【ガヴドロ】ガヴリール「堅物な姉さん」
- 2017年08月30日 23:10
- SS、ガヴリールドロップアウト
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ゼルエル「心からそう思っているのか?」
ガヴリール「もちろんです! これからは真面目に修行して立派な天使に……!」
ガヴリール(……と油断させといて)
ガヴリール「ぷっ!」ヒュン
ヴィーネ「最低だコイツ!」
ゼルエル「!? ぐっ!」プス
ガヴリール(おっしゃ!)
ガヴリール「見たか! これに懲りたら諦めて帰りなよ!」
ヴィーネ「が、ガヴ……なんて事を!」
ゼルエル「くっ……う……!」フラ
ゼルエル「ガヴリール……貴様っ……」ドサッ
ガヴリール「……え?」
ヴィーネ「ゼルエルさん!?」
サターニャ「ちょ、これ大丈夫なの?」
ラフィエル「おかしいですね、いくらなんでもガヴちゃんの力ではここまで……」ピト
ラフィエル「! すごい熱です!」
ガヴリール「さっきまでピンピンしてたくせに……どうして急に?」
ラフィエル「んー……」ジ-
ガヴリール「な、なんだよ」
ラフィエル「ガヴちゃんの矢が原因なのは間違いないです」
ラフィエル「そして恐らく……ガヴちゃんの悪意が矢に込められていたせいではないでしょうか」
ラフィエル「ただでさえ今のガヴちゃんの天使力は濁りきっていますし、それを打ち込まれれば身体が拒否反応を示してもおかしくはないかと」
ガヴリール「人をバイ菌みたいに言うのはやめてくれないか」
サターニャ「何はともあれ、このままじゃマズいわよ」
ヴィーネ「苦しそう……何か手は無いの……?」
ラフィエル「こういう時は傷口から毒を吸い出すものと相場が決まっていますよ」
ガヴリール「いくら私でも毒扱いは流石に傷つくんだけど」
ガヴリール「……まあいいや、ちょっとやり過ぎたとは思ってるし、とっとと治してやらないとな」スッ
ガヴリール「ごめんごめん、ちょっと大人しくしててね」チュ
ゼルエル「う……」
サターニャ「案外天使って繊細なものね」
ラフィエル「ガヴちゃんくらい俗世に染まっていればまだしも、清廉さの塊のような方ですからね」
ヴィーネ「これで大丈夫なのかしら……」
ガヴリール(にゃろ、好き放題言いやがって……)チュ-
ガヴリール「!? ど、どうしたの姉さん!」
サターニャ「な、なんか悪化してない!?」
ヴィーネ「顔色も更に悪くなって……!」
ラフィエル(……あっ)
ラフィエル「ごめんなさいガヴちゃん」
ラフィエル「吸い出すための口を介して直接毒を流し込んでしまってます。逆効果でした」
ガヴリール「泣いていいか?」
ゼルエル「ぁ……ラ……フィ……」ハアハア
ラフィエル「ラフィですよー。失礼しますね♪」チュ
ゼルエル「く……ふぅ……」
ゼルエル「ぐっ……ぎっ……!」ビクン
ガヴリール「あっはっは!! 偉そうな事言っといて拒否反応起こされてやんの!!」バンバン
ラフィエル「えー……」ショボン
ヴィーネ(ゼルエルさんが死んじゃう)
サターニャ「あんたは欲望に素直すぎっていうか……」
ゼルエル「けほっ……けほっ……」ハアハア
ヴィーネ「すごい汗……水を飲ませても気休めにもならないわ……」
サターニャ「どうするのよ……早くなんとかしないと無事じゃ済みそうにないわよ」
ガヴリール「まあ落ち着け、助っ人を呼んだところだ」
タプリス「呼ばれて参上です! なんでも言ってください!」
ガヴリール「オーケー。そこに転がってる私の姉の額にキスしろ」
タプリス「はえぇ!?」
ガヴリール「勘違いすんな、医療行為だ医療行為」
ガヴリール「時間が無いから詳しい説明は省くけど、必要な事なんだよ」
タプリス「ほ、本当ですか……? 確かに良くない状況みたいですけど……」
ガヴリール「いいから」グイッ
タプリス「わわっ、近……!」ドキッ
ゼルエル「ふうっ……ふうっ……」ハアハア
タプリス(そ、それになんだか色っぽいです……)
タプリス「い、いきましゅ!」ガチガチ
ガヴリール「おー、いけいけ」
タプリス(はああああ! 私、天真先輩のお姉さんのおでこにちゅーしちゃってます!)
