わたしたちが住むこの地球には、いまだに目を丸くするような驚きの発見がある。かつて発見されたものは、様々な研究を重ね、今ではほとんどが説明のつく当たり前のものとなっているが、発見当初は、その正体がわからずおかしな解釈がなされていたものがある。
例えば、はじめてゴリラに出会った人間はゴリラを毛深い人間と思い込んでしまったり、土星にはミミがあると信じたり・・・
ここではそんなおかしな解釈をされていた10のもの・ことを見ていくことにしよう。
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10. 探検家はゴリラをとても毛深い人間だと思っていた
およそ2500年前、航海者ハンノは、初めてゴリラの群れを見た最初のヨーロッパ人になった。ハンノはアフリカを探検するために派遣され、珍しい習慣をもつ奇妙な部族に出くわすことに慣れていた。
ハンノがゴリラの群れが棲む島を見つけたとき、彼らを変わった人間だと思った。「野蛮な人たちと出会った。彼らのほとんどは女で、その体は異様に毛深かった。通訳が彼らのことをゴリラと呼んでいた」と記録している。
ハンノらは、ゴリラに自己紹介しようとしたが、意思疎通ができず、逆に石を投げて威嚇してきて、逃げようとした。3頭のゴリラを捕まえて、カルタゴに連れて帰ろうと説得しようとしたが、どうにも言うことをきこうとしない。
ゴリラたちがあまりにも凶暴なふるまいをするので、しかたがなく殺したという。だがその後は常軌を逸していて、「彼らの皮を剥ぎ、それをカルタゴに持ち帰った」とある。あくまでもゴリラを人間だと思っていたのだ。
9. 最初の恐竜の骨は巨人の脚だと思われていた
初めて恐竜の骨を発見したことは、ロバート・プロットにとってさぞかし不可解な体験だったろうことは想像がつく。怖ろしいほど巨大で、これまでに見たどんなものとも違い、自分が目にしているものがなんなのか、まったく見当もつかなかったはずだ。
1676年にプロットは真相を探ろうと、ゾウの骨と比べてみた。「人間の骨とも比べてみたが、ゾウのものとも人間のものともまるで違った」
プロットは、納得のいく説明はひとつしかないと確信していた。「これらは巨人の男や女の骨に違いない」と書いている。それ以来、巨人の存在を信じていたプロットは「あらゆる時代に、この大きさに合致する男女がいた」と主張する。
この骨の存在は、彼が聞いたことのあるあらゆる巨人話を裏づけるものだと信じていた。「確かにゴリアテの身長は297センチだった」として、耳にしたことのあるあらゆる巨人伝説のリストを書き記した。
「コーンウェルから出土したこの骨は、そうした巨人の男か女の骨かもしれない」そしてこう締めくくっている。「それは明らかだ」
8. ガリレオは土星には耳があると結論付けた
ガリレオは1610年に土星の輪を発見した最初の人間だが、当時は高性能な望遠鏡の技術が登場するのはまだまだ先の話だった。
彼が土星を見たときはぼんやりした光の中で、現代のわたしたちがNASAのクリアな画像を見るのとはわけが違う。だから、彼が土星には両側に耳があると考えたのも無理もない。
土星に耳があると分析するのにも、実は3年かかっている。最初、ガリレオはこれを非常に近接した3つの星だと考えた。「土星はひとつの星ではなく、3つの星からなる天体だ」と書いている。「ほとんどくっつきそうなくらい近くにあって、決して変化せず、互いに関連しながら動いている」
2年後、角度が悪くて周囲の輪が確認できなくなってしまった。自分の望遠鏡に問題があったのが原因だったことに気づかず、ガリレオはほかのふたつの星が不思議なことに消えてしまったと考えた。
「こんなケースは驚きで、どう言ったらいいのかわからない。予期せぬことで、こんなことは初めてだ。土星は自分の子どもたちを飲み込んでしまったのか?」
翌年、再び輪が見えるようになったため、ガリレオは見方を変えた。3年間観測して、土星は3つの星ではなく、耳をもつひとつの天体だと宣言した。
7. サイは金属の鎧を着ている
アルブレヒト・デューラーが1515年にサイの姿を描いたとき、彼自身は本物を見たことがなかった。サイを展示するヨーロッパ巡回ツアーはあったが、デューラー自身は見るチャンスがなかったのだ。だが、いくつかの説明を読んだだけで、十分描けると彼はふんだ。
彼は上のような絵を描いて、自信満々でこう書いている。「これはサイの正確な描写だ。色は小さな斑点のあるカメのようで、ほぼ全身が分厚いウロコで覆われている。体の大きさはゾウくらいだが、足は短く、ほとんど不死身といっていい」
デューラーが描いたサイは、まるで中世の騎士のように金属の鎧をまとっている。背中にご丁寧に余計なツノをつけて、足にもウロコを入れている。確かに100%正確とは言えないかもしれないが、この絵は何世紀も本や教科書に掲載され、ずっと解剖学的に正確なサイの姿だと思われていた。
