生きたDNAストレージの可能性。
DNAには、たとえば人間のなら髪の色とか体型とか血液型など、小さな体積に膨大な情報が入っています。そしてその情報は、A(アデニン)、T(チミン)、G(グアニン)、C(シトシン)の4種類の塩基の組み合わせで表現されています。現在の技術では、DNAの中身を読み取るだけじゃなく、書き換えも可能なんです。…っていうことは、DNAをハードディスクみたいに使って、映画とか写真とかiTunesの中身とかを保存することもできるはず。そんなわけで今、DNAストレージなるものの研究が進んでいます。
とはいえ、これまでのDNAストレージの研究で使われるDNAは、たいていは合成されたものだったのです。そこでハーバードメディカルスクールの研究チームは、生きた細菌のDNAに画像データを書き込む実験を行い、こちらのGIF画像を読み書きすることに成功しました。
「私たちはこの動画で、あらゆる生物活動を記録するために使おうとしている私たちのシステムの力を示したかったのです」この論文の主著者、Seth Shipman氏は米ギズモードの質問に対し、こう回答しました。「我々のアイデアは、細胞の中で機能し、細胞内やその周りの環境の状況を捉える分子記録装置を作るというものです。実験者がデータ収集のためにシステムを破壊する必要がないようにしたいと考えています」Shipman氏らの論文は、7月12日に学術誌Natureに発表されました。
ここでは遺伝子編集技術CRISPRでも活用されている細菌の免疫システムが利用されています。細菌は「Cas」というたんぱく質を使って、DNAのかけらをウイルスから受け取り、それを将来の