トイレ休憩ありなのだろうか?なしなのだろうか?他にも食事休憩も必要だろうし、おっと睡眠時間も確保したいところだ。だが逆に長すぎてみてみたい。
スウェーデンのアンダース・ウェバーグ監督が鋭意制作中の映画「Ambiancé」の上映時間なんと「720時間」になる予定なのである。
720分ではないよ。720時間で43,200分。ぶっ通しで観続けて30日ときたもんだ。
しかもこの映画、全大陸同時に1度だけ上映される。その後は、もう二度と上映されることはないのだ。
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imege credit: AMBIANCÉ - 720 HOURS / 30 DAYS
監督生活最後の大作
1968年生まれのアンダース・ウェバーグ監督は、動画、写真、音楽など、ヴィジュアル・アートの現場で働いてきた。デジタル技術を専門とし、ジャンルを超えた新しい表現方法を模索してきた。
20年を超える活動で、創りあげた作品は、動画500本以上、ミュージック・ビデオ100本ちょっと。
ウェバーグ監督は2020年に引退を予定している。監督としてのキャリアの最後に企画されたのが "Ambiancé"(アンビアンス=環境・雰囲気) だ。映画史上最長の作品である。
"Ambiancé" は、全ての大陸で同時に、1度だけ上映される。その後は、もう二度と上映されることはない。監督は全てのフィルムを破棄する予定なのである。
imege credit: AMBIANCÉ - 720 HOURS / 30 DAYS
映画の表現方法
720時間はあまりにも長すぎるから、脚本や絵コンテを先に見てみたい。それはもっともな話だが、残念ながらご要望に答えることはできなそうだ。
ウェバーグ監督によると、この作品は「筋書きの決まった、劇作術に則ったもの」ではないのである。
ウェバーグ監督の映画の撮り方はこうなのだ。
「光の一瞬のきらめきをカメラで集め、コンピューターに取り込む。ここからが本番なのです。全ての瞬間を取り出し、私が表現しようとしている感情を表す流れになるまで編集に編集を重ねます」
そして、映画内では「会話」は一切行われない。既に完成している部分には全く使われておらず、今後も使わないつもりだという。
監督によると、昨今の映画は「音楽におけるビートのように」会話を多用し過ぎである。そもそも会話は、メッセージを伝えるためには「必ずしも必要ではない」のだという。
また、ウェバーグ監督は作業のほとんどを一人で行っており、スポンサーはつけていない。経験上、他人の資金提供を受けるとコントロールを喪失してしまい、譲歩を余儀なくされるからだそうだ。
imege credit: AMBIANCÉ - 720 HOURS / 30 DAYS
「史上最長」を目指して
「史上最長の映画」の栄光を手に入れるためには、"Modern Times Forever" という2011年の作品を越えなければならない。こちらは240時間、あるいは10日間の長さがある。
しかし、ウェバーグ監督は実質上この記録を抜いている。既に"Ambiancé" は400時間分が既に完成しているのだ。
まだまだ仕事はたくさん残っているが、「予定通りに完成できる見込み」だ。現在の進捗状況では、毎週1時間分を完成させる必要がある。「そのためには7〜8時間分の生の素材が必要です」とウェバーグ監督。
imege credit: AMBIANCÉ - 720 HOURS / 30 DAYS
「全てのコマが重要だ」――アンダース・ウェバーグ
720時間の映画のために1週間かけて3秒のシーンを作成し、たどり着いた真理。
予告編もこれまた長い
さて、大抵の映画には「予告編」があるが、この映画も例外ではない。既に2本の予告編が発表されている。
しかし、「史上最長」を目指す映画の予告だけあって、それ自体がこれまた長いのだ。2014年に発表されたティーザー(広告)は72分。これは2週間だけ公開された。
2016年発表の「短い」トレーラーは7時間20分。そして来年(2018)に発表される「長い」トレーラーは72時間――3日間になる予定なのである。
Ambiancé - First short TRAILER - 7 Hours 20 Minutes in one take - by Anders Weberg.
7時間20分・ワンテイク、ノーカット
制作:Anders Weberg
出演:Stina Pehrsdotter & Niclas Hallberg
主役:時間
音楽:Martin Juhls
ウェバーグ監督のブログには、"Ambiancé" 制作の進捗状況が書かれており、インスタグラムでは映画の一部が静止画として閲覧できる。また、公式サイトでは、"Ambiancé" に関する情報が入手できるほか、監督の過去の作品の一部の視聴もできる。
via: Odditycentral / AMBIANCÉ - 720 HOURS / 30 DAYS / ANDERS WEBERG など / translated by K.Y.K. / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
ん〜、見る側のことなんて全くもって考えてなさそう…
作るのが目的だった、て奴なんかね
2. 匿名処理班
ドラゴンボールのアニメのほうが長いんじゃないの?
3. 匿名処理班
これがどんなに傑作だとしてもお断りする。
4. 匿名処理班
話題性だけだな
映画としては評価されないんじゃないか
映画はあくまでも娯楽
どれだけ監督に持論があって特殊な技法を駆使しても観客に受け入れられないならゴミ作ってるのと変わらない
5. 匿名処理班
真面目に10分見たけど無理です
飛ばし飛ばしで残りも目を通したけど無理です
私には無理です
6.
7. 匿名処理班
タル・ベーラのサタン・タンゴなら
いつか観たいと思ってるけど・・・
ここまでイクと、最早ただの「コンセプト」としか。
あまりそそられないわ。
8. 匿名処理班
素人目から観たらただ風景を撮っただけの内容の無いものを『映画』と呼べるのかは甚だ疑問だ…。
長ければ良いってものじゃないことくらい分かるだろうに。
まぁただの自己満なんだろうけどさ…。
9. 匿名処理班
映画が終わったら起こしてくれ。
10. 匿名処理班
見たいような、見たくないような、ちょっと見たいような…
こんな映画が作れるなんて豊かで自由な社会だなーと感じるための存在
11. 匿名処理班
説明を見る限りじゃ、一般的に考えられる「映画」ではなく、環境映像の集合体みたいな感じだよね。どこから観てもどこでやめてもいいって感じの。要するに分厚い芸術写真集の映像版、かな?
12. 匿名処理班
で、これはどこの介護施設で上映するんだい?
13.
14. 匿名処理班
誰か見たら感想だけ教えてほしい。
15. 匿名処理班
どういう筋なのか知りたいと思って飛ばし飛ばしトレーラーを見てみたが、環境映像と音楽というようなものが延々と続くらしいということがなんとなくわかった……のかもしれない(確証はない)。
しかし長さだけで言えば、大河ドラマや連続テレビ小説もたいして変わらないんじゃないだろうか。ああいうものが外国にもあるのかどうかはわからないが。
16. 匿名処理班
サザエさん全話一挙放送の方が長いんじゃない?