金糸雀とかなりアレなアリ

§ 主な登場人物の紹介: 真紅　：　ナイスチンチンと叫びながら蒼星石の股間をスパンキングしたら、庭師の鋏で断頭された第5ドール。

雛苺　：　都合が悪くなると、発狂したフリをして失禁しまくる第6ドール。

翠星石　：　意外と人前でも平気でゲロを吐く小動物系な第3ドール。

蒼星石　：　薔薇屋敷にテロリストが突入してきた時の対処をしばしば妄想している第4ドール。

金糸雀　：　人生に隙が多すぎる第2ドール。

珪孔雀　：　企画物の第8ドール。姉達から可愛がられており、ペロペロとよく舐められている。

水銀燈　：　アリスゲーム終結後は、すっかり丸くなった感のある第1ドール。ドジョウを飼育している。

雪華綺晶　：　アリスゲーム終結後は、憑き物が落ちたように素直。ただし、欲望にも素直な第7ドール。

薔薇水晶　：　水銀燈が飼育しているドジョウを片っ端から蒲焼にしていくほど料理上手な槐ドール。

柿崎めぐ　：　本編で死亡してしまったので、nのフィールドで水銀燈や珪孔雀と一緒に暮らしている。

桜田ジュン　：　真紅のナイスチンチン掌底がクリーンヒットし、悶絶しているので今回はお休みです。
§ nのフィールド・ローゼンの箱庭: 水銀燈「……」パタパタ

めぐ「あら、水銀燈ご機嫌じゃない？　そんなに雪華綺晶から貰ったそのプレゼントが気に入った？」

水銀燈「いつ私が、ご機嫌になってたって言うのよぉ。適当なこと言わないで」クルリ

めぐ「え～？　だって、羽を左右にパタパタさせてたじゃん。それ、機嫌がいい時にやるやつでしょ」

水銀燈「…ッ！」

珪孔雀「めぐさんは水銀燈お姉様の後姿だけで機嫌が分かるんですね。素敵です」

めぐ「当然よぉ！　うっかり機嫌が悪い時に話しかけたりしたら、そりゃもう怖かったんだものあの子」

珪孔雀「へぇ～、そうなんですか」

めぐ「自然と水銀燈のご機嫌を感知できる能力が備わってくるってもんね」

珪孔雀「うわぁ、マスターとドールの力って感じです。憧れちゃうんだから」

水銀燈「こぉら！　私の意見を無視して、勝手に盛り上がらないで」

めぐ「ま…、今の水銀燈は怒っても、あの程度だから…。全然、怖くないんだけど」

水銀燈「……」

めぐ「いや～、アリスゲーム中は癇癪も酷かったわよ。花瓶は割る、ナースコールは16連射する、命は投げ捨てる」

水銀燈「ちょっと！　それは…、めぐ！　あなたの方でしょ！　珪孔雀に変なこと吹き込まないで！」

珪孔雀「やっぱりアリスゲームの時は凄かったんですね。私がここで目覚めた時にはゲームは終わってましたが」

めぐ「ええ本当に、触れる者みな傷つける尖ったナイフ。いいえ、気に入らない奴は燃やすレッドナイフね」

水銀燈「あのねぇ、珪孔雀が真に受けるから、そういうホラは止めてって言ってるでしょぉ。めぐ」

めぐ「真実なんだからいいじゃない。あ、そうそう珪孔雀、例のジュン君っているじゃない？」

珪孔雀「桜田ジュンさんですね」

めぐ「水銀燈ったらジュン君と初対面時に目を狙って羽根を飛ばしたのよ。眼鏡でガードされたらしいけど」

珪孔雀「部位破壊ねらい！？　えげつないんだから！？　殺（と）る気マンマンだったんですね水銀燈お姉様！」

水銀燈「はいはい、部位破壊部位破壊…」プイッ

めぐ「あ～らら、そっぽ向いちゃった」

珪孔雀「…それはそうと今更ですが、水銀燈お姉様はさっきから何を眺めているんです？」

めぐ「アリの巣を横から見るやつよ。透明なケースに土とアリを入れて巣を作らせる…」

水銀燈「アントリウム」

めぐ「そうそう、アントリウム！　アントリウム！　雪華綺晶からの贈り物で貰ったのよね」

珪孔雀「…面白いんですか？」

