女「サナダムシでダイエットしよっと!」サナダムシ「楽して痩せようというその性根……気に入らんな」
- 2017年07月20日 20:10
- SS、神話・民話・不思議な話
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女「…………」パクパクモグモグ
女「あ~、おいしー!」
女友「あんた、お昼はホントよく食べるねえ」
女「うん、だっておいしいんだもん!」
女友「でもさ……最近、ちょっと太ったんじゃない?」
女「え……!?」
女(そういえば、洋服がちょっときつくなったし……このままじゃまずい!)
女(ダイエットしなきゃ!)
女(なにかいいダイエット方法はないかな……)
女(食事制限? 運動? うーん、かったるい。もっと楽な方法は……)
女(なにこれ? サナダムシダイエット?)
女(サナダムシを腸内に寄生させるだけで、栄養を吸われるのでグングン痩せます!?)
女「これいい!」
女「サナダムシでダイエットしよっと!」
女「ただいま、お兄ちゃん」
兄「お帰り、今日は遅かったな」
女「ちょっと買い物しててね」
兄「ふうん、なに買ってきたんだ?」
女「んーとね、サナダムシ」
兄「!?」
女「今流行りのサナダムシダイエットをやるためよ」
兄「やめとけ、やめとけ! ああいうのは寄生虫に愛がなきゃできるもんじゃないぞ」
女「平気よ、そんなもんなくったって。痩せたいって気持ちさえあれば」
兄「あのなぁ、だいたいダイエットってのは、もっと地道に……」
女「お説教なんて聞きたくない! いくら兄妹二人暮らしとはいえ、あまり干渉しないでよね!」
女「もうお互い社会人なんだし!」
兄「ったく……」
サナダムシ「俺で痩せようというのか?」
女「うわっ」
女「なにこいつ、しゃべれるの!?」
サナダムシ「まぁな」グネグネ
サナダムシ「そんなことよりもう一度聞こう。俺を使って痩せようというのか?」
女「そうよ! あんたを体内に宿して、体重落として、いくら食べても太らない体になるのよ!」
サナダムシ「楽して痩せようというその性根……気に入らんな」
女「な、なんですって!?」
サナダムシ「ダイエットに近道はない。近道しようとすれば、落とし穴にはまるだけだ」
サナダムシ「そもそも体調管理というのは、自分の力で行わねば意味がない」
サナダムシ「なぜなら……」
女「寄生虫のくせにお兄ちゃんみたいに説教しないでよ!」
女「宿主に寄生してないと満足に生きてけないくせに!」
サナダムシ「む……」
女「なんだか不服そうね。腸内で悪さしないでしょうね」
サナダムシ「心配するな、役目は果たす」
女「なにが役目よ、栄養吸い取るだけのくせに」
サナダムシ「じゃ、入るぞ」グネグネ
女「頼んだわよ、あーん」
グネグネ…
女(ん~……腸に入ったわね。いよいよサナダムシダイエットの始まりだわ!)
女「あっ!」
女「見て見て、お兄ちゃん! いきなり5kgも痩せてる!」
兄「サナダムシが頑張ってくれたおかげだな。少しは感謝しろよ」
女「ふんっ! あんな説教くさい奴に感謝するつもりなんかないよ!」
兄「…………」
女「よぉ~し今日から食べまくるぞぉ~!」
ガツガツ… モグモグ…
女「おいひぃ~!」
兄「おいおい……」
女友「あれ? もしかして痩せた?」
女「ん、まぁねー」
女「あれから、ちょっと変わったダイエットしてさ」
女友「ねえ、どんなダイエットしてるの? 教えてよ」
女「ナ、イ、ショ」
女友「ずるーい!」
女「うん、おいしい」モグモグ…
女友「…………」
女友「そんなに食べて、大丈夫なの?」
女「平気平気、私はいくら食べても太らない体質になったの!」
女「だからたくさん食べないと損なの!」
女友「すごーい!」
女(うひょ~、サナダムシダイエット最高!)