ラフィエル「触れるだけじゃダメですよ、吸ってください」
タプリス(あうあう……不肖タプリス、頑張らせていただきますっ……!)チュ-
ゼルエル「はあっ……! はっ……」
ガヴリール「いいぞ、回復傾向にある」
サターニャ「弱っちいけど天使としては一番まともなのね」
タプリス(お、お任せを! ……って)
タプリス(天真先輩のお姉さんの中の天真先輩の力が私の中へ……)ポン
タプリス(天真先輩が天真先輩で天真先輩……)コテッ
ヴィーネ「気絶しちゃった……」
ガヴリール「はぁ!? お前まで私を拒絶するのか!?」
ラフィエル「それにしては途方もなく幸せそうな表情ですが」
ガヴリール「大分マシになったとはいえ、まだ完治には程遠いか」
ラフィエル「天使の知り合いですか……ハニエルちゃんはどうでしょうか?」
ガヴリール「行けるだろうけど……まだ天界から連れ出せる歳じゃない」
ガヴリール「それに純粋すぎるからな、私の天使力が混ざったら姉さんの二の舞だ」
ガヴリール「なんか自分で言ってて悲しくなってくるんだけど」
ラフィエル「本当に気にしてたんですね……ごめんなさい」
ラフィエル「まあ私も同じ立場なんですけど……」
ガヴリール「どした?」
ラフィエル「いえ、何も天使に限った話ではないのでは、と」
ガヴリール「というと?」
ラフィエル「天使が悪に染まるのであれば」
ガヴリール「……悪魔が善に染まることもある、か?」
ガヴラフィ「……」ニヤ
ヴィネサタ「」ゾクッ
ガヴリール「姉さんの健康が掛かってるんだぞ? 万全を期してヴィーネにすべきだろ」
ラフィエル「サターニャさんは寝ている隙に勝手に家に侵入しても許してくれるお方ですよ?」
ガヴリール「ぐぬ……大悪魔とか言ってるくせに……」
ガヴリール「……ヴィーネはたまに勝手に家に入ってくるけど、悪さするどころか世話してくれるぞ」
ラフィエル「むむ……確かに……」
ヴィーネ(褒めてくれてるんだろうけど)
サターニャ(悪魔としては全く嬉しくないわね)
ラフィエル「結局はこれですね」
ガヴリール「じゃんけん」
ラフィエル「ぽん」パ-
ガヴリール「ぽん」グ-
ガヴリール「……運を引き寄せたな?」
ラフィエル「お互い様ですよ、私の方が天使力が上だっただけです」
ラフィエル「という訳でサターニャさん、ぶちゅっと行っちゃってください」
サターニャ「ああ、私の意思は無視なのね」
ラフィエル「おや、もう少し抵抗するものかと……」
サターニャ「どうせ逃しちゃくれないじゃない……」スッ
ゼルエル「……君は……」ボ-
サターニャ(……弟が熱を出した時も、こうして側に居てあげたっけ……)
サターニャ「大丈夫よ、お姉ちゃんが付いてるからね」チュ
ゼルエル「ぁ……」
ガヴリール「誰だあいつ」
ラフィエル「天使じゃないでしょうか?」
ゼルエル「う……」
ラフィエル「顔色が良くなっていきます!」
ガヴリール「嘘だろ……」
サターニャ「……っ! げほっ!!」
ラフィエル「! サターニャさん!?」
サターニャ「う゛っ……喉、あっつ……!」ゲホゲホ
ガヴリール「そういえば悪魔祓いの書も効いてたな……一緒に姉さんの天使力が流れ込んだら無理もないか」
ラフィエル「一大事です! 吸い出すので口を出してくださいほらほら!」チュ-
サターニャ「これくらい平気だから寄るんじゃないわよ……!」グググ
ラフィエル「……ごめんなさい、無理をさせてしまって」
サターニャ「平気だって言ったでしょ、むしろ助けられなかったのが悔しいわ」
ラフィエル「……天使ですねー……」ナデナデ
サターニャ「悪魔よ! 大・悪・魔!」プンプン
ヴィーネ「あとは私だけ……ね」
ガヴリール「勝手に話を進めて悪かった」
ガヴリール「サターニャのやつを見るまで気付かなかったけど、悪魔のお前が無事である保証は無い」
ガヴリール「だから、無理強いはしない」
ヴィーネ「ううん、私がやらなきゃ」
ヴィーネ「皆がここまで繋いでくれたんだもんね、ゼルエルさんには元気になってもらわなくちゃ」
ガヴリール「……頼めるか?」
ヴィーネ「ええ、任せて」
ゼルエル「……ガヴリールの言う通りだ、君が無事である保証は無いぞ」
ゼルエル「身体は上手く動かせないが……意識は戻っている」
ゼルエル「十分に休息を挟めば治るだろう、あとは自分一人でもどうにか……」
ヴィーネ「嘘」
ゼルエル「なに……?」
ヴィーネ「そういう優しい嘘を付いちゃうところはやっぱり似てますよね」
ヴィーネ「我慢しなくても、いいんですよ」チュ
ゼルエル「ん……」
ヴィーネ(口の中がぴりぴりする……これが天使力っていうのなのかな)
ヴィーネ(睫毛、長くて綺麗……だけどどこか幼さを感じさせて)