関連記事:仲間をだますため、28種の存在しない生物を巧妙にでっちあげた博物学者「ジョン・ジェームズ・オーデュボン」
6. 竜巻は軽視されていた
かつて、竜巻は北米郊外の各地を襲うが、アメリカ全土を破壊するほどの破壊力はなく、頻度もそれほどでもなかった。だが、1643年当時、マサチューセッツ湾植民地知事だったジョン・ウィンスロップが記録した初めての竜巻の様子はかなりひどいものだった。
「突然、突風が吹いた」ウィンスロップは始めている。「多くの木々をなぎ倒し、中に人がいるニューベリーの会議場を吹き上げてそのまま宙に浮かせた。空は砂埃で真っ暗になった」
損害報告にいたっては、ウィンスロップが人命をどのように見ていたかを、はっきりうかがうことができる。「神のお慈悲があったため、損害はまったくなかった」と喜び、とってつけたように「ひとりのインディアンが死んだだけだ」と記している。
ウィンスロップによると、そのインディアンは、倒れてきた木に押しつぶされて死に、もうひとりの白人もあやうく下敷きになるところだったが、あわや大災難になるところを避けられたというのだ。
最悪の事態を想定していたウィンスロップは、胸をなでおろした。神のおかげで、インディアンがひとり死んだだけで済んだとし、木はリンとハンプトンの住民の間をまっすぐに倒れただけと書いている。
5. 初めてオーストラリアを探検した者はひどい土地だと決めつけた
ジェームズ・クックが生まれるはるか前、オランダ人がオーストラリアに到達した。ウィレム・ヤンスゾーンら、探検隊は南へ進み、オーストラリアにたどり着いたが、ヤンスゾーンはそこはニューギニアだと思っていた。新大陸を発見したとは夢にも思わず、特に関心ももたなかった。
「広大な土地は大部分が未開で、一部の地域には残酷な黒い野蛮人が住んでいた」とヤンスゾーンは書いている。
今日ならあまりにひどい表現だが、ヤンスゾーンの仲間のうち9人が、わずかのうちに殺されて食われてしまった事実を考えると無理もないかもしれない。
ヤンスゾーンはオーストラリアに見切りをつけて引き返した。この大陸のことを、「探検する価値なし」と書き捨てたため、後の人々もその言葉に従った。
数年後、ヤンスゾーンが上陸した場所には近づかないようにとする公的なおふれが下った。「1606年ごろの一度の探検で、こうしたことがわかった」と報告され、再び探検することは勧めていない。
4. 最初のカンガルーはオーストラリア原産ではなかった
「この木々には異様な動物が棲んでいる」初めてカンガルーを見た者はこんな風に報告
している。「顔つきはキツネ、尾はマーモセット、耳はコウモリ、手は人間、足はサル
のようだ。この動物はどこへ行くにも子供をお腹の外についている大きな袋のようなも
のの中に入れて運ぶ」
一部はちょっと違うが、これがカンガルーの標準的な説明だった。これが書かれたのは
1511年。ヨーロッパ人が初めてオーストラリアに上陸する100年近く前の話だ。
著者のピーター・マルティレは、自分の目で実際に見た動物を描写した。この動物は、
あのクリストファー・コロンブスに同行した探検家ビセンテ・ヤーニェス・ピンソンに
よってもたらされたが、彼らがオーストラリアに到達したという記録はない。
マルティレは、このことを枢機卿のルドヴィコ・ダラゴン宛ての手紙の中で書いていて
、枢機卿がこの生き物を分析したとしている。名前はつけられていないが、彼の描写は
まぎれもなくカンガルーのことだろう。「この動物は、遊んでやったり育児をするとき
以外は、腹の袋から子供を取り出すことはない。子どもは自力で身を守れるようになる
まで、ずっと袋の中にいる」
これは、ピンソンがオーストラリアに到達していたということなのだろうか? それと
もカンガルーが中央アメリカにも生息していたということなのだろうか? 100%確証
はないが、ヤンスゾーンの探検よりも前に、カンガルーがヨーロッパに持ち込まれた証
拠がある。1580年頃と記述があるが、あるポルトガル人作家が、Dという文字の中にカ
ンガルーの絵を描いている文献が残っている。
3. 初めて目にしたサーフィンは"至福の喜び"
1778年、ジェームズ・クックがにハワイに到着し、史上初めてサーフィンなるものを見た最初のヨーロッパ人になった。地元の男たちがサーフボードやカヌーで波に乗っているのを見て、これまで見た中でもっともおもしろいものだと思った。
船医のウィリアム・J・アンダーソンは、ある男はサーフボードではなくカヌーを漕いでいたが、確かに波に乗っていたと、興奮気味に語っている。
「彼は浜から海に漕ぎ出し、波が大きくうねり始めるところに近づいた。波の最初の動きを注意深く集中して見つめ、それが自分を追い越しそうになると、波に飲み込まれる前に力を振り絞って素早くカヌーを波の前に漕ぎ出した」
アンダーソンは、サーフィンがいたく気に入ったようだ。「身も軽くスムーズに波に乗っている間、この男は絶対に至福の喜びを感じていたに違いない」
2. コロンブスはネイティブアメリカンをいいカモだと思っていた