女(相変わらず、ベスト体重をキープできてるし……)
女「今日もいっぱい食べよっと!」
兄「……おい」
女「なに、お兄ちゃん?」
兄「そろそろ健康診断を受けるべきじゃないか」
女「ちゃんと会社の健康診断を受けてるわよ。全部異常なし!」
兄「お前じゃない、体内のサナダムシだ」
女「ハァ?」
兄「そのサナダムシはお前の暴飲暴食を支えるために、だいぶムリしてるはずだ」
兄「すぐ健康診断を受けさせてやれ」
女「嫌よ、めんどくさ――」
兄「寄生虫を大切にできない奴に、寄生虫を宿す資格はない」キッ
女「……分かったわよ」
女「じゃ、腸から出すよ」ウプッ
女「おえええええええっ!!!」
ドチャッ…
サナダムシ「…………」グネグネ
女「わっ、こんなにおっきくなってる!」
女「最初は1メートルぐらいだったのに、今は10メートル以上ある!」
兄「やっぱりな……明らかに食いすぎだ。診てもらった方がいい」
女「私のサナダムシの体調はいかがでしょう?」
医者「あまりよくないですな」
医者「余分な栄養を吸い取るどころか、お嬢さんの体調を整えるために無理をしすぎてるようです」
医者「コレステロールをコントロールしたり、血糖値が上がりすぎないようにしたり」
医者「風邪などの細菌やウイルスとも戦ってるようですしね」
女「そ、そんな……! そこまでしてくれてたなんて……!」
女「なんで……なんでずっと黙ってたのよ!」
サナダムシ「いっただろう、役目は果たすと」
女「――バカッ!」
女「誰かの犠牲で痩せても、私ちっとも嬉しくない!」
サナダムシ「しかし、俺が腹から出たら、体調が悪化してしまうぞ」
女「私……これからは自力で頑張る! 自分の力でダイエットする!」
サナダムシ「……そうか。ならば俺は精一杯フォローしよう」
兄「あれ? サナダムシを体から出したままなのか」
女「うん、これからは体内じゃなく体外で飼うって決めたの」
兄「ってことは体調管理は……」
女「自力でやることにしたの!」
サナダムシ「居候させていただきます。よろしくお願いします」ペコッ
兄「こちらこそ」ペコッ
兄(さすが俺の妹……よく目を覚ましてくれた!)
女「今日は我慢!」
サナダムシ「その意気だ」
女「うんっ!」
サナダムシ「偉いぞ」ナデナデ
女「寄生虫に頭なでられても、嬉しくないよ」
サナダムシ「む……」
女(なーんて、実は結構嬉しかったりして……)
女「はっ、はっ、はっ……」
サナダムシ「大丈夫か?」グネグネ
女「まだいける!」
サナダムシ「ほら、ポカリだ」ポイッ
女「ありがと!」グビグビ
女「よぉ~し、あと1キロ!」
タッタッタ…
ザバザバ…
サナダムシ「どっちが早く泳げるか、勝負だ!」グネグネグネ
女「負けないんだから!」ザバザバザバ
ザバザバザバザバ…
監視員「サナダムシと水泳する女性なんて、珍しいなぁ」
―自宅―
女「どぉう?」スラッ…
兄「おお……すごい!」
兄「サナダムシに頼らず自力で体を引き締めたからか、全身から自信と色気が漂ってる!」
兄「実の妹とはいえ、危うく惚れちゃうかもしれないところだ!」
女「ありがと、お兄ちゃん!」
サナダムシ(うむ、これでよかったのだ……)
ワイワイ… ガヤガヤ…
同僚男A「近頃、とてもキレイになったね!」
同僚男B「今夜、ぜひ食事にでも行かない?」
同僚男C「いやいや、ボクとデートを……」
女「みんな、ありがとう。でもパスさせてもらうわ」
女友「あんた、最近モテモテだね~。ま、同性のあたしから見てもキレイになったけどさ」
女友「まだダイエットやってるの?」
女「うん……だけど今は普通のやり方でね。運動したり、食事制限したり……」
女友「やっぱりダイエットに近道なし、か」
女「今日もみんなにモテモテだったの!」
女「どう? すごいでしょ! これもあんたのおかげよ!」
サナダムシ「……そうか」グネグネ
女「?」
女「なによ、その態度!」
女「最近、ちょっと変じゃない?」
サナダムシ「俺は元々こういう性格だが?」
女「ウソ! 昔はもっと優しかったじゃない!」
女「モテたって報告したら、よかったじゃないか、ぐらいいってくれたじゃない!」
サナダムシ「よかったじゃないか。これでいいか?」
女「…………!」
女(ちょっとぐらいヤキモチ妬いてくれたっていいのにさ)
女(私がキレイになったのは、誰のためだと思ってるのよ!)
