が分かりやすくないか?
あるいは日本の報道風にポルポト派とか。
クメールルージュはいわゆる「ゲリラ」ではないと思う。
25. 匿名処理班
ジム・グレイはイーロン・マスクの会社に居たりして
なんてね。
26. 匿名処理班
※21
自分もそう思う。
アメリア・イアハートは知ってるがこの説は初耳すぎる。
証拠も根拠もない後付だろうな。
27. 匿名処理班
真相が判明してみると、推理小説もビックリの内容だった…、
なんて未解決事件も結構と多いと思うよ?
だって後年に真相が明らかになって、人々が唖然とした…
なんて例も実際に有るからね。知らぬが仏な例を考えると本当に怖い
28.
29. 匿名処理班
※10
その当時の日本はアメリカとの平和的講和を模索しており、
アメリカの無線の傍受によりアメリア機の失踪を知り、
捜索隊を出しています。当時の日本軍飛行場に有った
アメリア機だと思われる残骸はアメリカ機の構造を調べる為に拾い集めた別の機体の残骸(当時は機体シリアルナンバーが無かった)だと判明しています。
当時の世界情勢は「アメリカの言う事を聞かない黄色い猿」と日本を蔑視していたので流れたデマだと思われます。