水銀燈「べぇつにぃ…。暇だから見ているだけよ、こんなもん」ピコピコ

珪孔雀（翼がピコピコ伸び縮みしている…？　まさかアレって…めぐさん？）ヒソヒソ

めぐ（分かるようになってきたわね珪孔雀。あれは水銀燈が嘘ついてる時の癖よ）

珪孔雀（つまり、かなり面白いと…アントリウムが）

めぐ（そういうこと）

水銀燈「…聞こえてるわよ」

珪孔雀「えひゃいっ！？　すすす、すいません！」

めぐ「やーだもう、水銀燈ったらイケズ～。そんなに面白いなら私達にも見せてよぉ」グイグイ

水銀燈「ちょっ、めぐ…！？」

めぐ「ほら、珪孔雀も一緒に見ましょ見ましょ。終わりの無い徒労に勤しむ虫けら達を」

珪孔雀「…は、はい！　わぁ、アリだー」グイグイ

水銀燈「しょうがないわねぇ…、あんまりケース揺すったりしてアリを驚かさないでよ？」

めぐ「…す、水銀燈ッ！？」

水銀燈「な、何よ？　何か変なこと言ったかしら、私」

めぐ「水銀燈が小さな命の心配をしている…ッ！？」がびーん

水銀燈「めぐ…、アンタって子は本当にさっきからもう…」
§ 三人で仲良くアントリウムの観察を開始してから15分経過: 水銀燈「……」じーっ

珪孔雀「…zzZ」すやすや

めぐ「…飽きた」

水銀燈「……」

めぐ「ねぇ、水銀燈～飽きた～」

水銀燈「子供か。聞こえてるわよ、うるさい」

めぐ「だって、これ…見ててもびっくりするほどつまらないじゃない。つまらなさ過ぎてゲロが出そう」

水銀燈「じゃあ、もうどっか別な場所で適当に遊ぶか、せめて珪孔雀のように大人しくしてて」

珪孔雀「…むにゃむにゃ、マシュマロに溺れちゃうん…だから…」スヤスヤ

めぐ「あのね、水銀燈。アリにエサあげましょうよ。トンボつかまえて、その羽とかむしったりして」

水銀燈「悪趣味。末妹…じゃあなくて、雪華綺晶みたいなこと言わないで」

めぐ「え～？　雪華綺晶がこれをプレゼントしてくれたってことは、そうしろってことでしょ？　エサを」

水銀燈「何もわざわざ羽をむしったトンボとかを餌にしなくてもいいでしょう」

めぐ「やーだ、見たい～。アリ達が半死半生のトンボに集団で襲い掛かって解体する様が見たい～」

水銀燈「性癖が歪んでるわねぇ…、雪華綺晶と合体アリス化した時に変な悪影響が残ったんじゃぁないの」

めぐ「え～？　水銀燈の方こそ、丸くなりすぎなんじゃないの？　最凶がそれでいいの」

水銀燈「……」

めぐ「トンボの羽の根元の肉はシーチキンよぉ…とか言って、トンボを生きたままかじるぐらいじゃないと」

水銀燈「お馬鹿さん。そんなこと考えるアナタの方がよっぽどイカれてるわ」

めぐ「いやいや、トンボ踊り食いぐらい最凶の逆十字なら当然の嗜みのはず。そうよねー？　珪孔雀？」

水銀燈「寝てる子に同意を求めない」

珪孔雀「…むにゃむにゃ、やめてください水銀燈お姉様、そんなとこ舐めちゃ…汚いんだから…」スヤスヤ

水銀燈「…なんて夢を見てるのよ、この子は」

珪孔雀「…汚いですってば、そんな…地面に落ちたマシュマロをペロペロするなんて水銀燈お姉様…」スヤスヤ

めぐ「うふふ、水銀燈ったら意地汚～い。なのに私に文句とか言っちゃうんだ～」

水銀燈「ちょっと！　珪孔雀の夢の中まで責任は持てないわよ！　いい加減にして」

金糸雀「突然だけど、お邪魔するかしら」ヌッ

水銀燈「邪魔するなら帰って」

金糸雀「あいよ～」クルッ

めぐ「……」

金糸雀「…って、なんでやねーん！」ズビシッ

水銀燈「ちぃっ…、厄介者が増えたか」

金糸雀「もう、そんなツンツンしちゃって水銀燈。ホントはカナが来てくれて嬉しいくせにぃ。ウフフフフ…」