サナダムシ(俺としたことが人間の女に特別な感情を抱いてしまうとは……)
サナダムシ(このままではいかん。お互いのためにならぬ)
サナダムシ(こうして関係を悪化させ、静かにこの家を去るとしよう)
シ~ン……
女「…………」モグモグ
サナダムシ「…………」ムシャムシャ
兄「二人とも、最近どうしたんだ? メシ時に全然しゃべらなくなっちまったが」
女「なにもない」モグモグ
サナダムシ「なんでもない」ムシャムシャ
兄「そ、そうか」
サナダムシ「そうだな」
女「おやすみ」モゾッ
サナダムシ「ふん」ゴロン…
兄(いつも同じ布団に寝てたのに……いったいどうしちまったっていうんだ)
女(せめて寝る時ぐらいは一緒にいようではないか、っていって欲しかったのに!)
女(結局、私のことは宿主としてしか見てなかったんだわ!)
サナダムシ(あの娘のぬくもり……恋しいといえば恋しい)
サナダムシ(しかし、これでいい……これでいいのだ……)
サナダムシ(俺たちは相容れぬ仲なのだ……)
………………
…………
……
―自宅―
兄「いただきます!」
兄「って、また二人はだんまりか」
女「…………」モグモグ
サナダムシ「…………」ムシャムシャ
兄「しょうがない奴らだ――うっ!?」
兄「あいたたたたたたた……! 腹が! 腹がぁっ!」
女「どうしたの、お兄ちゃん!?」
女「お兄ちゃん、お兄ちゃん!」ユサユサ
サナダムシ「うかつに動かしてはならん!」
女「う、うんっ!」
サナダムシ「ちょっとお腹をさわってみよう」グネ…
兄「あいたたたたたたたた……!」
サナダムシ「これは……腹部に異物があるな」
女「ええっ!?」
女「どうしたらいいの!? サナダムシ、助けて!」
サナダムシ「腹のあたりを押して、異物を吐き出させるしかあるまい。しかし、俺一人の力では――」
女「だったら二人で押し出しましょう! 二人ならできる! 共同作業よ!」
サナダムシ「うむ!」
兄「た、頼む……」
サナダムシ「胃袋のあたりを、二人で押すのだ!」
女「せーのっ!」
グンッ
兄「うぷっ!」
女「もっかい!」
グンッ
兄「うぼぉっ……!」
アニサキス「…………」ドチャッ…
サナダムシ「…………!」
女「これは……巨大アニサキス!」
女「そっか! お兄ちゃんだから、アニサキスに寄生されてたのね!」
女「兄だから、アニサキス!」
女「兄だから、アニサキス!!」
女「 兄 だ か ら 、 ア ニ サ キ ス ! ! ! 」
女「え?」
兄「見事なコンビネーションだった。やはりお前たち二人はお似合いだよ」
兄「俺たちのようにな……」
女「ど、どういうこと?」
アニサキス「ふふっ、久しぶりね」
サナダムシ「姉さん……ッ!!!」
アニサキス「まぁね。種族は違うんだけど、姉弟の関係なのよ」
サナダムシ「まさか、こんなところで会えるなんて……」
アニサキス「あたしは彼の体内から、ずっとあなたを見てたけどね」
女「お兄ちゃんに寄生してたアニサキスは、サナダムシのお姉ちゃんだったなんて……」
女「アニサキスだけどお姉ちゃん!」
女「アニサキスだけどお姉ちゃん!!」
女「 ア ニ サ キ ス だ け ど お 姉 ち ゃ ん ! ! ! 」
女「どうりでサナダムシの体調を見抜いたし、寄生虫に詳しいわけだわ……」
兄「ああ、五年前からな。うっかり古い刺身を食べた時に、寄生されてしまったんだが」
兄「だんだんと愛し合うようになっちまってな……」
アニサキス「懐かしいわね」
兄「だからお前がサナダムシを寄生させるって時は驚いたよ。これも血筋かなって」
兄「だけどお互い素直になれないみたいだから、一芝居打ったってわけだ」
女「…………」
兄「もう分かっただろう。お前たち、自分の心に素直に生きろ!」
兄「お前たちは俺たちに劣らない、最高のカップルだ!」
アニサキス「その通りよ」
女「…………」
サナダムシ「…………」グネッ
女「ダイエットだって、正々堂々やるようになったんだから!」
