「わしゃ○○か!」
このように何かに例えてツッコむ芸人をテレビで見ない日はない。例えツッコミはそれだけ広く普及したお笑い手法だ。
お笑い手法と言ってしまうと気恥ずかしいかもしれないけど、本来は例えツッコミってもっと身近なものだと思う。
キツい状況に置かれた時「地獄だ…」と呟いたり、厳しい人に対して「鬼かよ」と言ったりする。
これらも乱暴に言ってしまえば、例えツッコミであり、それが定型表現化したものだろう。
このように例えツッコミは我々の生活に深く根付いている。しかし、皆さんはまだその真の有用性に気付いていないかもしれない。
例えツッコミはただ単に笑いを誘うだけのものではない。生活を豊かにする新たな発見をもたらしてくれるのだ。
あれは去年、僕が自宅の大掃除をしていた時だった。
嫁から風呂場を任された僕は、浴槽、鏡、シャンプー置き場と掃除していき、次に風呂椅子に取り掛かった。そこであることに気付いた。
風呂椅子にうっすらと湯アカがこびりついている。
普段は気にならなかったが、こうして掃除しているととても気になる。
ブラシでこすってみる。全然落ちない。試しに爪で削ってみた。落ちる。なるほど。
爪を立て黙々と手を上下に反復させる。ポロポロと落ちる削りカス。
30秒くらい続けてみて、この行為の徒労感に耐えられなくなり、心の中でひとり例えツッコミごちた。
「いや、大量にスクラッチくじ買い込んだジジイか」
ユーモアの是非は一旦置いておくとして、僕はこの瞬間ハッと閃いた。
「もしこれがスクラッチくじと同じなら、10円玉で削ればもっと簡単に落ちるんじゃないか?」と。
いや、まさかそんなわけないよな。だってあくまで例えツッコミなんだし…。
恐る恐る試してみる。
いや、めっっっっっちゃめちゃ落ちる!!!!
めっっっちゃめちゃ落ちんだけど、これ!! なあ!! おい!! 聞いてる?!?
スコップを念で覆うことを覚えたゴンとキルアか!!(これも例えツッコミです。よろしくお願いします)
「プリンみたいに簡単に掘れる」かって!!(これは作中での例えツッコミですね)
すげくね? これすげくね??
やばいって。発明王としての才気がもうやばいって。この閃きは尋常じゃない。
ま、キミ達みたいな知能が全くない野蛮なマンキーコングどもはウホウホ言いながら、小林製薬の「アホガ風呂垢オトース」みたいなの一生買い続けて8000万円くらい損してくださいナ。
その点、ボク様は10円で解決。 余った金で自由が丘の駅前に娼館でもおっ建てるか? いや、その前に「発明BOYカニパン」の二代目オファーに備えて「発明BOYナガパン」の商標を先に押さえておくべきか? 迷う……。
だ、誰かアタイを止めて~! 止められるものなら止めてみて~!
みたいに思ってたら、風呂椅子にめちゃめちゃ傷がついてて、嫁からしこたま怒られ、風呂椅子は買い替えた。
わしゃ、スーパー愚者か。
(これは例えツッコミでは、ない)