イングランド中部のダービーシャー州に、"フル・グロウン(Full Grown)" という農場がある。この農場では一風変わった作物を育てているのだ。
肉や羊毛のための畜産ではない。珍しい果物とや新種の野菜を開発しているわけでもない。いや、そもそも収穫されるのは食品ではないのである。
この農場では、家具を育てて収穫しているのだ。
比喩ではなく、本当に地面から家具が生えているのである。
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家具を育てて収穫する農場
The Furniture Farmer | That's Amazing
家具農場 "フル・グロウン’(Full Grown)" を運営するのは、元・家具デザイナーのゲヴィン・マンローさん。
この農場では、柳の木の家具が「完全に育って」(full grown) 収穫されるのである。
「作物」の種類は、今のところ、椅子とテーブル、ランプシェード、そしてミラーフレームだ。
もちろん、放っておいて家具の形になる特殊な柳があるわけではない。マンローさんは柳の若木にフレームをあてがい、接ぎ木の技術を応用して、自らデザインした通りの形に育てていくのである。
How to grow a chair
生長中のランプシェードと椅子の列
収穫した家具はよく乾燥させ、研磨やニス塗りといった仕上げの工程を経て完成する。
持続可能な産業を目指して
そもそも、どうして家具を「育てよう」と思ったのか。冒頭の動画の中で、マンローさんはこう語っている。
今までの方法で家具を作るには、少なくとも50年かけて木を育てなきゃなりません。それを切り倒して、小さく刻んでいく。で、それをもう一度くっつけるんです。何だってそんなことをしなきゃならんのか、と気づいたのですよ。
マンローさんの方法では、50年あれば、同じ木から少なくとも10回収穫できる。収穫後も木の根はまだ生きており、再び育ち始めるのだ。
机とテーブルの試作品を収穫したあとの根っこ
また、家具の強度という面では、従来の家具よりむしろ丈夫なのだとマンローさんは言う。全体が一体化しているため、接合部というものが存在しないのだ。
「我々の究極的な目標は、持続可能であり必要な収益が生み出せる、環境にやさしい製造システムを開発することなんです」とマンローさん。「伝統的な製造過程に対する挑戦でもありますし、新しいものを付け加えることでもあるのです」
Full Grown Promo
via: Laughing Squid / Full Grown / Facebook など / translated by K.Y.K. / edited by parumo
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コメント
1.
2. 匿名処理班
ファンタジーな物語の森に住む種族みたいな発想だね
3. 匿名処理班
面白いな
4. 匿名処理班
座り心地の良さまでは分からないが
面白い事を考える者も居たものだw
5. 匿名処理班
その発想は無かった!
繋ぎ目が無いぶん頑丈かも?
6. 匿名処理班
普通の木は枝分かれしてる部分が裂けやすかったりするし、接合部がないから丈夫というのはあまり納得できないけど実際はどうなんだろ
7. 匿名処理班
この発想はなかった。
あとは払い落とした枝で小物をつくれば完璧だな。
8. 匿名処理班
おおお、一揃え欲しい…
9. 匿名処理班
なんだかいびつな愛を感じる
10. 匿名処理班
手間が掛かってる分高そうだけど
11. 匿名処理班
まーた何を言ってるんだとおもったら実際家具を育てて収穫してた
12. 匿名処理班
庭に置いておいたら此処から芽が出て…何て事になったら嬉しい誤算
13. 匿名処理班
エクセレント!!
14. 匿名処理班
発想がすごいわw
でも若い木を使ってるから耐久性とか耐圧性とか歪みやすさとか問題ありそう
15. 匿名処理班
オリーブの木で作ったイスがほしい。
16. 匿名処理班
ギターも作ってくれ
あとソリの部品として似たようなやりかたするところがあるよね
17. 匿名処理班
エルフの家具かな?
18. 匿名処理班
乾燥させたら歪んだりしないのかな?
それも見越して形整えてるのかな?
19. 匿名処理班
※5
読めよ
そう書いてるだろ
20.
