どことなくユーモラスで、魚の頭だけが泳いでるような形の巨大な魚、マンボウは、硬骨魚類のフグ目マンボウ科マンボウ属の1種とされており数種の仲間が存在する。
だが今月7月、海外にて、およそ125年ものあいだ他の種が見つかっていなかったマンボウ属に、もう1つの新種が発見され話題となっている。
しかもそのマンボウ今回初めて現れたのではなく、はからずも同種の仲間たちにまぎれて長いこと研究者の目をすり抜けてきたというから驚きだ。
各国の専門家たちが発見に苦心したという「カクレマンボウ」のエピソードをお伝えしよう。
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国際研究チームが取り組んだ新種のマンボウ探し
今回このマンボウを発見したのはオーストラリア、マードック大学の獣医学・生命科学博士のマリアン・ナイエガードが率いる国際研究チームで、ニュージーランドのオタゴ大学やテ・パパ国立博物館のほか、日本の広島大学と東京大学の研究者も参加していたという。
発見されたカクレマンボウ(学名はMola tecta、英名はHoodwinker sunfish)
image credit:murdoch
このマンボウは他のマンボウ同様、体長約3m、体重およそ2tまで成長すると考えられているが、その実物を発見するまでの道のりはかなり困難だったようだ。
未知のマンボウのデータはあったが・・
ナイエガードによると、最初に未知のマンボウの存在に気づいたのは日本の研究者たちだったという。彼らはすでに10年前、オーストラリアの海でその遺伝的な証拠をつかんでいたが、姿は不明のままだった。
マンボウを調べるマリアン・ナイエガード
image credit:Marianne Nyegaard
だが、2009年に150を超えるマンボウのDNAサンプルを分析すると、それが4つの種に分かれることが判明した。そのうちの3つは既存種だとわかったが、あとの1つは該当する種が見当たらなかった。
そこで彼女はその残る1つが新種であろうと考え、そのマンボウを見つけることにした。だが、データがあっても姿や生息地は依然として全く分からないのだ。
マンボウを見つけて、標本を保存する研究は気が遠くなるほどの根気がいる。なぜなら彼らはもともとその辺で見つかる魚ではないうえに、魚界でも評判の巨体の持ち主だ。そのため、研究は最初から厳しいものだった。
足で探すしかない!マンボウを探す旅を開始
だが、ナイエガードは研究の初期段階から、マンボウの標本を手に入れるため自ら現地に足を運びたいと考えていた。それは一つの挑戦だったが、素晴らしい冒険でもあったという。
以降、彼女は3年以上かけ、時には途方もない距離を移動をしながら旅先でさまざまな人を頼りに、浜辺に上がったマンボウの標本27体からデータを集め、ようやく新種と一致することを確認した。
浜辺に打ち上げられたカクレマンボウ
image credit:Marianne Nyegaard
「その新種は、マンボウは厄介な分類の歴史の影に潜み、ほぼ3世紀近くも発見を逃れてきました。しかもマンボウはもともと保存や研究が難しく、自然史博物館でも手を焼くような魚だった」とナイエガードは語る。
研究者から隠れ続けていたカクレマンボウ
こうした経緯から、研究チームはその新種に、偽装する、または隠れるなどの意味を持つ、hoodwinker sunfish(フードウィンカー・サンフィッシュ)という英名とMola trecta(モラ・テクタ)という学名、そしてカクレマンボウという和名をつけることにした。
なお、カクレマンボウを新種と結論付けるためには、古いの資料をあたる必要もあった。チームはマンボウの記録を1500年代までさかのぼり、マンボウが「マーマン」と呼ばれ、「幻想的な海の怪物」と記されていたことまで確認したという。
特徴はでっぱりが無くてなめらかな体つき
この新種は、同じマンボウ属であるマンボウやゴウシュウマンボウと同様にサルパを食べるらしく、体つきも似ているが、他の2種であれば成長とともに現れる特徴的な突出部分が発達せず、なめらかで細身だという。
また、このマンボウの生態は完全に明らかにはなっていないが、標本が見つかった場所の傾向から、南アフリカやチリ南部のはずれ、オーストラリアの南東の海岸沿い、ニュージーランド周辺に生息すると考えられている。
今回の発見について、テ・パパ国立博物館では、目の前でかなりの数のマンボウが打ち上げられていたにも関わらず、それが新種であることに気づかなかったのは、まさに灯台下暗しだった、と話している。
via:rt / media / foxnews / newshub / wikipediaなど / translated by D/ edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
う〜〜 マンボウ!!
2. 匿名処理班
マンボウの骨格標本を見た時は最初
「…何の冗談だ?」って思った(笑)
ギャグにしか見えない格好でした。
3. 匿名処理班
実はヒトの中にもまぎれているカクレニンゲンが・・・
4.
5. 匿名処理班
そもそもマンボウが1種類じゃ無いって知らなかった。
6. 匿名処理班
隠蔽種を見つけるには大量の標本を調べないといけないけど、確かにマンボウの巨体ではDNAサンプルは残っていても、そこから全身の計測ができる標本点数が少なくて難しそうだ。
7. 匿名処理班
実はそのマンボウの新種が寿司の偽装魚の中に混じってましたとかってオチはないよな?
8. 匿名処理班
浜辺に横たわるマンボウ・・・シュールだな ダリの絵みたい
9. 匿名処理班
サンプルから4つの種に別れてるってどうやって気付いたんだろう
10. 匿名処理班
DNAデータのみで存在が確認されていたなんて、なんかすごい時代になったなぁ
11. 匿名処理班
干物屋でマンボウ見たことある……干されたギャグだった
12. 匿名処理班
サザエにマンボウに最近は新種の発見が相次ぐねぇ
13. 匿名処理班
マンボウ
マンボウ
涙のマンボウ
14. 匿名処理班
※2
「クジラの絵を描こうとして途中で飽きてやめた」みたいな魚、と誰かが言っててなるほどと思った。
15.
16. 匿名処理班
wikipediaによると、マンボウは「マンボウ」「ゴウシュウマンボウ」「ウシマンボウ」「カクレマンボウ」の4種だそうで、
その中でウシマンボウも、「マンボウ」だと思われていたものが2010年にDNAから別種だと発覚したらしいので、新種が125年ぶりに発見されたというのは間違っているのかも。
ゴウシュウマンボウの記載が1883年で125年前に近いので、こちらと混同されたかな?