女「サナダムシ……だーい好きっ!」
サナダムシ「……俺もお前も好きだ」
チュッ
おわり
◆以下、おまけ(小ネタ)になります。
今日ちょうどサナダムシについて調べてた
体にめっちゃ悪いってさ
日本のはそういう奴だったらしいけど絶滅したって
あとは最終宿主と中間宿主ってのがあって
最後だったらいいけど中間宿主だったら滅茶苦茶にされちゃう
中間宿主の話は怖い事多すぎるわ…
猫とか動物のなら今でも沢山いる
あれ人間と他哺乳類と種類わかれてんのか
最終宿主が違ったりするんだよ
絶滅したと言われてるのは人間が最終宿主のやつで人の中で卵を生む
だから人に寄生できないと増えることができなくなる
サナダムシの参考画像
http://i.imgur.com/C2v5xjC.jpg
案外きれいな体してる
標本しか見たことなかったからもっとくすんで濁った色だと思ってた
いかそうめん
酢の物にしたら美味そう
乾燥さして珍味にしたらうまそう
アレルギーに効くってのはホントなのかね
もともとアレルギー物質が寄生虫を殺すための物質で寄生虫がいるとそっちにその物質が使われるから体に影響がでなくなるとかそんな感じだったきがする
元スレ
女「サナダムシでダイエットしよっと!」サナダムシ「楽して痩せようというその性根……気に入らんな」
http://viper.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1500477817/
女「サナダムシでダイエットしよっと!」サナダムシ「楽して痩せようというその性根……気に入らんな」
http://viper.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1500477817/
今週
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コメント一覧
-
- 2017年07月20日 20:45
- このSS読むまでずっとアニキサスだと思ってた
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- 2017年07月20日 20:48
- いくら食べようとも決して体型は変わらず、老いることも死ぬこともなくしかも死者を操ることが出来る。
そんな究極の肉体が欲しくはないか?
ならばこの石仮面を装着けるが良い・・・
-
- 2017年07月20日 20:49
- ギニアスが作ったMAと言えば?
-
- 2017年07月20日 20:52
- 好酸球やIgEは寄生虫感染とアレルギーに対して増加するってだけで、寄生虫に感染したら好酸球が程よく消費されてアレルギーにならないなんていうのはトンデモ説だったはず
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- 2017年07月20日 21:14
- イイハナシダッタナー
意外と真面目に話しててワロタ
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- 2017年07月20日 21:17
- 吉良吉影の同僚「やめとけ、やめとけ! ああいうのは寄生虫に愛がなきゃできるもんじゃないぞ」
-
- 2017年07月20日 21:46
- 広東住血線虫「呼んだ?」
-
- 2017年07月20日 22:07
- サナダ先生のSSじゃないの?
-
- 2017年07月20日 22:21
- サナダムシ、PCのケーブルまとめるアレに似てるな
-
- 2017年07月20日 22:32
- VIPもまだまだやれるな
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・・・実は地方病ってオチで無くてよかった。