【モバマス】加蓮「心配症の魔法使い」
最初のレッスン。
病気のせいで運動なんかできなかったし、もちろん体力なんてものも無い私にそう声をかけてくれた。
『やっぱり私には』なんて思っていた私の『無理だ』って続きを奪ってくれた。
『病気のせい』って逃げて逃げて逃げ続けて、自分自身にすら敗けかけていた私に、熱をくれた。
逃げ腰だった私に、一歩進む勇気をくれた。
だから私は努力した。
……こんな私の為に、私なんかのために一生懸命になってくれるあなたに恩返しがしたかったから。
初めてのミニライブ。
緊張で震えている私の手を取ってくれた。
足もガクガク、声も震えてた私に
『北条の頑張りは俺が一番良く知ってる。だから、自身を持って行って来い!』
とびきりの笑顔でそう言ってくれた。
きっと気休めにしかならないそんなありふれた言葉だったけど。
その言葉のお陰で不思議と震えは止まってた。
……あなたが言ってくれたから、なんとなく信じられたんだ。
ある程度仕事をこなせるようになった。プロデューサーが私のために色んな所を走り回ってくれているおかげだ。
そろそろ『北条』って呼び方がなんかよそよそしくてヤになってきたから誕生日を期に『加蓮って呼んで』って言ってみた。
照れたあなたの表情は、なんかちょっと新鮮だった。
観念したように、呟くように。私の名前をボソリと呼ばれて。
なんだか私まで恥ずかしくなったけ。
そんな私を心配して声をかけてくれたけど、それが追い打ちだと言うのに気づいてくれなかったよね。
しばらくして、レッスン中に私は倒れた。
体力はついたと思ってたから、無理しすぎちゃったかな。
血相変えて心配してくれたプロデューサーは、あなたのほうが倒れてしまいそうだと思うほどだった。
しばらく自宅療養だって言われて、また1人になっちゃうのかなーなんて思ってた。
ほら、熱出したときってなんか寂しくなっちゃうじゃん。
……でも、違った。凛と奈緒、事務所の皆。そして、プロデューサー。
みんな、スケジュールの合間を縫って来てくれた。
嬉しかったよ。こんなこと、初めてだったから。
……嬉しかったよ。あなたがくれた世界は、こんなにも暖かい場所だったって気がついたから。
その日以来、皆過保護になったよね。
『もう、小さい子供じゃないんだから』って言っても聞かなくてさ。
ちょっとくしゃみしただけで大騒ぎ。
中でもプロデューサーは一番過保護だったよね。
やれアレは持ったかこれは持ったか。ジャンクは禁止だ野菜を食べろって。
なんかプロデューサー、お父さんみたいだった。
……うん、分かってる。全部私のためだったって。
ちょっぴり鬱陶しいなぁって思っちゃったけど、それよりも嬉しかったよ。
おっきなライブを前にして、私は緊張していた。
……いや、多分震えていたのは緊張じゃないのかも。
所謂武者震いってやつ? うん、きっとそうだ。
頑張って、頑張って、頑張って。頑張り続けた先に見えたお城の入り口。
それを前にして高揚しているんだろう。
多分私は笑ってた。だから、プロデューサーもとびきりの笑顔で送ってくれた。
行って来いと言わんばかりにプロデューサーが手に持つペンライトが暗闇を照らす。
さぁ、行こう
あなたが魔法をかけてくれたシンデレラは、こんなにも輝いているって見せてあげる!
――それが、私の為に一生懸命になってくれている心配症な魔法使いへの恩返しだから!!
元スレ
加蓮「心配症の魔法使い」
http://wktk.open2ch.net/test/read.cgi/aimasu/1502953690/
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コメント一覧
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- 2017年08月17日 18:41
- ちょっと〜水着来た加蓮に大丈夫かって駆け寄って胸を揉んじゃうシーンが抜けてるよ
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- 2017年08月17日 19:36
- なんで加蓮すーぐ死んでしまうん?
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- 2017年08月17日 19:46
- 大丈夫。ファミ通の攻略本だよ。
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- 2017年08月17日 20:44
- これが加蓮の最期のライブか・・・
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