テレビゲームが限界に達したときバーチャルボーイが現れるという
不思議な物語があります。思い起こせばVR元年と呼ばれた昨2016年。あの熱はどこへ消えたのでしょう。それと入れ替わるように巻き起こったスイッチフィーバーが意味するものは?
その答えは、元祖VRマシーンと呼ばれたゲーム機の中にあるのかもしれません。今回はそんなバーチャルボーイを現代の小学2年生にやらせたらどんな反応をするのかという夏休み最後の自由研究です。用意したのはこちら。
・バーチャルボーイ本体一式
・専用ソフト『とびだせ!ぱにボン』
・男子小学2年生(8才)
続いて、それぞれを軽く紹介していきましょう。まずは、かの
横井軍平が手掛けたバーチャルボーイ。任天堂失敗作の代名詞として変に有名なため、普及率のわりには知名度の高いゲーム機です。
次に『とびだせ!ぱにボン』(1995年7月/ハドソン)は
落ち物系パズルゲーム『ぱにっくボンバーシリーズ』のVB移植作です。バーチャルボーイ全19タイトル中で最も入手しやすいソフトのひとつだと思います。
そして男子小学2年生は、最近やっと『マインクラフト】に飽きてきたというバリバリのゲームキッズ。何を隠そう私の
上の息子です。ちなみに、素のリアクションがほしかったので彼には趣旨を伝えてません(笑)
<それではさっそく検証開始!> まずは私オロチがリビングへ進入。妻のiPadでYoutubeを見ていた彼のとなりで、これ見よがしにバーチャルボーイをプレイし始めました。するとすぐに「なにそれ」と興味を示してきた息子……
もしかして、こいつは野犬かと思うほどの食いつきの良さです。さっそく交代しましょう。
たまたま着ていた黄色いシャツとバーチャルボーイの赤が、ほどよいコントラストを形成しています。ほどなくして、彼が「
ボンバーマンとぷよぷよが合体したようなゲームだなあ」とつぶやきました。
手前味噌ながら、さすが我が息子です。なぜならこのゲーム、ボンバーマンとぷよぷよが合体したようなゲームだからです!(そのままかよ)
※当時のテレビCMより そして私はすぐに気がづきました。対峙しているのにも拘らず、顔が見えないという何とも不思議なコミュニケーション。一方の相手は画面を想像するしかないという奇妙なやり取り。今のところ新鮮です。
<いきなり思いもよらない行動へ> しばらく「この敵、めっちゃ弱い」とか何とか言いながらゲームプレイしていた彼ですが、途中で私が2週間くらい庭に放置していたビニールプールの片づけをし始めたため、ひとりになってしまいました。(今、やらなくても……)
しかし、10分後くらいに「もしかして飽きてやめちゃってるかな」と心配しながらリビングに戻ると、彼は思いもよらない行動をしていたのです。
こちら。
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いやいや、
リラックスしすぎだろっ!(笑)
太太しいと書いて「ふてぶてしい」と読むのですが、時系列をまったく無視していいなら、彼が語源かもしれない可能性は0ではありません。
やがて――
ゲームがひと段落したのか、むくっと起き上ってきた息子。何を言うかと思ったら
「ねえ、跡ついてる?」とバカみたいな笑顔で、おでこを見せてきました。
見事に跡がついてますね……
こんなときは「ナイス重力!!」とでも言ってサムズアップしておけばいいのでしょうか。よく、わかりません。きっと、小学生のときよくやった、蚊に刺されたところを爪でバッテンするみたいなノリなのでしょう。いずれにせよ、バーチャルボーイにこんなくだらない楽しみ方があったなんて最高です(笑)
<旺盛なチャレンジ精神> 今度は彼、私の持っていたiPoneを指して「ねえ、ちょっとそれ貸して」と言ってきました。いったい何をするつもりなのでしょうか。訝しみながらも渡したところ……
ああ、中の写真でも撮るのかな!?
と思うのが、どうやら我々
ファミコン世代の発想限界のようです。ああでもない、こうでもない、試行錯誤を続けた結果「縦に持つ」という答えを見つけた彼は、得意げにこう言いました。
「こうやってやるとお父さんも見えるでしょ?」
「!?」
つまり、彼はバーチャルボーイの最大の難点である
「ひとりしか画面が見えない」という、共有性の低さに小学2年生なりの解決法を提示してきたわけです。かつてガラケー世代が、ふっかつのじゅもんを憶えるのに「テレビ画面を写メすればいいじゃない」と言い放ったという逸話が、脳裏をよりぎます……
しかし、息子よ、スマホ片手にどうやってコントローラを操作するつもりだ。そうつっこむと彼は「あっそうか」と言ってバツが悪そうに笑いました。詰めが甘いんだよなあ。どうやら現代版マリー・アントワネットの到来は先送りされました。
<その発想は時代の最先端へリンクする> 再び通常スタイルに戻っていた彼でしたが、さっきからなぜか
「目をからだめてねって何?」と聞いてきます。
さっぱり要領を得ないので画面を見てみると「目を休めてね」と書いてありました。これは「体」じゃなくて「休」だよとやさしく教えてあげたのですが、今思うとあれはオートポーズ画面だったようです。バーチャルボーイには30分プレイし続けると
強制的に15分間の休憩が入るという特有の機能(オンオフできる)がついていたのでした。貴重な画面を撮り損ねてしまった!
※こちらは海外版。Image:Bomberman Wiki(Panic Bomber) すると何を思ったのか彼、今度は……
「これをつけると家がゲームになるぞ!」 などと抜かしながら、バーチャルボーイを装着したまま、動物園のツキノワグマのように、リビングをうろつき始めたのです。視界をふさがれているくせに「お父さんがゾンビになっちゃった~」とか「なんだあれは~」とか、ハイテンションで楽しそう。
息子よ。それは
ARという発想だよ。
拡張現実といって、現実の情報に何か別の情報を付加する技術なんだ。「ポケモンGO」って知ってるだろ。あのゲームでポケモンをゲットするとき、まるでポケモンが現実世界にいるみたいだよね。まさにそれがARさ。しかし驚いたな。そんなこと知らないはずの君が、同じような発想をするとはね。しかも早すぎたVRと呼ばれているバーチャルボーイで、その着想が浮かぶとは、我が息子ながら天晴だよ……
みたいな感じで、得意げにウンチクを語っていると!?
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聞いてないのかーいっ!(笑)
そこには、オートポーズ画面が解除されゲームが再開されたのか、またぞろ寝転びながらバーチャルボーイをプレイする、彼の太太しい姿があったのでした。足まで組みやがって。まったく、自由過ぎるだろ……
<まとめ> 結論から言うと、うちの息子はバーチャルボーイを
十分に楽しんでいたように思います。それどころか、いちいち予想もつかない行動をしてくれるので驚きの連続でした。
ただしそれは彼の好奇心旺盛な性格や、バーチャルボーイの「物珍しさ」及び「玩具然とした構造」に起因するものであり、永続的なものではないかもしれません。かつて、バーチャルボーイを新品で買ったほとんどのゲーム少年たちが、ガッカリしながら、その蝙蝠みたいな形のコントローラを机上へ置き去ったように……
ちなみに、私オロチがプレイした感想は、臭い!酔う!疲れる!
でも愛おしい!です。
任天堂 (1995-12-08)
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次回は『バーチャルLAB』で検証する予定ですので「持ってるけど、どうしても要らない」って方は是非、私オロチまで連絡ください!この検証、ほぼソフト関係なくね?というツッコミは無しの方向で(笑)
(おわり)
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記事中の表現を批難しているのではなくてただの思い出話です。はい。