クリストファー・コロンブスはアメリカに上陸すると、スペインのフェルディナンド国王に手紙を書いて、発見したことを知らせた。
「大勢の人々が住むたくさんの島を発見し、彼らの持ちものを手に入れました。抵抗する者はまったくいませんでした」
コロンブスは出会った原住民たちの大半は、持っているものを黙ってすべて与えてくれる、気前のいい人たちだと書いている。「彼らに持っているものをくれと頼んでも、まったく拒否しませんでした。こちらが与えるものなら、どんなにくだらないものでも、満足していました」
そして、手紙の最後でこう約束している。「わたしは王国に必要なだけの金と奴隷を与えることができます」
1. ジョージ・ショーはカモノハシは作り物だと考えた
1799年、イギリスの植物学者ジョージ・ショーによって、初めてカモノハシのことが紹介された。オーストラリアから調べてくれと標本が送られてきたのだが、アヒルようなクチバシをもつカモノハシを初めて目にして、ショーはこれは人をかつぐための作り物だと確信した。
「人工的な手段によって、人を騙すものをでっちあげるのは確かにおもしろいだろう」ショーはこの生き物について、"アヒルのクチバシを頭にくっつけたカワウソのミニチュア"と描写している。
ショーは、厳しく厳密な実験をするまで、カモノハシが実在の生き物であることを信じなかった。この生物が水に潜って泳ぎ、水生植物を食べることを突き止め、詳細をきっちり報告すると、その後はこの奇妙な姿をした生き物について、それ以上追究するのをやめてしまった。
「現在のところ、これが理にかなって推測できるすべてだ」とショーはどうにも困惑しながら書いている。
via:10 Hilarious First Descriptions Of Things We Take For Granted - Listverse/ translated by konohazuku / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
カモノハシは作り物だと思われたのに、(作り物の)人魚は本物扱いされていたことを思うと
人間の信じる・信じないというものは面白いものだと思う
2. 匿名処理班
「天動説」や「重い物の方が速く落ちる」なんかもそうだよね。
3. 匿名処理班
>2年後、角度が悪くて周囲の輪が確認できなくなってしまった。自分の望遠鏡に問題があったのが原因だったことに気づかず、ガリレオはほかのふたつの星が不思議なことに消えてしまったと考えた。
土星の輪の角度的に地球から輪が見えなくなったんであって、望遠鏡には問題なかったと思うんだが
4. 匿名処理班
いつの時代にも、確認もせずに決めつける者がいるのだなぁ
その内の何割かは、決して間違いを認めないから余計に性質が悪いという…
5.
6. 匿名処理班
ハンノ、て名前からしてカルタゴ人かフェニキア人ぽいけどヨーロッパにはいるのか
しかし土星が自分の子供を飲み込んだ、てのはサトゥルヌスの連想かな
7. 匿名処理班
「野蛮なので仕方なく殺し皮を剥いで持ち帰ることにした」
お前は何を言ってるんだとしか
8. 匿名処理班
「わたしは王国に必要なだけの金と奴隷を与えることができます」
この結果、奴隷と文化の破壊というとても悲しい結果に繋がってしまったのに
過去を振り返らないのが許せない
9. 匿名処理班
信長「初めて黒人さんを見た時は
全身に墨を塗っていると思って
目の前で体を洗ってもらっちゃいました」
10. 匿名処理班
コロンブスがクズすぎて涙が出らあ
11. 匿名処理班
勘違いや偽者だと疑うのは全然悪いことじゃないけど
調べた結果、自分の考えが間違ってたって最後まで認めないのが凄いな
12. 匿名処理班
ガリレオの観察力はすげぇわ
そしてカモノハシはしょうがないよな今でも分類が特殊だし
13. 匿名処理班
>しかたがなく殺したという。(略)「彼らの皮を剥ぎ、それをカルタゴに持ち帰った」とある。あくまでもゴリラを人間だと思っていたのだ。
今の感覚だと「ちょと待て!人間だと思ってたなら殺すのも皮をはぐのもおかしいだろ!」と言いたくなるが…でも昔の人の感覚はこうだったんよね、洋の東西を問わず。
最初からそうじゃなかったのは少し残念なことではあるが、『我々はどんどん人命を尊重する方向性で変化してきた』って事だ。そう思う事に俺はする。
14. 匿名処理班
現代から見ると倫理的に問題のある振る舞いが多いけど、新しい発見に満ちた刺激的な時代はもう来ないと思うと寂しいな
15. 匿名処理班
毛深い現地の人と思ってたうえで皮剥ぐっていうね
16. 匿名処理班
デューラー作のサイ、正確さはともかくかっこいい!
ピンソンが連れてきたカンガルーは、ニューギニアのキノボリカンガルーのことだとすれば辻褄が合うかもしれない。
そしてゴリラは力づくで捕まえようとするよりケツ毛ごと愛するべし!
17.
18. 匿名処理班
ガリレオかわいい