ヴィーネ(この人も、私たちとそう大きく歳が離れてるわけじゃないのよね)
ヴィーネ(私は一人っ子で……風邪をひいてしまった時は両親が心の支えだった)
ヴィーネ(もちろん両親もずっと付いていられるわけじゃなくて……一人になることもあった)
ヴィーネ(今この人を一人にして……同じ心細さを与えるなんてこと、出来はしない)
ヴィーネ「だから、おやすみなさい」
ゼルエル「……おかあ……さん」
ゼルエル「……」ス-ス-
ヴィーネ「……けほっ」
ガヴリール「! 大丈夫かヴィーネ!!」
ヴィーネ「私はいいの、それより……」
ラフィエル「……熱は引いてます、あとはぐっすり寝かせてあげましょう」
サターニャ「あれだけ汗もかいて、身体は疲れきってるはずだからね」
ゼルエル「……」ガバッ
ラフィエル「おはようございます」
サターニャ「おはよう」
ヴィーネ「あ、お身体の調子は……」
ゼルエル「」コキコキ
ヴィーネ「……大丈夫そうですね」
ゼルエル「……ガヴリールはどこにいる」
ラフィエル「カーテンの裏に……」
ガヴリール「なんでバラすんだよ!?」
ゼルエル「実の妹に命の危機を感じさせられるとは思わなかったぞ」
ガヴリール「はい……申し訳のない限りです」
ゼルエル「何より、それほどまでに天使力を濁らせるとは……」
ガヴリール「返す言葉もございません……」
ゼルエル「……防げなかった私にも非はあるがな」
ガヴリール「……信頼してくれてたんだよね、つい気が緩むほどに」
ガヴリール「ごめん」
ゼルエル「確かに貴様があれほど反発するとは予想外だった部分はある」
ゼルエル「この地上にそれほどの価値があると?」
ガヴリール「退屈な天界とは雲泥の差だよ、食べ物は美味しいし娯楽はあるし」
ゼルエル「友人、か」
ガヴリール「……わかってるじゃん」
ゼルエル「その人となりを余すことなくこの身で味わったのだ、わかりもするさ」
ゼルエル「良い友人を持ったな、ガヴリール」
ガヴリール「……かもね」
ゼルエル「その友人に免じて、今回は見逃そう」
ヴィーネ「とんでもないことです」
サターニャ「私の懐の深さに感謝するといいわ」
ゼルエル「ラフィには少し物申したい点もあるが……」
ラフィエル「いやあ、自分でも結構ショックでしたね」
ゼルエル「まったく……親元を離れてもあまり気を抜くべきではないぞ」
ガヴリール「なんだっけ姉さん」
ガヴリール「おかあさん、だっけ?」ニヤニヤ
ゼルエル「な」
ヴィーネ「あ」
ゼルエル「違う……あれは消えかけた意識が見せた幻覚がというかだな」
ヴィーネ「い、いえ……わかってますから」
ゼルエル「くっ……!」カアア
ヴィーネ「……」カアア
ガヴリール「神の腕様も甘えたい時があるんだなー」
ゼルエル「……貴様ァ! 人が大人しくしていればっ……!」
サターニャ「病み上がりなんだから大人しくしてなさいよ」
ゼルエル「お姉ちゃんは黙ってて!!」
ゼルエル「あっ」
ゼルエル「……帰る! もう帰る!!」ヒュン
ガヴリール「……すごいもん聞いたわ」
ラフィエル「……」ピッ
『おかあ……さん』『お姉ちゃん!』
ガヴリール「うっくくくく……! 録音してたのかよ……!」ケラケラ
ヴィーネ「……」カアア
サターニャ「」ポカ-ン
ラフィエル「タプちゃんタプちゃん」ピッ
『おかあ……さん』
タプリス「はうっ」キュン
『お姉ちゃん!』
タプリス「あぁっ……」コテッ
ガヴリール「ッ……!! ッ……!!」バンバン
※タプリス以外全員の仕送りが減った
ゼルエル「ただいま……」
ハニエル「おかえりゼル【お姉ちゃん】!」
ゼルエル「ぐ」グサッ
ハニエル「あのねあのね、おとうさんと【おかあさん】は遅くなるって!」
ゼルエル「ごふっ」ガクッ
ハニエル「ゼルお姉ちゃん!?」
おわり
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【ガヴドロ】ガヴリール「堅物な姉さん」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1504091884/
【ガヴドロ】ガヴリール「堅物な姉さん」
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コメント一覧
-
- 2017年08月30日 23:16
- ヴィーネおかあさん……
-
- 2017年08月30日 23:43
- 久しぶりに新鮮なガヴドロ分補充
ヴィーネは聖母様だ。
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