21. 匿名処理班
すげぇな
目から鱗が落ちたというか文字通り衝撃を受けた
日本から買えないのかな
22. 匿名処理班
これ植物を意図的に奇形化させてる、ってことであろ?
本人(本植物)は辛いのではあるまいか。
23.
24. 匿名処理班
※22
例えばキャベツや蚕蛾だってそうだぞ
あんな弱い奇形進化で生き残ってるのは人間様が保護してるからや
やってることはそれの亜種やね
25. 匿名処理班
ほんと凄い発想だ
何キロくらいまで耐えられるんだろう
26. 匿名処理班
盆栽みたいなもんだな
※22
植物の適応力を舐めてはいけない
27. 匿名処理班
※22 甘くておいしい果物は多数の間引かれる果物によって成り立っている。雑草踏んでも胸が痛くなるタイプか?
28. 匿名処理班
うわーすっげー面白い
買えなくていいからお目にかかりたい
農場見学ツアーやってくれ
29.
30. 匿名処理班
これが森の民のはじまりである
とかキャプションいれたい
31. 匿名処理班
四角い西瓜よりいいな。
32.
33. 匿名処理班
発想自体がユニークだね
形はともかく品質は不揃いだろうし、大量生産には不向きだろうけど
34.
35. 匿名処理班
※22
接木で耐病性を獲得できたり成長が早くなったりするがそれは一般的過ぎるのでさておき、
盆栽とかでも根を切り詰めて枝も根も針金で固定したりするし
トピアリーや生垣も人間の勝手でバサバサやるし
そういう人間的な視点だけで見ちゃうと世の中めちゃくちゃになる
36. 匿名処理班
※22
盆栽も否定しておられるね。
37.
38.
39.
40. 匿名処理班
曲がって育ちやすい細い木と、真っ直ぐ育った大木を切って加工した物とじゃ、
木の細胞密度が違うから、強度的にはどうかと思う。接合の有無は、接合技術で差が出るしね。
41. 匿名処理班
スレタイが意味わかんなくて頭ハテナマークだった。
文章通りだった。
なにこれすごい。
42. 匿名処理班
是非とも家作りにも挑戦して欲しいね。
それはそうとして、収穫した直後の生きたままであれば挿し木の要領で椅子の形のまま庭に根付かせることも可能なはず。上下逆さまになるけどそれはあまり問題にならないし。生きた椅子に机も見てみたいな。
43. 匿名処理班
面白いな 工作精度はどんなもんだろう
あと部分的に虫食いになったりしたら全部廃棄になるのかな?
44. 匿名処理班
金属だと鋳造よりインゴットからの削り出しの方が精度、強度とも優れている。
ただし削り出しは量産に向かず、とんでもなくコストが高い。
今回の記事は「木製品の鋳造」みたいなもんだと思うが逆にコストはかかりそうだ。
求められるものが違うのだろうけれども。
その辺どうなんでしょうか、専門家の人。
45. 匿名処理班
おもしれー
強度がどんなもんか気になったから
人がちゃんと座ってくつろいでる映像も出したほうが信用度が増して良いんじゃないかな
46. 匿名処理班
動画で座ってる椅子が普通の椅子やんけ
47.
48.
49. 匿名処理班
あのランプ欲しいなぁ
50. 匿名処理班
ヨーロッパ人だとこんな事を考えるんだろうね、東洋人だと木は手間暇かかるってなったら竹を使うんじゃないかな?
51. 匿名処理班
アートかと思ったらガチだったすげぇ
52. 匿名処理班
家具職人として言えることは
基本的に床面と足の接地面が揃ってさえいれば(ガタつきさえ無ければ)
何十年と使える代物になる
アイデアとしては良いし、造形的にも魅力を感じるから
あとはアフターサポートさえ万全なら、ひとつの分野として定着できると思う
俺も個人的に興味あるわー
53. 匿名処理班
※42
それいい!
木のウロじゃなく細い木の絡んだのと蔦と苔でできた成長する壁の家とかすげー見たい!