研究とは異なる見方にも注目。
1300万年前の幼い類人猿の頭蓋骨が北ケニアの地層から発見されました。ほぼ完全な状態の頭蓋骨を発見したのはニューヨーク州立大学ストーニーブルックのIsaiah Nengo氏率いる研究チーム。類人猿や人類の進化過程に関する新たな分析結果をNatureに発表しました。
おおよそ2300万年前から500万年前、新たな環境に馴染んだ原始的な類人猿が多様化しはじめ、アフリカからユーラシアに広がったとされる中新世。この時代については古生物学的な証拠が非常に不足しています。
古代類人猿の化石は人類のそれよりも稀少で、言うまでもなく進化の過程を知るうえで重要な手がかりです。それにも関わらず、1700万年前〜700万年前の類人猿の完全な頭蓋骨はこれまでアフリカで発見されることなく、1400万年前〜1000万年前の頭蓋骨に関しては少しもありませんでした。
新しい類人猿の頭蓋骨の分析結果
新たに発見された類人猿は、ニャンザピテクス属の新種として「ニャンザピテクス・アレシ」または略して「アレシ」と称されました。現代の類人猿や(600〜700万年前に類人猿から枝分かれした)人類よりもはるか昔に生息していたとされています。研究者たちによると、アレシは現存する類人猿すべての共通祖先にもっとも近しいことが示唆されています。
頭蓋骨を分析した結果、アレシは現代のテナガザル類に近似していることが示されました。ただ、テナガザル類直結の先祖ではないことから、異なる種の動物から似通った身体的特徴が現れる収斂進化ではないかと考えられています。