水銀燈「馬鹿おっしゃい。でもまあ…、めぐの相手をアンタが私の代わりにやってくれるってなら話は別よ」

めぐ「金糸雀ちゃん、ゲームする？　モンハン？　スマブラ？　いっき？」

金糸雀「ゲームしたいのは山々なんだけど、今日は水銀燈に相談かしら。そのアントリウムの件で」

水銀燈「はぁ？」

金糸雀「実はカナのところにも雪華綺晶がやってきて、アントリウムをくれたのよ。ほら、これ」コトッ

めぐ「あっ、水銀燈のと同じだ。お揃いお揃い」

水銀燈「…ふぅん。ま、雪華綺晶も姉妹の家庭ごとに配るって言ってた気がするわ」

めぐ「…ん？　という事は、水銀燈のアントリウムは本来は珪孔雀のものでもある…と？」

水銀燈「……」

めぐ「なのに、水銀燈ったら今まで独り占めしてたって言うの？　いやーん、独占欲が強すぎぃ」

水銀燈「……」イライラ

金糸雀「それはともかく、カナの相談したいことってのは、この中のアリがチアリ（血蟻）じゃあないかってこと」

水銀燈「チアリ！？　まさか、この中のアリがぁ！？」

めぐ「チアリって…、最近のワイドニュースの常連の…ッ！　かなりアレな外来生物よね！？」

金糸雀「そう、その！　かなりアレなアリかしら！　見た目が似ている気がするわ！」

水銀燈「…テレビでも言っていたけど、チアリの判別は専門家でないと厳しいんでしょ」

金糸雀「ええ、でもカナのクレバーな頭脳は警鐘を鳴らしまくりんぐかしら」

水銀燈「私の目には、その辺のアリと同じにしか見えないけどね」

めぐ「私も金糸雀ちゃんの気のせいなだけだと思う。ちょっとワイドショーの見すぎじゃない？」

金糸雀「そんな…っ！？」

水銀燈「大体、そういう話なら私よりも生き物博士の蒼星石にしなさいよぉ。あの子も薔薇屋敷でもらってるんでしょ、コレ」

金糸雀「蒼星石は先週から一葉おじいちゃんと軽井沢へ避暑旅行かしら。雪華綺晶も薔薇屋敷にアリを渡せてない」

水銀燈「…じゃあ、薔薇水晶や槐に聞いてみれば」

金糸雀「あの二人は人形制作の材料の土とかを取りにアフリカ探索かしら。当然、アリも貰ってない」

水銀燈「だったらもう、雪華綺晶に直接聞いてしまえばいいじゃなぁい」

金糸雀「うん…、それはもう貰った時にすぐ聞いたんだけど『またまたご冗談を』って笑い飛ばされたかしら」

めぐ「既に雪華綺晶本人が否定してるんだったら、チアリじゃないってことでいいんじゃない？」

金糸雀「…雪華綺晶は、これはビッグジュンのアパートの敷地の隅で捕まえたアリを入れただけとも言ってたわ」

水銀燈「ほら見なさいよ、完全にアンタの勘違いなだぁけ」

金糸雀「いやいや、でも…！　雪華綺晶の言う事を鵜呑みにしちゃあいけないかしら」

水銀燈「アリスゲーム中なら、アンタのように警戒するのは当然だけど…」

めぐ「今更そんな手の込んだトラップみたいな真似を雪華綺晶がするとも思えないし…」

金糸雀「うううっ…。水銀燈お姉ちゃんなら、カナの高い危機管理意識を理解してくれると思ってたのに！」ウルウル

水銀燈「泣くほどのことじゃあないでしょ」

めぐ「桜田君ちの真紅ちゃん達に相談してみれば？　多分あそこも貰ってるはずでしょ、アントリウムを」

水銀燈「……」イラッ

金糸雀「……」ざわっ

めぐ「うっ！？　二人とも露骨に嫌な顔！？　そんなに真紅ちゃん達に会いたくない…？」

水銀燈「当然でしょぉ。絶対、私達が懸念している内容より斜め下の騒ぎを起こしてるに決まってる」

金糸雀「相談したところで、状況が好転する可能性は『0% 0% 0% ドン☆』かしら」

めぐ「いやぁ、それは言い過ぎじゃあ…。そ�
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